子どもはよく体調不良になるもの。突然体調が悪くなったとき、親は「様子見をするか」「受診するか」で迷いがちです。特に夜間や休日は受診できる医療機関が限られている分、判断が難しくなります。そこで「こんな症状があったらすぐに受診」というサインを整理しました。
「様子見していいか」の判断が難しい理由
様子見の判断が難しいのは、子どもならではの理由があります。
子どもは症状を正確に伝えられない
子どもは痛みや体の不調を言葉で正確に説明することができません。幼い子どもの場合は、泣き方や機嫌、様子の変化から判断することになります。発熱だけで一律に判断できるわけではなく、年齢や全身状態、呼吸状態も含めて判断する必要があります。
症状の変化が急なことがある
子どもの病気の怖いところは、そのときは元気に見えても急変することがある点です。短時間で悪化することがあるため、様子見をしているうちに受診が遅れてしまう心配があります。
すぐ受診を検討すべきサイン
熱の高さやそれまでの状態に関わらず、次の症状があるときは夜間や休日でも受診を検討してください。
ぐったりしている・反応が弱い
全身状態が悪くなっているサインです。
「呼びかけへの反応が悪い・応えない」「目線が合わない」「ぐったりして起きられない」「泣き声が弱々しい」ときは受診を考えましょう。
赤ちゃんの場合は「顔色が悪い」「ミルクや母乳を飲まない」など、おかしいと思った時点で早めの受診を検討してください。
「動かない・座っていられない」「痛みにも反応しない」ときは救急車を呼ぶ目安です。
一方で、元気はなくても親と目線が合う、呼びかけにしっかり反応する場合は、診療時間内の受診でもよいことがあります。
呼吸が苦しそう
呼吸が速い、ゼイゼイしている、肩で息をしているなど、呼吸状態がおかしいと思ったら受診を考えましょう。
すぐに受診したい目安は次のような状態です。
・近くにいるだけでゼイゼイと聞こえる(喘鳴)
・鼻の穴がぴくぴく動く(鼻翼呼吸)
・肩で息をしている(肩呼吸)
・息をするたびに鎖骨の上やみぞおちがくぼむ(陥没呼吸)
また、口を開けてあえぐように呼吸をしている、意識がぼんやりしている、唇が紫色になっている場合は、救急車を呼ぶ目安になります。
水分がとれない・吐いてしまう
感染性胃腸炎や高熱などで水分がとれない、飲んでも吐いてしまうときは脱水のリスクがあります。
嘔吐がひどく半日以上ほとんど飲めていない、唇や口の中が乾いている、おしっこが少ない、涙が出ないときは受診を考えましょう。
けいれん・意識の異常
けいれんや意識の異常があった場合は、落ち着いて適切に受診しましょう。
高熱のときに起こる熱性けいれんは、ほとんどが数分以内に治まり、後遺症を残さないことがほとんどです。
ただし、次の場合は救急車を呼ぶことを検討してください。
・けいれんが5分以上続く
・けいれん後30分経っても意識が戻らない
・短時間で繰り返し起こる
・ぐったりしている
また、次の場合は早めの受診が必要です。
・左右非対称のけいれん
・頭をぶつけた後のけいれん
・初めて起こしたけいれん
・体温38℃未満で起こったけいれん
強い痛み・いつもと違う泣き方
いつもと違う泣き方をする、触ると嫌がるといった様子があるときは、強い痛みがあるのかもしれません。
急に泣き止んでぐったりしているとき、10分おきに激しく泣くことを繰り返しているとき、耳を気にする様子があるとき、オムツ替えの際に足を痛がるとき、ミルクや母乳を飲めないときなどは受診を考えましょう。
特に注意が必要な年齢
年齢ごとに注意したいポイントもあります。
乳児(0〜1歳)
言葉で伝えられず、症状が急変しやすい乳児では、受診のハードルは低めに考えましょう。
38℃以上の発熱がある場合、生後3カ月未満であれば速やかな受診が必要です。
生後3カ月以降は、熱以外の症状や全身状態もあわせて判断します。
発熱以外でも心配なことや気になることがあれば、ためらわず受診を検討しましょう。
幼児
ある程度意思疎通ができるようになりますが、症状を正確に伝えるのは難しい時期です。
高熱や喘息があっても辛さをうまく表現できず、思いのほか元気に見えることもあります。
元気があっても熱が続いている、呼吸がおかしいなどの様子があれば、大人がよく観察して判断しましょう。
機嫌が悪い、ぐったりしているなど、いつもと明らかに様子が違う場合は注意が必要です。
学童
学童期に入ると、自分で症状を伝えられるようになります。
しかし、「学校や習い事を休みたくない」「病院に行きたくない」といった理由から無理をして「大丈夫」と言うこともあります。
子どもの言葉だけで判断せず、症状が続いていないか、悪化していないかを保護者が確認することが大切です。
迷ったときの考え方
判断に迷ったときは、第三者の意見や保護者の違和感も大切な判断材料になります。
「いつもと違うか」で判断する
普段と明らかに様子が違う、急に変化したという場合も、早めに受診したいサインです。
子どもは一人ひとり違うため、「元気なときのいつも」と比較できるのは保護者だけです。
保護者として見逃せない違和感があるときは受診を考えましょう。
健康なときの表情や様子をよく見ておくことで、異変にも気づきやすくなります。
「様子見」を長引かせない
一旦様子を見ることに決めても、症状が続くとき、症状が増えたり悪化したりするときは受診しましょう。
迷うときは#8000(子ども医療電話相談)や自治体のWebサービスなども活用してください。
「ぐったり」「呼吸がおかしい」は迷わず受診を
子どもの体調は短時間で変化することがあります。
一つひとつの症状は軽く見えても、複数の症状が重なったり、時間とともに悪化したりする場合は注意が必要です。
判断に迷ったときは、症状の強さだけでなく「いつもと違うか」「悪化していないか」という変化にも目を向けましょう。
受診したほうが安心だと感じるときは、ためらわず医療機関に相談してください。親だけで抱え込まず、#8000などの相談窓口を活用することも大切です。
子どもの緊急受診の目安について、小児科の専門医に聞いてみました。
小児救急医の視点からお話させて頂くと、早めの受診をお勧めしたいサインとして、普段のお子様の様子と比べて、「意識が悪い・元気がない」「呼吸する時の音が違う」「息が苦しそう」「手足が冷たい」などが挙げられます。確かに病状が急に悪くなるというケースが存在するのは事実ですが、お子様が示された何らかのサインをうまく受け取ることができず、結果として病状が悪化してしまうことの方が多いと思います。
では、そのサインをどのように捕まえたら良いかですが、お子様の様子を日常として見てくださっている保護者が感じる『違和感』こそ、お子様を救うための最も重要なサインであり、診療において大切にしたい情報だと考えています。
日本小児科学会HPにある小児救急電話相談“#8000”番をご利用頂くのも良いと思いますし、普段のお子様の様子を知っている保護者が『違和感』を感じた際は、うまく訴えることのできないお子様が体調の変化を知らせる非常に大切なメッセージとなります。保護者がお子様を心配し不安を感じられた時は、無理をなさらず病院を受診して頂き、医療者にご相談されることをお勧めします。

