
腰越大船線(県道304号線)を腰越・江の島方面へ南下して、右手に青蓮寺(鎖大師。手広5-1-8)が見える手前を右折すると、路地の奥に神社が姿を現します。
こちらの手広熊野神社(てびろ くまのじんじゃ)は、青蓮寺と密接な関係にあり、共に歴史を積み重ねてきました。
今回は手広熊野神社の歴史や御祭神、見どころなどを紹介します。この記事が鎌倉観光を楽しむ参考になれば嬉しいです。
手広熊野神社の歴史
『鎌倉市史 社寺編』などによると、創建時期ははっきりしていません。青蓮寺の支院である宝積院(ほうしゃくいん)の鎮守として、熊野権現をお祀りしたのが始まりと伝わります。
残念ながらこちらの宝積院は廃止され、また史料が散逸したため、詳しいことはわかっていません。確認できる限りでは江戸時代初期の1648年(慶安元年)に社殿を改修した記録が残っているため、300年以上の歴史があることは間違いないでしょう。
ちなみに、青蓮寺自体は平安時代前期の819年(弘仁10年)に弘法大師(空海)によって創建されたと伝わります。
手広熊野神社の御祭神
熊野権現とは仏教と神道が融合した神様であったことから、明治時代の神仏分離によって仏教的要素を排した以下の三神(※)が祀られるようになりました。
(※)熊野三神の顔ぶれは諸説あり、神社ごとに異なるケースが多いため、確認・比較してみると面白いでしょう。
伊弉冊命(いざなみのみこと)
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の妻となり、夫婦で国産みと神産みを営んだ女神です。死によって黄泉国(よもつくに/よみのくに。冥界)へ移り住み、夫との決別を余儀なくされてしまいました。
速玉男命(はやたまのおのみこと)
伊弉諾尊が伊弉冊命と決別した際、地に吐きつけた唾から生まれた神様です。「元妻に唾を吐きかけるとは……」と驚く方もいるかもしれません。しかし唾には魔除けや浄化、また決意や約束を固める意味合いがありました。
事解男命(ことけおのみこと/ことさかおのみこと)
こちらは伊弉諾尊が吐きつけた唾を祓い清めた神様で、契約の解消や事態の解決を司ると考えられています。一時は命のやりとりにまで発展した伊弉諾尊と伊弉冊命の夫婦喧嘩ですが、最後はわだかまりなく、それぞれの道を選んだことを象徴しているのかもしれません。
手広熊野神社の御神徳は?
離婚した妻と契約解消のために吐かれた唾、そして唾を祓い清めた神が祀られていることから、手広熊野神社の御神徳は以下のとおりと考えられています。
人間関係の清算(縁切り)新たな出会い(縁結び)争いや対立の和解また、こちらの熊野権現は本地仏が如意輪観音(にょいりんかんのん)とされていることから、以下のご利益も期待できるでしょう。
如意宝珠による諸願成就(さまざまな願いの実現)法輪による煩悩消除(欲望や悩みの消滅)もちろん願いを叶えるためには、神仏頼みばかりでなく、自助努力が前提であることは言うまでもありません。
手広熊野神社の見どころ
住宅街と山の境界線に位置する手広熊野神社の境内には、さまざまな見どころがあります。なかでも注目したいポイントをピックアップしました。
まんまるで可愛すぎる獅子と狛犬
参道の両脇を守護する獅子と狛犬を見ると、まんまるくってとても可愛いじゃありませんか。
たとえば、右の獅子(阿形)は、今すぐボール遊びをしたくてウズウズしているように見えます。左の狛犬(吽形)も頑張って威厳を保とうとしているものの、ぷっくりふくれた喉元が、今にもふき出しそうな感じです。
こんな可愛い子たちが一生懸命に守っている境内で、悪いことなんてできませんよね。
キノコみたい!文政年間の石燈籠
社殿に向かって右手側の空間で、不思議な存在感を放っている石燈籠は、何だかキノコみたいな佇まいです。
よく見ると「文政◆年三月十三日(◆は判読不能)」とあり、江戸時代後期1818~1831年に奉納されたものでした。もう明かりを灯すことはなくても、何となく境内を明るくしてくれる、不思議な子です。
神様たちが大集合!六基の石祠
境内の片隅にずらりと並んだ小さな石の祠たち。『新編相模國風土記稿』によると、このうちの二基は神明社、つまり天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀っていることが明記されています。
残る四基の御祭神は不詳。おおかた神明様かお稲荷様であろうと思われますが、恵比寿様・大黒様・弁天様などをお祀りしているケースもあるため、断定はできません。
恐らく地元でお祀りしていた神様たちに、お集まりいただいたのでしょう。
先人たちの思いを受け継ぐ幟立て
祭礼になると天高く幟(のぼり)を立てる土台ですが、よく見ると「奉」「獻(献)」の文字が切り貼りされているようです。
これは幟立てをリニューアルする際、古いものから切り取って、新しいものに貼りつけたのでした。
背面を見ると1954年(昭和29年)1月吉日とあり、この表記部分も切り貼りされているのがわかります。使える部分は再利用して、少しでも先人たちの思いを受け継ごうという心意気に、胸が熱くなりました。
番外編:車椅子でも参拝OK!広々スロープでバリアフリーに
見どころというわけではありませんが、こちらの手広熊野神社は最初から最後(社殿の前)まで、広くてなだらかなスロープが整備されています。
これなら車椅子でも参拝できて、嬉しいですね。押して上がるのはもちろん、体力のある方であれば、自力での移動も可能でしょう。
ご参拝の折には、ぜひご活用ください。
まとめ
今回は、手広熊野神社を紹介いたしました。青蓮寺の陰に隠れてしまいがちですが、すぐそこなので、お時間が許す限りあわせて参拝されることをおすすめします。
特に獅子と狛犬の可愛さは、ぜひリアルに鑑賞して、そして可愛がってあげてほしいです!
手広熊野神社
参拝時間
24時間(照明が不十分なため、夜間はご注意ください)
主な祭礼
例祭(れいさい) 1月28日アクセス
所在地:神奈川県鎌倉市手広5-1-1
JR大船駅から江ノ電バス「鎖大師」下車、徒歩2分(120m)
駐車場:なし(公共交通機関のご利用がおすすめです)
連絡先
管理元神社:岩瀬 五所稲荷神社
電話/FAX:0467-47-4798(9:00~17:00)
メール:iwase5inari@mou.ne.jp
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