50代になると、老後までの残り時間が見えてきます。まだ資産を増やしたい一方、退職直前の大きな下落は避けたいところです。そこで考えたいのが、株式一辺倒だった資産の見直し。今回は退職後も見据えながら、50代で注目したい投資信託を3本紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

◆50代は「暴落後に何年待てるか」を考える

50代になったからといって、急に株式を売って現金や債券へ移す必要はありません。60歳で退職する人もいれば、65歳、70歳まで働く人もいます。

ただ、20代や30代とは大きな違いがあります。株価が大きく下がった後、回復を待てる時間が短くなっていることです。

例えば55歳で株式市場が大きく下落し、60歳から資産を取り崩す予定なら、回復を待てるのは5年間です。20代なら「長く持っていれば」と考えやすくても、50代では取り崩しの時期まで考えなければなりません。

とはいえ、株式を全て減らす必要もありません。これまで積み上げてきた資産を確認しながら、株式の中身を変えたり、債券や金(ゴールド)を加えたりする時期と考えてみましょう。

◆日経平均高配当利回り株ファンド

株式での運用は続けたいものの、成長株ばかりを追いかけるのは少し怖くなってきた。そんな人なら、高配当株に目を向ける方法があります。

「日経平均高配当利回り株ファンド」は2018年11月に設定されたアクティブファンドです。日経平均株価の採用銘柄から予想配当利回りの高い30銘柄を選び、原則として年2回、銘柄の入れ替えと投資比率の調整を行います。

高配当と聞くと値動きも安定しているように感じますが、そうとは限りません。業績が悪化すれば減配することもありますし、株式市場全体が下落すれば基準価額も下がります。

それでも、米国の成長株などを中心に積み立ててきた人なら、配当に着目した日本株を加えることで、株式部分の中身を変えることができます。

なお、信託報酬は年率0.693%(税込)。購入時手数料は販売会社によって異なり、上限は2.20%(税込)です。

※「日経平均高配当利回り株ファンド」は、2026年7月14日をもって購入申込受付を停止しています。ただし、投資信託積立による追加購入などは引き続き受け付けています。販売会社によって取り扱いが異なるため、詳細は各販売会社でご確認ください。

◆eMAXIS Slim 先進国債券インデックス(除く日本)

50代では、「株式の割合を少し減らしたい」と考える人も出てきます。では、減らした分をどこへ移すのか。全て現金にしてしまえば、そのお金の運用はそこで止まります。そこで候補になるのが債券です。

「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス(除く日本)」は、日本を除く主要国の国債などに投資し、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)への連動を目指します。2026年9月4日時点の純資産総額は約2399億円、信託報酬は年率0.154%(税込)です。

ただし、このファンドは原則として為替ヘッジを行いません。円高が進めば、債券価格が安定していても、円換算した基準価額には下押し圧力がかかります。

「債券だから安全」と考えるのではなく、株式とは値動きの異なる資産にもお金を振り分ける。そのための候補と考えると分かりやすいでしょう。

◆ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)

株式とも債券とも違う資産を持ちたいなら、金(ゴールド)も候補になります。「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)」は2011年12月28日に設定され、実質的に金へ投資するファンドです。原則として為替ヘッジを行うため、為替変動の影響を抑えながら金価格の値動きを取り込むことを目指します。2026年9月4日時点の純資産総額は約2204億円です。

金のファンドは、もし30代なら、株式以外の資産を持って値動きの違いを知るという考え方もあります。50代では、退職前後に株式市場が大きく崩れたとき、資産全体が同じ方向へ動くのを避けるために金を組み入れる意味合いが強くなります。

もちろん、金は利息も配当も生みません。金だけで老後資金を作るものでもありません。あくまで株式や債券とは違う値動きを期待して、一部を組み入れる資産です。

◆50代で怖いのは、暴落と退職が重なること

50代では「何歳だから株式を何%にする」と決めるより、まず自分がいつから資産を使うのかを考えてみてください。

60歳で退職してすぐ取り崩す人と、70歳まで働いて給与収入がある人では、同じ55歳でも取れるリスクはかなり違います。

そして、もう1つ考えてみたいのが、「明日、株式が大きく下がったらどうするか」です。

生活に困らず回復を待てるなら、株式を慌てて減らす必要はないかもしれません。反対に、数年後に使う予定のお金まで株式に入っているなら、債券や現金などへ移すことも考えたいところです。

50代は「増やす」から「守る」へ一気に切り替える年代ではありません。増やしながら、そろそろ使うときのことも考え始める。60代を迎える前に、その準備をしておく時期です。

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告なく変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、ご自身の責任でお願いします。

文:田代 昌之(金融文筆家)

新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

文=田代 昌之(金融文筆家)