
2026年2月にブリヂストンから新たなスタンダードタイヤとして「FINESSA HB01(フィネッサ エイチビーゼロワン)」が発売した。省燃費性はもちろん、静粛性を高めるなどしてスタンダードタイヤの性能を底上げ、さらには雨天時走行の安心感を高めるべくウエット性能を向上させるなど日常使いの信頼性を高めてきた。新ブランドの製品名FINESSAは安心・安全=SAFETYと、より快適で心地よい=FINEを組み合わせたもの。そしてHB01のHBはハイバランス意味する。
【画像】新ブランド「フィネッサ」は、雨の日の走行で頼もしく感じられる
これから迎える梅雨や夏のゲリラ豪雨など、特に雨天走行での心配ごとに対してこのフィネッサ HB01のウエット性能がどれほど心強く感じられるのか? ブリヂストンがメディア向けに開催したウエット性能体験試乗会でその実力を試してみた。
■新スタンダードタイヤは静粛性やウエット性能にこだわる
ブリヂストンから新しいスタンダードタイヤブランド「フィネッサHB01」が発売された。タイヤの位置付けは同社のエコタイヤとしてラインアップしているエコピアと重なっている。エコピアも当面は併売するが、フィネッサは実質的なエコピアの後継モデルと言っていい。
エコピアは、省燃費タイヤとしての性能を前面に押し出していたが、フィネッサはウエット性能のよさをウリにしているのが特徴。ブリヂストンによれば、省燃費性能がいいのはもはや備えておくべき性能で、これに加えて普段のクルマ生活のなかで、もっとも不安に感じる雨天走行時におけるウエット性能を高めたとしている。
商品の特徴は、1:確かな安心・安全、2:静かで快適なドライブ、3:サスティナビリティへの貢献を挙げている。
ちなみに、タイヤグレーディングではエコピア NH200は全20サイズで転がり抵抗が「AA」でウエットグリップ性能が「b」。NH200C(軽・コンパクト専用サイズ)がAA-b=4サイズ、A-b=23サイズであるのに対し、フィネッサは全55サイズをラインアップし、そのうちAA-a=28サイズ、AA-b=8サイズ、A-a=6サイズ、A-b=13サイズとなっている。
トレッドデザインは、3本の太い縦溝(スクエアグルーヴ)を基調にしたリブデザインを採用。中央2本のリブ(縦のブロック列)には“3D-M字サイプⅡ”と呼ばれる3D極細溝を施し、加減速、旋回時にブロックが変形しても接地面が変化しにくいように設計されている。
また両サイドのショルダーブロックには、アウト側に行くほど溝幅が広くなるスプラッシュラグを採用。スクエアグルーヴとともに排水性を高め、ウエットグリップ性能を引き上げる役割を果たしている。
このほか、両サイドの縦溝とスプラッシュラグを繋ぐ細溝はスリットサイレンサーと名付けられており、ノイズ低減に役立っている。
フィネッサは、ブリヂストンの商品設計基盤技術であるENLITEN(エンライトン)を搭載。接地面圧をより均一にすることで、トレッドパターン全体でグリップ力を発揮する設計が施されている。
■ドライの操縦性はもちろん、ウエットの安心感もなかなかなもの
今回、ウエット体感試乗会と題して、栃木県黒磯市にある同社の研究開発施設であるブリヂストンプルービンググラウンドでメディア向け試乗会が行われた。試乗項目は、ドライのスラロームとスキッドパッド、ウエットハンドリングの3項目。
ドライスラロームは、N-BOXに155/65R14サイズのフィネッサHB01を装着した車両と、エコピアNH200C装着車で比較することができた。
試乗してまず感じたのは、フィネッサの軽ハイトワゴンとの相性のよさ。タイヤのダンピング(縦バネ)が高いので、横Gを受けたときの変形が少なく、また戻りも素早いので、安定感と安心感が高いのだ。ドライ路面での操縦性は、初期応答がよくハンドルを切り出すとすぐさまタイヤが反応して、ほぼ遅れなく素直に動いてくれるといった印象だ。
また、スラローム時のステアリングの舵角もエコピアと比べると少なかった。
スキッドパッドは、体感では路面μ0.4程度のベルジアン路(石畳)に水をまいての定常円旋回走行だ。プリウスと195/65R17の組み合わせで、フィネッサはしばらく履き続けた状態を再現するため5分山程度に摩耗したもので走行。対してエコピアNH200は新品(もちろんアタリが出た状態である)の状態で走り比べる。
摩耗したフィネッサに試乗して感心したのは滑り出しに唐突さがないこと。一般的に摩耗してブロックが低くなると、ブロック剛性が高くなる分ウエットの滑り出しは唐突になりがちなのだが、フィネッサは徐々に滑り出してくる感じで、グリップを失いつつあるという予見性を感じ取れるしつけとなっているのだ。
低μ路面でのグリップ自体も新品のエコピアよりも体感できるレベルでよかった。ブリヂストンからの説明はなかったが、フィネッサのタイヤコンパウンドはエコピアからのキャリーオーバーといっていい。つまりタイヤのグリップの差はタイヤプロファイルとトレッドデザインの差ということである。
ウエットハンドリング路は、シエンタの185/65R15サイズをフィネッサとエコピアNH200Cで比較した。
スキッドパッドの項でも触れたが、グリップレベルはフィネッサのほうがひと格上の印象。またタイヤのダンピングに合わせてブロック剛性も高くなっているので、ステアリングの初期応答がよく、少ない舵角で旋回することができた。
また速度を高めたコーナリングで、エコピアがわずかにハイドロプレーニングの兆候を見せるところで、フィネッサはステアリングからしっかりとした手応えを感じながら安心して走ることができた。これは高G下の接地面形状のよさと、排水性に優れるスプラッシュラグの相乗効果なのだろう。
今回、フィネッサ HB01の試乗で感じたのは、ドライ路面での腰の強さと応答性に優れる操縦性、ウエット路面でのグリップの強さと、そこからくる安心感。これらは普段のさまざまなドライブシーンでクルマの運転に余裕や安心感を与えてくれるはず。一層向上した省燃費性能と合わせて、ブリヂストンのスタンダードタイヤの基本性能が大きく進歩したと感じた。
〈文=斎藤 聡 写真=山内潤也〉
フィネッサの製品詳細はこちら(ブリヂストン公式ウェブサイト)