アサヒビールは5月29日、「アサヒスーパードライ」ブランドの中味・パッケージ・コミュニケーションを刷新すると発表した。『アサヒスーパードライ』『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』は8月上旬以降の製造分から順次切り替え、『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』は10月6日に発売する。

この日行われた「スーパードライ」ブランド戦略発表会では、アサヒビール 常務執行役員 マーケティング本部長の古澤毅氏と、ビールマーケティング部長の野間和香奈氏が登壇。2026年10月の酒税改正を見据えたブランド戦略と商品刷新について説明した。

  • アサヒスーパードライブランドの中身・パッケージ・コミュニケーションを刷新

    アサヒスーパードライブランドの中身・パッケージ・コミュニケーションを刷新

「本当にうまいビール」が選ばれる時代へ

古澤氏は、2026年10月の酒税改正によりビール購入層の拡大が見込まれるとの認識を示した。

「酒税改正で価格差が縮小していく中で、『本当にうまいビールはどれだろう』と求める瞬間がやってくる。ブランドの価値を明確化して磨いていくことが大切だ」と語る。

その上で、「そうした期待に応え、期待を超えていくために、2026年10月に『スーパードライ3.0』を始動する」と宣言した。

古澤氏は、1987年の発売時を「スーパードライ1.0」、2022年のフルリニューアルを「2.0」と位置付ける。

1987年当時、日本のビール市場では重く苦い味わいが主流だったが、スーパードライは「辛口」という新しい価値を提案し、市場の流れを変えたという。

さらに2022年には、辛口というコンセプトはそのままに、中味・パッケージ・コミュニケーションを全面刷新。発売から36年が経過する中でも、消費者の嗜好の中心にあり続けるための進化を遂げたと振り返った。

「冷え×辛口」で再び市場を変える

今回の「スーパードライ3.0」のテーマは「冷え×辛口」だ。

古澤氏は、「お客様がビールに最も期待する価値は『冷え』である」と説明。「ぬるいビールよりもキンキンに冷えたビールの方がおいしい。ビールにおいて冷えは単なる温度ではなく、味を構成する本質的な価値の一つ」と語った。

また、ビールをよく冷やすことで炭酸が液体に溶け込み、飲みごたえが向上するほか、苦味を感じにくくなり、キレの良さも際立つと説明した。

アサヒビールでは2025年から「辛口×冷え」のコミュニケーション活動を展開。その成果として、「冷やして一番おいしいビールは何か」という調査では、スーパードライが圧倒的1位になったという。

古澤氏は、「酒税改正を迎え、本当にうまいビールが選ばれる瞬間に、ビールに期待される価値である『冷え』と『辛口』をさらに磨いていく」と述べ、「冷えた状態で最高にうまい新辛口でもう一度ビールの流れを変える。それができるのはスーパードライだけだと信じている」と力を込めた。

発表会では、リニューアル後の「アサヒスーパードライ」を試飲する機会も設けられた。

一口目で感じたのは、スーパードライらしいしっかりとした飲みごたえだ。一方で印象に残ったのは、冷蔵庫から出して少し時間が経ち、温度が上がってきた後も失われないキレの良さだった。

今回のリニューアルでは、冷えた状態での飲みごたえを高めるために麦芽使用比率を向上させた一方、キレ感との両立を図るため、ホップの品種や配合を最適化したという。実際に試飲すると、その狙いが味わいとしてしっかり表現されており、「冷えた状態で最高にうまい新辛口」というコンセプトに説得力を感じた。

  • 『アサヒスーパードライ』『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』は8月上旬以降の製造分から順次切り替え、『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』は10月6日に発売

    『アサヒスーパードライ』『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』は8月上旬以降の製造分から順次切り替え、『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』は10月6日に発売

野間氏によれば、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』については、きめ細かな泡と広い飲み口という特長を維持しながら中味を刷新し、よりスーパードライらしい味わいを追求。

『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』は、麦芽やホップの配合を見直し、麦芽香と飲みごたえを向上。さらに、ホップ品種の配合比率を調整することで、麦の香りを引き立てながら、「スーパードライ」らしい辛口のキレをより感じられる味わいを実現したという。

酒税改正を約4カ月後に控え、ビール各社は「価格」ではなく「ブランド価値」で選ばれる時代を見据えた競争を加速させている。

今回のスーパードライ刷新もその一環だ。アサヒビールは「冷え×辛口」という独自価値をさらに磨き上げることで、価格差縮小後の市場においても選ばれ続けるブランドを目指す。

2026年10月は、ビール市場にとって大きな転換点となる可能性がある。各社がどのような価値を打ち出し、消費者がどのブランドを選ぶのか。その競争はすでに始まっている。