
ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)による待望のニューアルバム『Foreign Tongues』がついにリリースされた。前作よりもギター中心で、ストーンズらしさが全開。「世界一偉大なロックンロール・バンド」の帰還を待ち望んでいたファンを大いに唸らせるはずだ。米Rolling Stone誌のレビューをお届けする。
「今」を生きる男、独裁者への眼差し
世界の終わりを無視することについての陽気な楽曲「Divine Intervention」で、ミック・ジャガーはかつて終末を十分に憂慮し、ハリウッドの占い師に相談したことがあると告白している。〈暗闇の中で、俺は彼女に『俺の未来はどうなる?』と尋ねた/そしたら、彼女は吐いちまった〉と、彼は『Some Girls(女たち)』スタイルのギター・ブギに乗せて泣き言を言う。コーラスにおけるミックのメッセージは、たとえ世界が終わろうとも、〈ディストピア的な価値観は手に負えない、だから俺は華々しく死に花を咲かせるのさ〉というものだ。これこそ彼らしい。
結局のところ、「Time Is on My Side」と「Time Waits for No One」の両方を歌い、かつて45歳で「Satisfaction」を歌うくらいなら死んだほうがマシだと語った男は、どのみち未来のことなどそれほど気にかけていないのだろう。ニューアルバムが7月10日にリリースされた直後に83歳を迎えるミックは、常に今を生きることについて歌ってきた。60年代にポール・マッカートニーが「Yesterday」で失恋をエレガントに嘆いていた頃、ミックは元恋人に向かって「Yesterdays Papers」でガミガミ説教を垂れていたように。そして、ポールの新作が『ダンジョン・レインの少年たち』について彼に追憶させたのに対し、「ダートフォード駅の少年たち」が興味を抱いているのは、今日の海外情勢(Foreign Affairs)だ。
グラム・パーソンズがストーンズに与えた影響を思い起こさせる、ゆったりとしたカントリー・ロック「Ringing Hollow」は、ミックとキース・リチャーズによるアメリカへの絶縁状である。〈そうさ、俺はあんたに狂おしいほど恋をしていた/実際に会う前からね〉とミックは歌う。〈あんたの映画は全部観たし/あんたのタバコを吸った〉。しかし今では、〈自由の女神が眉をひそめている〉と彼は続ける。〈夢見る者たちには望む夢を見させてやれ、俺の最高のお気に入りのお笑い草さ/だからフェンタニルを回しな/コカインを回しな〉〈声が押し殺されるとき/俺は大声で叫びたくなる〉といった、皮肉に満ちた風刺的な観察が詰まったアメリカーナ調のフォークソングだ。彼らが今でもアメリカのファンを愛していることは周知の通りだが、「Sweet Neo Con」や「Undercover of the Night」「Street Fighting Man」がそうであったように、ストーンズは不条理を目にすると、いつだってその唇を震わせるのだ。
一方で、『Foreign Tongues』の中でも屈指の名曲であり、ロン・ウッドによる素晴らしいブルージーなソロが光る「Divine Intervention」で、ミックは〈億万長者たちがこぞって慌てふためき、空にある自分たちの隠れ家へと逃げ惑っている〉と描写する。また、「Covered in You」では、〈目が覚めると、こうした独裁者どもに心底うんざりする/あいつらは、ミサイルを行進させながら、汚いネズミの群れのように繁殖しているみたいだ〉とラップ調でまくしたてる。トランプの名前を直接挙げることはしてないが、風変わりなジゴロのアンセムである「Mr. Charm」の中で、世界初の兆万長者を〈狂った大物、ミスター・マスク〉と言及し、大統領の取り巻きの一人を皮肉っている。
ファンキーなベースとザ・キュアー(The Cure)のロバート・スミスによるシンセサイザーをフィーチャーしたポップ・ロック曲「Never Wanna Lose You」で、ミックは恋人に「ナポリで暮らしてもいい」と伝えることで、人生のまた別の側面を覗かせる。もっとも、歌詞の中に「うらぶれたトレーラーパーク」という描写があるのを見るに、彼が言っているのはイタリアの高級リゾート地ではなく、フロリダ州の田舎町ネイプルズ(ナポリの英語名)なのかもしれない。アリストテレスがかつて「政治とは本質的に、貧者と富者の間の闘争である」と言い表した通りだ。
「ストーンズらしさ」を呼び覚ますプロデュースとゲスト陣
この最新アルバムは、『Hackney Diamonds』から3年を経て届けられた。前作は約20年ぶりのオリジナル曲によるアルバムだったこともあり、ある種のカムバックのように感じられたし、何より素晴らしい出来だった。現在のバンドメンバーであるベーシストのダリル・ジョーンズ、ドラマーのスティーヴ・ジョーダンを擁する彼らは、前作でグラミー賞を獲得し、「イングランド最年長のヒットメーカー」としての地位を確立した。『Foreign Tongues』は、おそらく前作の時点ではまだ原石だった『Hackney Diamonds』の未完成曲を集めたものと思われるが、グループにとっていつも通りの平常運転のように感じられる。なぜなら、そのレコーディングは同等の成果を実らせているからだ。
アルバムに収録された14曲には、関節が引き裂かれそうなロックチューン(「Hit Me in the Head」「Rough and Twisted」)、劇的な別れと舞台裏のセリフに満ちたバラード(「Back in Your Life」とキース・リチャーズによる「Some of Us」)、ディスコ調の失恋ソング(「Jealous Lover」「Never Wanna Lose You」)、カントリー調(「Ringing Hollow」)、そしてふんだんに盛り込まれたチャック・ベリー風のリフ(彼の楽曲「Beautiful Delilah」の丁重なカバー)が含まれている。ここには急な方向転換もポップな実験もなく、ただストーンズらしさという王道がもたらす充足感に満ちている。
