シェネルが語る、日本移住決断の理由、新曲「たいせつなもの」に込めた親子の絆

2007年の世界デビューから来年で20周年。その卓越した歌唱力でもってここ日本でもカバーアルバム『ラブ・ソングス』や映画『BRAVE HEARTS 海猿』主題歌「ビリーヴ」の大ヒットでブレイクして以降、約15年にわたって愛され続けているアーティスト・シェネル。このたび、新曲「たいせつなもの」(NTTドコモが2002年から毎年開催している創作絵画コンクール<ドコモ未来ミュージアム>CMソング)がリリースされるタイミングでインタビューを敢行した。彼女の音楽ストーリーと現在地、シェネルから見た日本やその音楽シーン、本作に込めた想いから日本へ引っ越す計画の話(桜に対する想いも)まで語ってもらった。

―来年でデビュー20周年を迎えますが、自身ではここまでどんな音楽人生を歩んできたなと感じていますか?

シェネル:不思議に思われるかもしれないんですけど、こんなにも長くキャリアが続くとは自分でも思っていなくて。逆に「まだここにいるんだ?」と自分でも驚いているんです。活動が止まったりすると「これまでなのかな」と思うんですけど、そうすると宇宙の何かの力によって(笑)、また何かが始まる。あとは、やっぱりファンの皆さんの力によって続いている音楽人生だと思うので、それはとても感謝しています。

―その音楽人生の中で今現在、シェネルはどんなアーティストになっていると思いますか?

シェネル:アーティストであればみんなそうだと思うんですけど、私もイノベーションが好きなアーティストなんです。この20年は似たような音楽をつくり続けてきた感覚もあるんですけど、気持ち的には同じようなことは続けたくない。そうした想いがある中で、今のチームは共に音楽表現の幅を広げていくということに目を向けてくれていて、いろんなコラボだったり、ライブを模索しながらやれるようになってきている。それはすごく幸運だなと思っていて。あと、曲のメッセージ性も一般的なラブソングではなく、いろんな含みがあったり、いろんな意味が込められているものを歌えるようになってきていて、すごく嬉しく思っています。

―シェネルさんが今、リスナーに届けたいメッセージは具体的にどんなものだったりするんでしょう?

シェネル:今の自分がエネルギーを向けているメッセージは、自分自身を愛すること。私だけじゃなく、皆さんが自分自身を愛せるようになること。それが大事だなと思っていて。その為に自分がどういう人かということを恐れずに学ぶことが大切だなと。特に今の世の中というのは、断絶されていたり、対立しやすくなっていると思うので。自分も母になって、子供に対してもそういうイメージを伝えていくことが大事なんじゃないかなと思うようになりましたし、最近の曲だと「そのままでいいよ」とか「Ill be by your side feat. 花村想太(Da-iCE)」とか「Sense of Wonder」とか。今回リリースする新曲「たいせつなもの」もそうなんですけど、やっぱり自分自身がどういう人なのか気付かせる曲が多くなっていると思っています。

―そういう意味でも、今がいちばん自分の表現したいことを音楽で表現できている?

シェネル:そうですね。本当にそう思います。特にライブでは、ファンの皆さんとのコミュニケーションを大事にしているので、何かしらのメッセージをステージ上から発信したりしながら、心と心が繋がる瞬間をつくれている。それは私がいちばん音楽を通して実現したいことなんですよ。

―今の話にちなんでお聞きしたいのですが、日本のファンはシェネルさんにとってどんな存在になっていますか?

シェネル:ファンの皆さんからいただくメッセージを読ませてもらっていると、私の音楽が彼らや彼女たちが困難を乗り越える為の力になっていたりとか、心を癒したりとか、そういうヒーリング効果を与えることができているのかなと思います。そんな中で私自身がファンの皆さんにとってどうありたいかと言うと「人生って思ってもいない方向にいくよね」ということを思い出してもらえる存在になれたらいいなと思っていて。例えば、私が最初に日本に来たとき、日本語もしゃべれない。その中でも「こういう形だったらどうだろう」という模索をしてきて。その結果、本当に不思議なことなんですけど、自分の愛する音楽を歌い続けることができているわけで。デビュー当時、私がまだこうして音楽活動を続けているなんて、しかも邦楽のアーティストとして歌い続けているなんて誰も想像していなかったと思うし。だからこそ「人生は、何だって可能なんだよね」ということを今後もファンの皆さんに対して体現していきたいと思っているんです。

―なるほど。日本で自分の曲が評価されたり、ヒットしたことは、シェネルさん自身からしたら結構な驚きだったんですか?

