「大阪にあるマクドナルドがすごいらしい」。そんな話が4年ほど前に、SNSを中心に話題になっていた。当時はその噂を耳にしてはいたが、筆者の住まいからは少し時間がかかるところにあったので話題に乗れず静観していた。
そして月日が経ち、またその話が再燃していると聞いた。これはもう、行ってみるしかない。噂のポストから4年越しの実証実験のはじまりだ。
下町に溶け込む、ごく普通のマクド
そのマクドは、大阪は豊中市の庄内にある。庄内というのは、高級住宅地のイメージがある大阪の北部のなかでも下町情緒がある町だ。商店街もにぎわっていて、町歩きも楽しい。阪急「庄内」駅を降りて数分のところに、話題の「庄内マクド」はある。商店街の入口に建つ、少し小ぶりだが一般的なマクドだ。
実証実験だと意気込んではみたものの、正直なところ半信半疑だった。マクドナルドは全国、いや世界中どこにでもある。味が合わない国に行ったときに、マクドでいつもの味を食べてほっとした経験もあるのだが、それくらい味も、メニューも、基本は同じだ。違いがあるとすれば、せいぜい立地や混雑具合、接客くらいなのではないか。そう思っていたからだ。
いざ、入店!
店内はコンパクトだ。だからか客の流れが滞らない。しかし回転がいいのに、床もテーブルもとてもきれいだ。見ると、忙しい時間帯でも、店員さんたちは無駄な動きも無駄口もなく、客への声かけも丁寧だ。 混んでいるのに、せかせかした空気がない。
揚げ物がおいしい、エッグがおいしいというレポートを事前に見たので、エッグチーズバーガー、ポテト、ナゲット、コーヒー、キャラメルパイと揚げ物メニューを中心に注文した。
まずはポテト。ポテトの揚がり具合でいうと、油の切れ具合がとてもいい。ベタつきがまったくない「いい油」という感じだ。折れやしおれもなく、揚げ色も均一できれいだ。
ナゲットやパイも同様で、「いい油」のサラサラした舌ざわりが気持ちいい。正直に言うと、中身のイモや肉といった味そのものには、劇的な違いがあるかと言われると、そこまでではない。ただ、雑に作られていないことがすごく伝わるのだ。
本命のエグチを食す
満を持して、期待して頼んだエグチが登場した(温めの時間があっただけ)。
どのバーガーにしようか、悩みながら下調べをしたときに、「庄内マクドのエグチは目玉焼きがおいしい」とあったのだ。そりゃ期待しまっせ。
整然と重なるバーガーを食すと、目玉焼きではないところに「うまっ」と感じたのだ。期待していた分、これは意外だった。
バンズだ。
ふわっと、そしてあたたかくて香ばしい。これは他店と明らかに違った。
目玉焼きもチーズも確かにおいしいが、他店と劇的な違いは正直感じられなかった。しかし、バンズは違ったのだ。
食通はピッツァの生地にこだわるというが、ハンバーガーも具ではなくバンズが味の土台を作っているのかもしれない。一緒に行った家族がものすごい勢いで食べていた。
ちなみにコーヒーはごく普通の味だ。すべてが特別ではない。
庄内マクドは気持ちエエとこがいい
そう、すべてが特別ウマイというわけではない。しかし「また来たい」と思う。理由はたぶん、「扱い」だ。商品も、人も、空間も、すべてがきちんと扱われているのだ。
「ここでは絶対ふにゃふにゃのポテトは出ないだろう」
「悪い油じゃないだろう」
そんな安心感を、初回の来店で感じさせてくれるのだ。
ちなみに、この日私は「アップルパイ」を頼んだ。席で待っているときに、その在庫がないことがわかり、謝罪をしに店員さんが席に来た。目を見て丁寧な謝罪と返金対応の提案を受け、揚げ物を食べたかった私は、ほかのパイの有無を聞いた。そのスピードがとても速く、代替えのキャラメルパイを持ってきてくれた。
「気持ちいい対応だなあ」と思った。
そう、いい仕事をしているのだ、ここは。
雑じゃない、雑多じゃない、適当じゃない。
丁寧って最高のおもてなしだ。
食材への愛情も、お客様への愛情も、店の愛情も感じるじゃないか。
いい気持ちになり、テイクアウトするつもりだった「きのこたけのこマックフルーリー」まで、その場で味わってしまった。
庄内マクド、やっぱり日本イチなんかもしれへんな。






