ep.6「探しものは何ですか?」(畑中みゆき監督)――唯一、ナノの軸がブレる回

畑中みゆき監督が描いたep.6は、本作で唯一“心を許す相手”に出会うナノの物語だ。「ナノは相手の感情が映し鏡になる。だから、タクト(西山蓮都)が純粋な分だけナノも純粋になる」と畑中監督は語る。映像面ではティファニーブルーをキーカラーに設定し、登場人物の不完全さと美しさを視覚的に表現。ラストシーンは原作者の意見を踏まえてタイ版から変更するなど、細部へのこだわりも光る。

仲島はこのエピソードを「唯一、ナノの軸がブレる回」と表現する。校長室でタクトが出ていく場面で、「本当はすごく声をかけたかったんです。“待って”って言いたいけれど言えない、もどかしさがあった。これで正解だったのかなと、少し自問自答するようなお芝居を心がけました」。「プールサイドや遊園地で無邪気に戯れているシーンは、純粋に今が楽しいと思いながら演じていました。自分の中でも新しいナノを知れた回でした」と続ける。

「有彩さんのかわいい表情が盛りだくさんの回にしたかった」という畑中監督。一方で「ナノはその人の奥を見るキャラクター」という解釈を全話の芯に据え、タクトとの関係性を純粋さの共鳴として描いた。

「ナノじゃない役も見てみたい」「次は凛々しい表情の役で」

4監督の口から共通して出てきたのが、仲島の“動じなさ”への驚きだった。堤監督は「ほとんどNGを出さなかった。目線や間合いといった重要な要素も理解していて、天性の才能かもしれない」と語る。実は本人は「私がドライアイなので、(泣かないはずの)ナノが泣いているみたいになってしまったり、本当は高いところが大の苦手で屋上のシーンはビクビクしていた」と打ち明けるが、堤監督はモニター越しに「1ミリも分からなかった」という。

それを聞いた仲島が「NGをたくさん出してしまった記憶がすごくあるんですけど」と苦笑いすると、堤監督が「え、そうなの!? モニター越しでは普通にしゃべっているようにしか見えなかった。それを悟らせないのはやっぱりすごいね」と目を丸くする一幕もあった。

熊切監督からは「ナノじゃない役も見てみたい」、ユ監督からは「純粋なイメージの中に善と悪の両面を自然に宿せる俳優」、畑中監督からは「次は凛々しい表情の役で、バイオレンスアクションで一緒に!」とエールが送られた。

仲島自身はこう締めくくる。「今の私のイメージはすっかりナノになっていると思う。でもこれからいろいろな作品を重ねて、どんなものにも化けられるんだという変化を見てほしい」

デビュー作にして4人の巨匠に撮られるという経験は、彼女に何を残したのか。「本当に恵まれた環境だと感謝しています。これを初主演で知ってしまったから、今後が逆に不安になるくらいです」。その言葉には、謙虚さの中に確かな手応えがにじんでいた。

『転校生ナノ』は全6話。ナノを通して浮かび上がるのは、学校という社会の縮図に潜む、人間の欲望と弱さだ。「すべてのエピソードに、視聴者の皆さんが“自分事”として共感できる部分が絶対にある」と仲島は言う。それぞれの世界観で描かれる“悪魔の微笑み”を、ぜひ全話通して確かめてほしい。