シェネル:激しく驚きました。日本の皆さんに知ってもらえるきっかけになったカバーアルバム『ラブ・ソングス』は、日本の皆さんにまず自分の声と、日本語で歌っているシェネルに慣れてもらうこと。そして、日本のマーケットに上手く浸透していければいいなと。その3つの狙いがあってリリースしたんです。個人的には「カバーアルバム?」と不思議に思っていたんですけど(笑)、結果的に上手くいって。それをきっかけに日本でアクティヴに活動していくことができた。でも、私自身は新作をリリースする度に、そんなにいつまでも上手くいくと思っていなかったから「きっとこれが最後だよね」と言っていたんですけど、気付いたら今に至るっていう。なので、本当にビックリしています。ただ、今は「まだまだ自分は皆さんに届けられるものがある。まだまだ終わりじゃない」と思っていますし、今後もっともっといろんな実験を繰り返していきながら、同世代だけでなく若い層にも自分の音楽を届けていけたらなって。

―そんなシェネルさんなんですが、今、日本への移住を計画されていると伺いました。このタイミングで日本で暮らそうと思ったきっかけは何だったんですか?

シェネル:かつてのレーベルとの契約が終わったり、いろんなタイミングでそれこそ「これで終わりだな」と思っていたんですけど、なぜか日本に呼ばれて引き戻され続けてきたんですよね。で、娘が生まれるタイミングで、主人がマイケル・ジャクソンのミュージカルに参加していて、オーストラリアでツアーをまわっていたこともあってオーストラリアで5年間過ごしていたんですけど、それが落ち着いたタイミングで「日本に引っ越しすべきなんじゃないかな」と主人に伝えたんです。そしたら「やっとか!」って言われて(笑)。彼はずっと、私は日本に拠点を移すべきだと思ってくれていたみたいなんです。毎月のように日本には来ていたから。なので、来年には日本に移住しようと思っているんです。

―日本のことを好きじゃないと「ここで暮らそう」とは思わないと思うんですけど、日本のどんなところが好きだったりしますか?

シェネル:日本はすごくコミュニティ感があって、他の人のことをまず第一に考える。みんながそういう育てられ方をされていて、それは他の国にはないところだと思っています。いろんな細かいルールには「え?」って思うこともあるんですけど(笑)、それがあるのも日本人の勤勉さゆえだと思うんですよね。何かをやろうと思ったときの日本人は1000%のパワーを出して臨む。それって素晴らしいことだなと思うんですよね。娘を育てる中でも、そういう環境に触れてもらいたいなと思ったんです。もちろん大変なことはあると思うんですけど、それもアリだと思っています。

―では、その日本の音楽シーンは、シェネルさんにはどんな風に映っていますか?

シェネル:J-POPってスタイルが行ったり来たりしているなと思っていて、変化が訪れても元の形に戻りやすい。その中で今のJ-POPはわりとオールドスクール寄りなんじゃないかなって。例えば、今、日本で最もヒットしているMrs. GREEN APPLEなどの楽曲を聴いていると、本来のJ-POPサウンドが残り続けている。それだけJ-POPサウンドってすごく確立されているものなんですよね。だからこそ、みんなの大好きなJ-POPの要素が残り続けるんだろうなって。ただ、自分がJ-POPをやるときは、J-POPの限界を自分らしくちょっと超えていきたいというか、人と違うモノを提示しようとしています。自分がいちばん好きなJ-POPスタイルというのは、よりグローバルなサウンドが入っているものなので。例えば、平井大さんみたいなジャスティン・ビーバーテイストが感じられるようなミックスが好きなんですよね。

―「Ill be by your side feat. 花村想太(Da-iCE)」のように今後も誰か日本のアーティストとコラボレーションしたいと思っていますか?

