ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(写真:Getty Images)

 

 ドジャースの大谷翔平が見せた“代打出場”が、日米のファンの間で話題を呼んだ。投手として先発登板しながら、試合途中に代打として打席へ立つ。ルール上は何の問題もないプレーだが、一部のメッツファンからは疑問の声が上がった。その裏に見え隠れしたメッツファンの複雑な事情を探る。(文:八木遊)

 

[caption id="attachment_268836" align="aligncenter" width="1200"] ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(写真:Getty Images)[/caption]

 

 日本時間18日、ロサンゼルス・ドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムでタンパベイ・レイズと対戦し、粘るレイズを5-4で振り切った。

 

 

 

 今季12試合目の先発マウンドに上がった大谷翔平は4回まで無失点の好投を見せたが、5回に崩れ4失点。レイズに逆転を許したが、その裏にフレディ・フリーマンが逆転2ランを放った。

 

 大谷は6回91球でマウンドを降りたものの、救援陣が7回以降を無失点で切り抜け、大谷に今季7勝目が転がり込んだ。

 

 この試合で大きな話題を呼んだ場面は6回裏にやってきた。それは大谷が6回を投げ終え、フリーマンが逆転弾を放った直後だった。5番DHのロハスに代わって、この試合で初めて打席に立ったのは大谷だった。

 

 この日は二刀流出場ではなく、投手に専念していた大谷。6回裏の時点で記録上はまだ登板中のため、DHの打順なら打席に立つことが可能だった。

 

 ただし、その時点でDHは解除されるため、ドジャースはDH枠を失うリスクを承知の上で大谷を打席へ送った。

 

 大谷は結局、初球に手を出して強烈な当たりのショートゴロに終わったが、この一見特殊なルールに疑問を呈したのが、あるライバル球団のファンとみられる人物だった。

 

 

 

 「申し訳ないけど、これは完全にばかげてる、どうしてこんなことが許されるんだ?大谷翔平が先発登板した試合の6回裏に、スタメンにも入っていないのに代打で出場できるなんて」

 

 Xで不満をあらわにしたのは、ニューヨーク・メッツファンを名乗る人物。この珍しいルールを把握していなかったとみられるが、実は日本のファンからも「投手で出てるのに代打大谷ってできるんだ」といった声が多く出ていた。このルールを知らなかったファンも少なくなかったようだ。

 

 メッツファンのポストに対しては、「大谷はまだ登板中で、ドジャースがDHを放棄(解除)しただけ。文字通りどのチームでもできるプレーだ」「ルールを知らないだけでは?」といった冷静な反応も目立った。

 

 もっとも、今回の騒動は二刀流が生み出した珍場面であると同時に、苦戦が続くメッツの現状をあらためて連想させるものでもあった。

 

 ドジャースやヤンキースと並ぶビッグマーケット球団として知られる同球団は、米スポーツビジネス情報サイト『Spotrac』によると今季開幕時の総年俸額がメジャートップ。

 

 大谷やムーキー・ベッツらを擁するドジャースを上回り、メジャー全体で最高額となる資金を投じてシーズンに臨んでいた。

 

 それにもかかわらず、現在は借金8でナ・リーグ東地区最下位。総年俸がそのまま順位に反映されるわけではないが、球界最高額の戦力を抱えながら苦戦が続く現状に、ファンの不満が募っているのも不思議ではない。

 

 大谷の代打起用はルール上何の問題もないプレーだった。もっとも今回の騒動は二刀流が生み出した珍場面であると同時に、同球団を取り巻く苦しい現実も映し出していたといえるだろう。

 

【著者プロフィール】

八木遊(やぎ・ゆう)

1976年生まれ。スポーツライター。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

 

 

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【了】