『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は“予算”との戦いだった!? CGI監督が制作秘話を明かす
TOKYO FMの番組「FM EVA 30.0」。『エヴァンゲリオン』シリーズにゆかりのあるクリエイターや歌手・声優の方々をお迎えして、知られざる制作秘話を伺ったり、作品をこよなく愛するアーティストの方々をお招きして、ご自身の『エヴァンゲリオン』体験を語っていただきます。

今回は、『エヴァンゲリオン』シリーズでCGを手がけたスタジオカラー デジタル部に所属するCGI監督・鬼塚大輔さんと、CGIアニメーションディレクター・松井祐亮さんの対談の様子をお届け。ここでは、2007年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』でCGI監督を務めた鬼塚さんが、制作当時のエピソードを語りました。

左から:鬼塚大輔さん、松井祐亮さん

鬼塚:最初は新しく作るのではなく、フィルムを再編集して作る予定だったんですよ。「短い期間でざっと作ります」と聞いていたので、「何が手伝えるのかな?」みたいな感じで思っていたんですけれど、ラッシュチェックの日に、庵野(秀明)さんが「これだと商売にならんな」って言い出しまして(笑)。とりあえず作り直すことになり、結果、描き直しもおこなうことに……。リアルタイムで見ていましたけど、話がどんどん変わっていくみたいな感じでした。

松井:あるあるですよね。

鬼塚:たぶん、ガンダム方式でやろうとされたんだと思うんですけど、やっぱり、見直したらいろんなことが気になり始めてしまって。人の作品はそれでいいと思ったんだけど、自分のはたぶんそれでは許せなかったんだと思います。だから、作画も最初はレイアウト兼用と言っていたけど、「結局これ、全部描き直してるよね」みたいな(笑)。比べていただいたら分かりますけれど、TVシリーズと新劇場版だと絵が全然違う。

松井:全然違います。

鬼塚:だから、最終的に作画も流用じゃなくて描き直しているし、最後の第6の使徒のシーンなんて、もう全部CGに変わっちゃって「おっと!?」っていう感じでした。そういう意味でいうと、僕は結局、人を集めたり、お金の計算をしたり、クオリティコントロールもしたり、いろいろなことをやっていました。

松井:そうですね。

鬼塚:人もいないし、立ち上げたばっかりの会社で、ひと月で拘束できないくらいの予算でやっていたから、外注するにも(作成する)モデルごとに単価でお願いしていくわけだけど、それは監督には関係ないから、どんどんリテイクが来るんですよね(笑)。

松井:ハハハ……(笑)。

鬼塚:それをどう調整するかっていうのが一番大変でした。なので、ある種『:序』は予算との戦いだったわけですよ。「庵野さんのやりたいことを、この予算でどうやって再現する?」みたいな。当然クオリティを確保しながら、人の確保と予算のなかにどう収めるか、その戦いが『:序』だったみたいな感じはします。