ストーンズは自分たちのレコードがどんなサウンドであるべきかを知っている。ブルース、R&B、黎明期のロックンロールに対する彼らの忠実さは損なわれていない。そして、バンドが迷走しそうになったときのために、『Hackney Diamonds』でも舵を取ったアンドリュー・ワットが彼らを導いている。彼はプロデューサーとしてクレジットされており、ミックやキースと並んで数曲の共同作曲クレジットさえ得ているが、「良心」というクレジットも記されるべきだった。なぜなら、筋金入りのスーパーファンである彼は、温かみのあるブルース調のリフとミックの辛辣な皮肉という、ストーンズの本質を思い出させる手助けをしたからだ。
前作同様に、ゲスト陣の顔ぶれは多彩だ。ポール・マッカートニー、ロバート・スミス、スティーヴ・ウィンウッド(ピアノとオルガンに専念)、ザ・ハートブレイカーズのベンモント・テンチ(オルガン)、そして、ディスコ・パーティーの盛り上がりを見せる「Never Wanna Lose You」で、聴き取れないほど微かな音でカウベルを鳴らすブルーノ・マーズ。そして前作と同様に注目すべきは、2021年に録音された「Hit Me in the Head」における、今は亡きチャーリー・ワッツのプレイだ。もちろん、決してスティーヴ・ジョーダンを軽んじるわけではない。彼は異なるスウィングを持ち、よりハードに叩いている。
『Foreign Tongues』の大部分はストーンズのシグネチャー・サウンド、あるいは少なくとも、ストーンズはどう響くべきかというチャーリーのアイデアに忠実であり続けている。ミック、キース、ロンの3人は、『Beggars Banquet』から『Exile on Main St.』まで続いた黄金時代を自分たちが超えることはないと分かっている(『Aftermath』『Some Girls』『Tattoo You』も見逃せないが)。それなら、せめて『Dirty Work』や『Voodoo Lounge』を凌駕しようではないか──彼らは本作で、その目標を遥かに上回るレベルで成し遂げている。ミックの声は現代の驚異であり、40年前と変わらぬ素晴らしさで響いている。彼はエイミー・ワインハウス「You Know Im No Good」のカバーを、彼女の歌よりも高いキーで歌ってさえいる。そして、キースとロンによる「古代の織物術(ancient art of weaving:絡み合うギタープレイ)」は、特に「Ringing Hollow」において分厚いテクスチャーを生み出し、それぞれが随所でギターの見せ場へと踏み出すことを可能にしている。
原点回帰、そしてレガシーの証明
いくつかの点において、『Foreign Tongues』は『Hackney Diamonds』よりも進化している。前作はボーカルのメロディに重きを置くあまり、時折ややミックのソロレコードのように聴こえることがあった。今作はもっとギター中心で、全体的にストーンズらしさが満ち溢れている。アンドリュー・ワットが語っていたように、彼らのゴールはスタジアムのステージに映える楽曲を作ることであり、シングル曲の「In the Stars」と「Never Wanna Lose You」は、バンドが再びツアーに出ることがあれば、どちらもそれを実現できるだろう。
いつだって、最高の名曲はストーンズが本能を解き放ったときに生まれる。「Emotional Rescue」を思い起こさせるファンキーなソウル・ナンバー「Jealous Lover」で、ミックは他の女性たちに嫉妬しすぎる恋人にファルセットで別れを告げる(ちなみに彼は、自分が浮気をしてないとは決して言わない)。また、遊び心あふれる「Mr. Charm」ではプレイボーイの精神を丸出しにして、裕福な女性を誘惑し、〈人生はただ金を稼ぐためだけにしては短すぎる/使い道を教えてくれよ、ハニー〉と語りかける。キース・リチャーズによる「Some of Us」は、楽曲としての起源が80年代まで遡る、心揺さぶる献身の宣言だ。彼はそこで〈俺たちの何人かは膝をついて、頼み込んでいるんだ、ベイビー〉と歌う。キースの声には深い感情と脆さが宿っており、それが時折ミックの声と絡み合う様子は、長い年月を生き抜いてきた愛にしか伴わないような、深い絆のレベルを反映している。
そして、「長い歳月を経た愛」というテーマの通り、アルバムは5歳の頃からお互いの人生を共にしてきたミックとキースが、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミスを「コンサート・バスドラム」に迎えてチャック・ベリーの「Beautiful Delilah」を歌うことで幕を閉じる。『Hackney Diamonds』でグリマー・ツインズがマディ・ウォーターズの「Rolling Stone Blues」を演奏したのと同様に、彼らがベリーを選んだことは、この二人にとって原点回帰の瞬間だ。なぜなら、ミックがダートフォード駅でキースと再会したとき、彼はウォーターズとベリーのレコードを抱えており、ストーンズの記念すべき1stシングルはベリーの「Come On」のカバーだったからだ。再び4分間だけ、彼らは最初のバンドであるブルース・インコーポレイテッドに回帰している。そして、あの頃の最初の火花が、今も彼らの中で揺らめいているのが分かるはずだ。
ミックはストーンズがさらにレコードを出すことを望んでいると語っているが、彼とキースが80代のさらに深みへと進み(ロン・ウッドも来年80歳になる)、このアルバムが本当に最後になるかもしれないという感覚は常に付きまとう。もはやどうなるかは彼らにもわからない。しかし、もしそうだとしても、『Foreign Tongues』は彼らのレガシーに恥じないアルバムである。
From Rolling Stone US.

ザ・ローリング・ストーンズ
『Foreign Tongues | フォーリン・タングス』
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