シェネル:もちろん! よく「今後、誰とコラボレーションしようか」みたいな話はスタッフとしていて。ふたりの世界がひとつになるアプローチは好きなので、日本人のアーティストはもちろん、いろんな国のアーティストとコラボレーションはしたいと思っています。最近のJ-POPはアジアの外にも進出していて、例えばK-POPのように徐々にグローバルになってきているので、私もその一員としていろんなアーティストと関わりながら、J-POPを世界に広めていきたいですね。あと、せっかくコラボレーションするのであれば「え、この人と? どっからその発想が出てきたの?」みたいな、私とは全然スタイルの違うアーティストとやってみたいです!

―そんな今後の展開も楽しみなシェネルさんなんですが、7月17日に新曲「たいせつなもの」がリリースされます。どんな想いを込めた楽曲なんでしょう?

シェネル:この曲はリズムがちょっと変わっていて、今まで自分が歌ってきたバラードなどとはかなり違う。歌とラップが上手く刻み込まれているリズミカルなナンバーで大好きなんです。そこにどんな想いを込めたかと言うと、ドコモさんのCMを観させてもらったときにすごく感動的で。メッセージ性としては、繋がっていることの大切さ。お母さんとふたりの子供がいて、お母さんが忙しい中、上の子がお母さんに注目してもらいたいのになかなかしてもらえない。そこから親子の絆を感じさせるストーリーが展開されていくんですけど、それがすごく良いなと思って。この曲「たいせつなもの」でもそこに焦点を当てているので、子供の視点から歌っているような感じでもあるんですよね。だから、自分の歌にはそういうエネルギーを込めたかったので、主人に「娘をスタジオに連れてきて!」ってお願いして(笑)。娘が近くにいるシチュエーションで歌って、誰かと通じ合うことの大切さをこの曲では表現させてもらいました。

―今の話を聞いて、娘さんを生んだ現在のシェネルさんだからこそ表現できる楽曲だったんだろうなと思いました。

シェネル:私もそう思います。子供というのは、多くの人から多くのものを必要としていて、我々は彼らの世界であるわけで、それを渡してあげることがあたりまえというか、そうするべきことだと思っているんです。みんな忙しいし、私も忙しいんだけれども、子供にはそうやってしっかり向き合うべきだし、子供に限らず大切な人ひとりひとりと向き合うべきだなと。だから、日本に引っ越すというのもあります。仕事が終わったらすぐ家に帰れるし、娘と一緒にいられる環境をつくりたかったんですよね。

―そんな新曲「たいせつなもの」。リスナーにはどんな風に響いてほしいなと思っていますか?

シェネル:自分の家族や友達や恋人と繋がることの大切さを思い出してもらえたらいいなと思っています。人生って忙しいし、大切なものを見失いがちだと思うんですけど、いちばん大切なのは自分の愛する人とどう通じ合っていくかだと思うので、それをこの曲「たいせつなもの」で感じ取ってもらいたいです。

―日本に引っ越すと、これまで以上に日本での活動がしやすくなると思うんですけど、この先はどんなヴィジョンを描かれていますか?

シェネル:もちろん日本での音楽活動にも力を入れていこうと思っているんですけど、音楽以外にも子供向けのプロジェクトを展開しようと思っているんです。感情を上手く表せる言葉を子供の中に養っていく。そういうことを教えていくことによって、間接的に親にも影響を与えていくと思っているんですよね。そのプロジェクトを展開する以上は、自分にも「がんばって」って言わなきゃいけないんだけど(笑)。それを音楽だったり、マーチャンダイズだったり、いろんなものを通じて発展させていこうと思っています。あと、日本に引っ越すうえで楽しみにしているのは……私、これだけ日本に来ているのに一度も桜を見たことがないんですよ!

―そんなことあるんですね(笑)。たまたまこれまでタイミングが一度も合わなかった?

シェネル:そうなんです! いつも桜のシーズンが始まる前か後に来ちゃうんですよ。なので、とにかく家族と桜をたのしみたいです(笑)。あと、これまで日本に来ているときは仕事ばっかりだったので、引っ越したら日本をもっともっと探検したいです!

<リリース情報>

シェネル

『たいせつなもの』

2026年7月17日リリース

ダウンロード&ストリーミング https://avex.lnk.to/chenellePR