2026年2月22日、神奈川・ぴあアリーナMM。あの巨大アリーナが、一夜限りの“怪しい酒場”に姿を変えた。スカパー!が仕掛けた新感覚イベント『都市伝説が集まる秘密の酒場「Bar Hollow」』である。
都市伝説、謎解き、そしてドラマ的ストーリー。その全てを一つの空間に詰め込むというチャレンジングな試みで、都市伝説系YouTuberとして人気を集めるたっくー、コヤッキー、シークエンスはやともの3人が出演。演出にはワイテルズのNakamu、映像作品で知られる住田崇が名を連ねた。
3人の演者には本番まで詳細が知らされておらず、共有されたのはタイトルと概要のみ。ほぼ白紙の状態でステージに立たされるという、あまりにスリリングかつリスキーなイベントである――。
巨大アリーナが一斉に緑に染まる光景
ステージ上には数々の名番組を手がけてきたフジアールの美術チームによる本格的なバーセットが組まれた。コンセプトは禁酒法時代の“スピークイージー”。客は金の代わりに「興味深い話」を差し出し、酒を得る。かつて実在した粋なルールが、現代の都市伝説トークに落とし込まれた。
序盤はカクテルの注文から始まる。「レッドラム」なら事件や殺人鬼、「ディープステート」なら陰謀や秘密結社といった具合に、注文するカクテルがそのままトークテーマに直結。話し終えるたび、観客はロゴ入りの光るコースターを緑か赤に点灯。信じる(=緑)・信じない(=赤)をジャッジし、過半数が信じれば演者はようやく酒にありつけるという仕組みである。
ハワイで起きたとされる殺人事件と“ブラックノート”の関連、世田谷一家殺人事件の真犯人説、関西発の有名百貨店の急成長の裏側……などなど、刺激的な都市伝説が次々に飛び出す。どこまでが事実で、どこからが事実でないのか。観客は半信半疑のままコースターを掲げる。巨大アリーナが一斉に緑色に染まる光景は、まさに壮観だった。
ビリヤード、奢り、謎解き…やがて一本の物語に
中盤にはビリヤード対決という変わり種イベントも用意された。ナインボール形式で、自分に振り当てられた番号の球が落ちたら、罰ゲームとして“噂話”を披露するというルールである。週刊誌による不倫報道の裏側や、新宿の美容整形外科にまつわる真偽不明の話など、グレーなネタが飛び出すたびに会場がどよめいた。
さらに3人はステージを降り、観客に直接カクテルを奢るパートへ。客が指定したカクテルに応じ、その場で都市伝説を即興で語る。瞬発力と引き出しの多さが試された瞬間だった。
クライマックスは会場全体を巻き込んだ“謎解き”パート。ステージ上に散りばめられた数々のヒントをもとに、3人が協力しながら「Bar Hollow」に隠された真実に迫る。単発のトークをただ寄せ集めただけではなく、一本の物語として着地させる。その設計が節々まで効いている。深い謎に翻弄されつつ、ついに答えにたどり着いた瞬間、酒場の物語は静かに幕を閉じたのだった。
都市伝説×エンタメの一つの模範解答に
会場に集まった客層は10代から50代以上まで幅広く、都市伝説というジャンルの裾野の広さを改めて感じさせた。また、会場ではオリジナルフードやコラボドリンク「DEEP STATE」も販売。すべての販売ブースで長蛇の列が生まれていた。
巨大アリーナを“ひとつのバー”として扱い、トーク、ゲーム、謎解きを織り交ぜる。かなり実験的な試みだが、観客参加型の仕組みもあって、会場全体が大きな一体感に包まれていた。都市伝説というホットなジャンルを、新しいエンタメとしてどうパッケージするか。その一つの模範解答を示すイベントだったと言えるだろう。
「Bar Hollow」は一夜限りの開催だが、その構造や演出手法は、今後のトークイベントのフォーマットとしても応用が利くに違いない。Nakamuや住田崇が仕掛ける今後の展開からも目が離せない。












