RIZAPグループは5月14日、2026年3月期決算説明会を開催した。説明会では、同社代表取締役社長の瀬戸健氏が、営業利益の結果や「chocoZAP第2章」と位置付ける今後の成長戦略について語った。

“実質無借金”達成「やっとスタートラインに立てた」

  • 前年同期比6倍の営業利益

    前年同期比6倍の営業利益

まず瀬戸氏は、2026年3月期の連結営業利益が前年同期比6倍となる111億円に達したことを報告。「chocoZAPを始めて3年。先行投資によって本当に黒字化するのか心配された時期もあったが、しっかり収益基盤が整った」と振り返る。

グループ会社の中核であるRIZAP株式会社では、chocoZAP事業が牽引する形で営業利益が前年比18倍に拡大。さらに、REXT Holdings株式会社や五輪パッキング株式会社など複数子会社でも過去最高益を更新しており、「グループ全体として収益力が大きく向上している」と強調した。

  • 先行投資が功を奏した

    先行投資が功を奏した

とりわけ業績を押し上げたのが、コンビニジム「chocoZAP」事業だ。2023年3月期には先行投資の影響によって49億円の営業損失を計上していたが、その投資が実を結び大幅な収益増を達成。新規店舗及び既存店全面リニューアルといった、150億円を超える投資を行うことで2027年3月期には過去最高益となる140億円を見据えていると述べた。

  • 営業キャッシュフローも改善

    営業キャッシュフローも改善

また、営業キャッシュフローは年間300億円超にまで改善。グループ全体でも50億円以上の在庫削減を進めたことで、財務体質も大幅に改善。瀬戸氏は「収益性、財務の健全性、各種経営指標が大きく向上した。営業キャッシュフローおよびフリーキャッシュフローの改善が、今期の数字につながった」と説明した。

  • 実質無借金経営を実現

    実質無借金経営を実現

さらに、2022年3月期には積極投資によって負債が膨らんでいたものの、2026年3月期には現預金が負債を上回り、“実質無借金経営”を達成したことも明かし、「やっとスタートラインに立てた」と笑みを見せる。また、2027年3月期については、世界的な紛争や資材価格の変動など不透明な外部環境に触れつつも、「過去最高益を超える水準を射程に入れている」と自信を見せた。

「健康づくり」から「社会インフラ」へ

  • 「chocoZAP第2章」の概要

    「chocoZAP第2章」の概要

説明会後半では、「chocoZAP第2章」と題し、今後の成長戦略について説明が行われた。今後は年間150億円超の投資を実施。国内最大650店舗、海外最大150店舗の新規出店に加え、既存1900店舗の全面リニューアルを進める。また、AI店長やAIトレーナー導入など、AX(AI Transformation)活用も本格化させる方針だ。

  • 今後は出店を拡大

    今後は出店を拡大

この1年半は広告宣伝や新規出店を抑制していたが、今後は直営とフランチャイズを組み合わせた「二刀流モデル」で再び出店攻勢に転じるという。

  • chocoZAPの経済効果

    chocoZAPの経済効果

さらに瀬戸氏は、chocoZAPを「単なるフィットネスジムではなく、健康の社会インフラへ進化させる」と強調。運動習慣の定着によって、介護費や医療費、メンタル不調による経済損失の改善につながるとし、「400万人規模まで拡大できれば、日本全体で約2兆円規模の経済効果が期待できる」と語る。

  • 過疎地域でもニーズは大きい

    過疎地域でもニーズは大きい

出店戦略にも前衛的な変化がある。当初は人口密度「5000人/平方キロメートル」を出店基準としていたが、それを大きく下回る過疎地域でも成功例が相次いでいるという。瀬戸氏は「コンビニでも出店が難しいような地域でも成果が出ている」と説明し、“ホワイトスペース”への展開強化を掲げた。

  • 「女性専用chocoZAP」拡大へ

    「女性専用chocoZAP」拡大へ

また、女性向け戦略として「女性専用chocoZAP」を最大300店舗展開することも発表。背景には、20〜40代女性の運動習慣率の低さがあるという。瀬戸氏は「健康を特別なものではなく、生活に自然に溶け込むものにしたい」と語り、「安心して気軽に通える環境づくり」を進める考えを示した。

  • 「ジム」を超えたジム

    「ジム」を超えたジム

既存店リニューアルでは、従来の“最低限の設備”から大きく転換。EMS引き締めマシンなど最新機器の導入に加え、美容・セルフケアサービスの拡充、ワークスペースやカフェスペースの設置なども進める。「運動初心者だけでなく、中級者や非運動層まで取り込める空間を目指す」という。

  • ハイブリッドなジムを目指す

    ハイブリッドなジムを目指す

さらに、AIによる店舗運営高度化についても言及。AI店長が在庫管理や設備異常を自動検知し、AIトレーナーが利用者ごとの運動履歴や行動データをもとに最適なトレーニングを提案する仕組みを構築していると話す。瀬戸氏は「従来のジムは高コストで属人的だったが、chocoZAPはAI・IoT・データを統合したハイブリッドモデルによって、高効率・高生産性を実現していく」と語った。

“コンビニジム”として急拡大し、今後は「社会インフラ」へと進化しようとしているchocoZAP。RIZAPグループは、新たな成長フェーズへ踏み出そうとしている。