
8月18日、ハク。が恒例となっている自主企画「ハク。の日」の東京編を恵比寿LIQUIDROOMで行った。ハク。のメンバーが「いま共演したいアーティスト」を迎えて、対バン形式で開催される「ハク。の日」はこれまで地元の大阪のみで開催されてきたが、今年は初めて東京にも進出。8月9日に心斎橋BIGCATで開催された「大阪編」にはHomecomingsが出演し、「東京編」にはストレイテナーが迎えられ、熱いステージが繰り広げられた。
「Melodic Storm」で幕を開けたストレイテナーのライブはさすがの貫禄で、「Silver Lining」を終えた後、ホリエアツシによる「僕はハク。のファンです」という宣言に両方のバンドのファンから盛大な拍手が送られる場面も。ライブ中盤では昨年リリースされた『Next Chapter EP』から、時代へのメッセージ性が強い「Next Chapter」や、シューゲイザー路線の「メタセコイアと月」といった楽曲を披露してバンドの現在を示し、ホリエがピアノを弾くダンスナンバー「Skeletonize!」で盛り上がりはさらにヒートアップしていく。ラストは「ハク。がカバーをしてくれた曲」として、2016年のリリースから10周年を迎えた「シーグラス」の新録版「シーグラス[DECADE EMO MIX]」で締めくくった。8月ももう後半。〈夏が終わりを急いでる〉。
ハク。のステージはあいとカノによる掛け合いのコーラスが楽しい「宇宙船ハート号」からスタート。25年以上のキャリアを誇るストレイテナーと比較すると、音の厚みこそ足りないかもしれないが、隙間のある軽快なアンサンブルをしっかりグルーヴさせることは決して簡単なことではない。ハク。は「大阪編」と「東京編」の間に「サマーソニック」に出演しているが、同日のヘッドライナーだったザ・ストロークスの初期にも通じる感覚が「頭の中の宇宙」や「ふわ輪」といった楽曲からも確かにうかがえ、そこにホリエも一目置いていたハク。らしいひねくれたコードワークも加わることで、独自のセンスを遺憾なく発揮している。
Photo by カワセルイ
そんなベーシックがあった上で、近年のハク。はライブバンドとしてさらに急成長していて、カノが地鳴りのように歪んだベースを響かせて始まった「dedede」ではループが生む高揚感をダイナミックな演奏で増幅し、新曲の「飛行」ではなずなのアルペジオをフィーチャーしたポストロック的なアプローチを展開。かと思えば、「自由のショート」ではリヴァーブやディレイで浮遊感を生み出す初期からの方向性もしっかり感じさせるなど、曲調の広がりにも目を見張るものがある。
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ライブ中盤のMCであいはストレイテナーへの感謝を伝え、「私がバンドを始めたくらいのときに『ネクサス』という曲を聴いて、そのときすごく自分に浸透する歌詞で、その頃からずっと大切なバンドの一つで、今日ここに一緒に立てたことが嬉しい」と想いを語った。2009年にリリースされたアルバム『Nexus』は、ストレイテナーが現在の4人体制になって初めて発表したアルバムであり、「ネクサス」はそのタイトルトラックにしてラストナンバー。〈僕らはたまたま同じ船に 乗り合わせただけの赤の他人 明日はすべてが嘘になっても 今日が本当なら大切にしたいよ 今を〉という歌詞は、バンドやオーディエンスとのつながりを強く感じさせるものであり、ハク。として歩みを進め、たくさんの出会いを重ねてきた今のあいにとっては、より響く歌詞になっているかもしれない。
ライブ後半はさらに圧巻で、あいのシャープなカッティングにまゆの勢いあるビートと、ボトムを支えるカノのベースが絡み、なずながファズによる強烈な歪みを鳴らすポストパンク風の新曲「渋谷から」は切れ味抜群だし、すでにライブの定番曲となった「それしか言えない」はあいのボーカルが凄みを増していて、ボカロのような早口の歌唱を聴かせる中盤の展開を経て、深いリヴァーブのかかった声で「それしか言えない!」と歌い上げるブレイクの場面はトランスのような、かなりの没入感がある。さらに1990年代のレディオヘッドのようなコード感で退廃的な雰囲気を作り上げる「世界」も素晴らしく、戻りたくても戻れない世界の中で、ハク。として進み続けることを選んだ4人の力強い現在地を感じさせるものだった。
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バンドの演奏に自信がついてきたからか、あいのMCもこれまで以上に自然体で、解放されているような印象を受ける。10月からのツアーに触れて、ファイナルのZepp Shinjuku公演が、バンド史上最大規模のワンマンとなることを話したあとに、「みんな来てね。少しずつだけど、みんなの背中を押すからさ!」と少し照れくさそうに言ったのは、冗談交じりのようでいて、きっと本心なのだろう。TVアニメ『手札が多めのビクトリア』のオープニングテーマとして話題の「一進」から、ミラーボールが輝いた「奥二重で見る」で本編を終えると、アンコールでは切なくも温かな曲調であいのボーカルが映える新曲「GO」を披露して、ラストはオーディエンスが一斉にタオルを回す「回転してから考える」で大団円を迎えた。〈明日がすべて嘘になったとしても、今日が本当なら大切にしたいよ〉。
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