お金の話題になると、「同年代の人はどのくらい貯金しているのだろう」と気になる人も多いでしょう。最新の貯金額の調査では、「貯金ゼロ」の人の割合が意外と多いことも注目されています。

とはいえ、「同じような人がたくさんいるから大丈夫」と安心するのも、「この年齢で貯金ゼロだからもう遅い」と悲観するのも適切ではありません。

そこで今回は、年代別に「貯金ゼロ」の人がどのくらいいるのかを紹介するとともに、貯金がない場合は何から始めればよいのか、FPの視点から解説します。

「貯金ゼロ」はどのくらいいる?

金融経済教育推進機構 (J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」から、年代別に「金融資産を保有していない」と回答した世帯の割合を見てみましょう。

なお、この調査は二人以上世帯(全国5,000世帯)と単身世帯(全国2,500世帯)を対象に実施されています。

  • 「金融資産を保有していない」と回答した世帯の割合 出所: J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに筆者作成

    「金融資産を保有していない」と回答した世帯の割合 出所: J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに筆者作成

単身世帯では、20~60歳代のすべての年代で「金融資産を保有していない」割合が3割を超えています。最も高いのは50歳代の35.2%で、20~60歳代ではおおむね3人に1人が金融資産を保有していないことがわかります。

一方、二人以上世帯では、最も割合が高い20歳代でも21.6%です。30歳代以降はいずれも2割を下回り、年代が上がるにつれておおむね割合が低くなっています。

単身世帯と二人以上世帯では大きな差があり、特に単身世帯では「貯金ゼロ」に近い状態の人が珍しくないことがわかります。

年代別の貯蓄額の平均値と中央値

では、年代別の貯蓄額はどのくらいでしょうか。

貯蓄額を見る際は、「平均値」だけでなく「中央値」も見る必要があります。平均値は、貯蓄額が非常に多い一部の世帯に引き上げられ、実感より高い数字になることがあります。

一方、中央値は、貯蓄額を少ない順に並べたときに、ちょうど中央に位置する値です。一部の高額な貯蓄に左右されにくいため、より実態に近いものとなります。

  • 年代別の貯蓄額の平均値と中央値(二人以上世帯) 出所: J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに筆者作成※金融資産を保有していない世帯を含む

    年代別の貯蓄額の平均値と中央値(二人以上世帯) 出所: J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに筆者作成※金融資産を保有していない世帯を含む

  • 年代別の貯蓄額の平均値と中央値(単身世帯) 出所: J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに筆者作成※金融資産を保有していない世帯を含む

    年代別の貯蓄額の平均値と中央値(単身世帯) 出所: J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに筆者作成※金融資産を保有していない世帯を含む

二人以上世帯の平均値を見ると、20歳代の525万円から年代とともに増え、60歳代では2,683万円となっています。70歳代では2,416万円と、60歳代よりやや少なくなっています。中央値も20歳代の125万円から60歳代の1,400万円まで増えていますが、20~50歳代では1,000万円を下回っています。

一方、単身世帯では、平均値でも50歳代まで1,000万円に届かず、中央値はすべての年代で500万円以下です。特に40~50歳代では、平均値と中央値に大きな開きがあります。これは、金融資産を多く保有する一部の世帯が平均値を押し上げているためと考えられます。つまり、金融資産を多く持つ人がいる一方で、ほとんど持たない人も少なくないことがうかがえます。

「金融資産ゼロ」は銀行口座残高0円ではない

「家計の金融行動に関する世論調査」における「金融資産を保有していない」とは、銀行口座にまったくお金がないという意味ではありません。

ここでいう「金融資産」には、預貯金のほか、債券、株式、投資信託、生命保険、個人年金保険などが含まれます。ただし、預貯金については、日常的な出し入れや引き落としに備えているお金は金融資産に含まれません。そのため、「金融資産を保有していない」と回答した人でも、給与の振込口座などにある程度のお金が入っている可能性があります。

つまり、「金融資産ゼロ」は「貯金が0円」という意味ではなく、日常生活に使うお金とは別に、運用や将来への備えとして保有している金融資産がない状態と考えるとわかりやすいでしょう。

貯金がない人は何から始めたらいい?

ここからは、貯金がない状態からどのようにお金を貯めていけばよいのか、3つのステップで紹介します。

【ステップ1】 まずは10万円を目標にする

まずは10万円を目標に貯金を始めましょう。毎月1万円ずつ貯めれば、10カ月で10万円になります。

ポイントは、「余ったら貯金する」のではなく、給料が入ったら先に貯金することです。毎月一定額を貯蓄用口座へ自動的に移す「先取り貯金」にすれば、意識しなくてもお金が貯まっていきます。

毎月1万円でも、1年間で12万円、2年間で24万円になります。最初から大きな金額を目指すのではなく、まずは貯金する習慣を身につけましょう。

【ステップ2】 生活防衛資金を貯める

10万円を達成したら、次は生活防衛資金を増やしていきましょう。生活防衛資金とは、病気やケガ、失業などで収入が減ったり、急な出費が発生したりしたときに備えておくお金です。一般的に生活費の3~6カ月分が目安となります。

たとえば、毎月の生活費が20万円なら、3カ月分で60万円、6カ月分で120万円です。いきなり120万円を目指すのが難しければ、まずは3カ月分の60万円を目標にして、少しずつ増やしていきましょう。

【ステップ3】 余裕資金で運用を始める

生活防衛資金を確保できたら、次は投資に挑戦してみるのもいいでしょう。

投資信託の積立なら少額から始められ、NISAのつみたて投資枠を利用すれば、運用によって得た利益が非課税になります。投資先としては、世界中の株式に幅広く分散投資する全世界株式型のインデックスファンドなどが投資初心者には始めやすいでしょう。

大切なのは、生活に必要なお金まで投資に回さないことです。「貯金ゼロ」の状態では、まず現金の備えをつくり、その後に余裕資金で投資を始めるという順番を意識しましょう。

その1万円が難しい人は

【ステップ1】の「毎月1万円を先取り貯金」がそもそも難しいという人もいるでしょう。その場合は、【ステップ0】から始めてみましょう。

【ステップ0】 まずは毎月の黒字をつくる

食費を削ったり、欲しいものを我慢したりしてお金を捻出するのも一つの方法ですが、毎月の支出を継続的に減らすには、固定費の見直しが効果的です。

スマホ料金や保険料を見直す、利用していないサブスクを解約するなど、毎月自動的に支払っている固定費に無駄がないかチェックしてみましょう。一度見直せば、削減効果はずっと続きます。毎月少しでもお金が残る家計に変えていきましょう。