2024年に新しいNISAが始まり、投資を始めるきっかけになった人も多かったのではないでしょうか。2027年からはさらに制度が拡充され、未成年を対象とした「こどもNISA(仮称)」が始まります。教育費の準備に「こどもNISA」を活用したいという人に向けて、学資保険との違いを整理し、それぞれの向き・不向きを解説します。

  • 「こどもNISA」は学資保険の代わりになる?

    「こどもNISA」は学資保険の代わりになる?

こどもNISAとは

令和8年度税制改正大綱には、NISAの「つみたて投資枠」の口座開設年齢を0歳まで引き下げる方針が盛り込まれました。現在のNISAでは18歳以上しか口座を開設できませんが、つみたて投資枠に限り、0歳~17歳の未成年でも口座開設が可能になる予定です。

これにより、子ども名義でNISA口座を開設し、将来に向けた資産形成を行うことができるようになります。この仕組みは一般に「こどもNISA」と呼ばれていますが、制度設計はまだ途中であり、正式な制度名称ではありません。本記事では便宜上、「こどもNISA」という通称を用いて解説します。

こどもNISAの概要

こどもNISAはつみたて投資枠のみで利用できます。口座名義人である子どもが0歳から17歳の間は、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円となります。子どもが18歳になると、18歳以上を対象とした通常のNISA制度へ移行する仕組みです。

また、資金の引き出しは原則として一定の条件のもと、12歳以降から可能となります。2023年末に廃止された「ジュニアNISA」が18歳まで原則引き出しできなかったことと比べると、使い勝手は大きく改善されています。

このため、大学進学の資金だけでなく、中学、高校進学の資金としても活用できる制度設計となっています。

  • こどもNISAの概要 出所:「令和8年度税制改正の大綱」、「金融庁NISA特設ウェブサイト」をもとに筆者作成

    こどもNISAの概要 出所:「令和8年度税制改正の大綱」、「金融庁NISA特設ウェブサイト」をもとに筆者作成

こどもNISAの活用方法

実際の運用は、親や祖父母が子ども名義の口座を開設して管理する形になるでしょう。年間投資枠は60万円なので、毎月5万円が上限になります。毎月5万円を積み立てると10年で非課税保有限度額の600万円に達します。この時点で18歳になっていなければ、それ以降は追加投資をせず、保有を継続することになります。

0歳から毎月5万円を10年積み立てて18歳まで保有したとすると、18歳時点の評価額は利回りによって異なります。仮に利回りが3%だった場合は886万円になります。

毎月5万円は最速で非課税保有限度額を活用する方法ですが、児童手当を毎月1万円、18年間積み立てるだけでも元本は216万円になります。利回り3%なら285万円になります。18歳で引き出せば、大学進学費用として活用できるでしょう。

学資保険とは

教育費の準備方法として、まず思い浮かぶのが学資保険でしょう。学資保険は、子どもの教育資金の準備に特化した保険商品です。毎月保険料を支払い、大学入学のタイミングで祝い金や満期保険金を受け取る仕組みです。

学資保険の最大の特徴は、契約時に将来受け取れる金額がほぼ確定していることです。そのため、教育資金を確実に準備できます。

また、契約者に万が一のことがあった場合に、その後の保険料の支払いが免除される保険機能も備わっています。これにより満期時には予定どおり満期保険金を受け取ることができます。

こうした点から、学資保険は教育費の準備ために長年利用されてきました。ただ、現在は低金利の影響で学資保険の返戻率はそれほど高くない傾向にあります。その結果、こどもNISAが新たな教育費準備のための選択肢として注目されています。

学資保険とこどもNISAの違い

教育資金の準備に活用できる点は共通していますが、仕組みや特徴には大きな違いがあります。

1.資産が増える可能性

<学資保険>
受取額は契約時にほぼ決まっており、大きく増えることは期待しにくい

<こどもNISA>
金融商品で運用するため、市場の状況によっては資産が大きく増える可能性がある

2.リスク

<学資保険>
満期まで継続すれば元本が守られる商品が多く、価格変動リスクは基本的にはない

<こどもNISA>
相場の状況によっては評価額が下がり、元本割れとなる可能性がある

3.保険機能

<学資保険>
契約者(親)に万が一のことがあった場合、以後の保険料の支払いが免除され、満期時には満期保険金が受け取れる

<こどもNISA>
投資制度のため保険機能はない。親に万が一のことがあった場合、積立はその時点で止まることになる

4.引き出しの柔軟性

<学資保険>
契約期間中でも解約して引き出すことは可能だが、解約返戻金が元本を下回る可能性がある

<こどもNISA>
一定の条件のもとで12歳以降の引き出しが可能。中学受験や高校進学にも対応できる

学資保険とこどもNISAの違いを踏まえ、それぞれどのような家庭に向いているのかを整理してみましょう。

学資保険が向いている家庭

次のような家庭は、学資保険が向いている可能性があります。

*教育費は確実に準備したい
*投資による資産の増減に不安がある
*万が一の保障にも備えたい
*大学進学費用に充てたい

こどもNISAが向いている家庭

次のような家庭は、こどもNISAの活用を検討してもよいでしょう。

*長期投資で資産を増やしたい
*ある程度の価格変動を受け入れられる
*生命保険などで万が一の保障をすでに確保している
*子どもの金融教育や投資教育のきっかけにしたい

「併用」という選択肢も

どちらか一方ではなく、二つを組み合わせる選択もあります。

たとえば、学資保険で最低限の教育費を確実に確保し、余裕資金でこどもNISAの積み立てを行うという方法です。このように役割を分けることで、安全性と成長性の両方を取り入れることができます。

教育費は年々増える傾向があり、従来の貯蓄中心の方法だけでは、十分な資金を準備できないケースもあります。一方で、教育費をすべて投資で準備するのはリスクが高いと感じる人もいるでしょう。

確実性の高い方法と、資産の成長が期待できる方法をバランスよく組み合わせることも、有効な選択肢の一つです。家庭の状況やライフプランに応じて、自分に合った準備方法を検討してみてください。