
投打で順調なスタートを切った大谷翔平だが、今季はひとつ変化がある。本来の武器である“走塁”に影を潜め、盗塁ゼロが続いているのだ。スピード低下と戦略の変化――データから見えてくる「走らない理由」と今季の立ち位置を探る。(文・八木遊)
大谷翔平、盗塁ゼロ&企図なし “走らない”今季の現状
メジャー9年目を迎えたドジャースの大谷翔平。今季は開幕から投打の二刀流でチームに貢献している。
打者として12試合に出場し、打率.267、3本塁打、8打点。やや物足りなさも残る数字だが、例年、気温の上昇とともに調子を上げるタイプでもある。気づいたときには、打率3割、40~50本ペースに乗せているだろう。
一方で投手としてはまだ2試合しか投げていないものの、自責点はゼロのまま。2試合ともに6イニングを投げ切っており、先発投手としての役割をしっかり果たしている。
ケガさえなければ、2023年に続く「10勝&40本塁打」はもちろん、前人未到の「15勝&50本塁打」も視界に入ってきそうだ。
まずは投打で順調な滑り出しを見せた大谷だが、低調なのが本来は武器の一つになるはずの“走塁”である。2年前の2024年は、史上初の「50-50」を達成。最終的にその数字を「54本塁打×59盗塁」まで伸ばし、日米のファンを熱狂の渦に包み込んだ。
そして迎えた昨季は自己ベストを更新する55本塁打を放ったが、盗塁は20個に留まった。6月に投手として復帰後は盗塁のペースもダウン。それでも、登板しない日は積極的に盗塁を仕掛ける場面も少なからずあった。
しかし、今季は12試合を終えて盗塁はゼロ。それどころか盗塁企図が一度もない。単打が8本、四死球も12個あり、盗塁を試みる機会は決して少なくないにもかかわらずである。
さらに気になるのが、大谷の“走塁スピード”自体が低下していることだ。
走塁の優先度は低め?スピード低下が示す変化
MLB公式データサイトの『Baseball Savant』によると、大谷の「スプリントスピード」(1秒当たりの移動距離)は25.4フィート/秒で、これはメジャー全体の下位19%(100人いれば下位19位=上位81位相当)。2021年には自己ベストの28.8フィート/秒をマークし、メジャー全体の上位10%に位置していたが、この6年で大幅にランクを落としている。
ちなみに昨季のスプリントスピードは28.0フィート/秒で上位34%。スピード自体は2021年とそう変わらなかった。つまり大谷が著しいスピードを落としたのは今季に入ってからということを意味する。
ただ大幅なランクダウンは、大谷のスピードが落ちたというよりも、打つことと投げることに集中するあまり、走塁の優先度が下がっているだけだろう。
年齢的には走力がやや落ち始めてもおかしくないが、ここぞという場面では積極的に次の塁を狙ってくる姿勢は変わらないはずだ。
ケガのリスクなどを考えれば、2年前のようにどんどん盗塁を仕掛けてくることは非現実的。今季は盗塁数が1桁台で終わることも十分考えられる。
【著者プロフィール】
八木遊(やぎ・ゆう)
1976年生まれ。スポーツライター。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。
【動画】衝撃のバックスクリーン弾!大谷翔平の今季3号がこちら
MLB JapanのXより
【 】 バックスクリーンへ!
第3号ホームラン🎆 6回表にリードをさらに広げる1発を放ちました🙌
👉最近4試合で3本塁打です!
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【了】