
4月26日(日)の放送は「村上RADIO~掘り出し物ヴォーカル・ナイト~」をオンエア。村上さんが世界中の中古レコードショップのバーゲン・コーナーで100円~200円相当という驚きの価格で購入してきたディスクから見つけ出した、掘り出し物の名曲をジャンルレスでお届けしました。
この記事では、前半2曲について語ったパートを紹介します。
「村上RADIO」
こんばんは、村上春樹です。村上RADIO、今日は「掘り出し物ヴォーカル・ナイト」というタイトルでお送りします。よその番組ではまず取り上げられないであろう歌手やら、まずかからないであろう曲やらを、しっかり並べてみました。そしてもうひとつ大事なこと、少し前にも同じようなことをやりましたが、これらの音源はすべて、僕がここ最近、方々の中古レコード店のバーゲン棚、バーゲン箱から拾い上げてきたCDです。どれも100円か200円という、驚くほど安い値段でした。今夜は、僕が掘り出してきためっけもののヴォーカル音楽をたっぷりお楽しみください。
<オープニング曲>
Donald Fagen「Madison Time」
春ですね。4月もそろそろ終わりに近づいています。新しい学校に進んだ、新しい仕事を始めたという方もいらっしゃると思います。そこには新しい出会いがあることでしょう。
ちょっとわくわくしますよね。でも僕くらいの年になると、残念ながら身の周りで新しいことはなかなか起こりません。
でもバーゲン漁りで「まあ、この値段なら、ハズレでもいいから、試しに買って聴いてみようか」と普段なら手に取りそうにないCDやLPを買い込んで、うちに帰って聴いてみたら、「おお、これぜんぜん悪くないじゃないか。めっけものだ」というような発見があるとけっこう満たされた気持ちになります。それもひとつの新しい出会いですよね。
Oscar Brown Jr.「The Snake」
今日は「掘り出し物ヴォーカル・ナイト」というタイトルでお送りします。まずはオスカー・ブラウン・ジュニアの歌う「ザ・スネイク」を聴いてください。オスカー・ブラウン・ジュニアはソウルフルな黒人歌手であり、作曲家でもあり、劇作家でもあり、公民権運動の熱心な活動家でもありました。とてもパワフルで多才なひとだったんですね。
この曲は『Out Of The Cool』というイタリアで製作されたソウル・ジャズのコンピレーション盤に入っていました。素敵なノリです。ジョニー・リヴァーズのカヴァーもなかなかかっこよかったですけどね。
親切な女性が道ばたで凍えて死にかけていた蛇を助けてやり、それなのにその元気になった蛇に噛まれて死んじゃう話です。「なぜ私を噛むの? 命を助けてあげたのに」と女性は蛇に言います。「だって、おれ、蛇だもの」と蛇は言います。
Annie Lennox「I Put A Spell On You」
ユーリズミックスのヴォーカリスト、アニー・レノックスさんが2014年に出したアルバム『ノスタルジア』に収められた「I Put A Spell On You」を聴いてください。
このアルバムはタイトル通り、彼女が少女時代に聴いた古い歌を集めてカヴァーしたものです。「I Put A Spell On You」は1956年にスクリーミン・ジェイ・ホウキンズが作った曲で、ニーナ・シモンやCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)のヴァージョンでもヒットしました。「I Put A Spell On You(私はあんたに呪文をかけたよ)」。そういうの、なんか、ちょっと怖いかもね。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~掘り出し物ヴォーカル・ナイト~
放送日時:4月26日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/