(左から)日本ハムの達孝太、巨人の泉口友汰、阪神の及川雅貴(写真:産経新聞社)

 

 3月27日に開幕予定の2026年プロ野球。昨季にブレイクした選手は少なくないが、これは偶然か、それとも必然か。真価が問われるのは今季の成績次第だろう。プロ8年目でついに結果を出した広島のドラ1戦士は、今季注目の一人だ。(文・シモ)[1/6ページ]

8年目の覚醒は“本物か”

中村奨成

[caption id="attachment_247629" align="alignnone" width="530"] 広島東洋カープの中村奨成(写真:産経新聞社)[/caption]

 

 

 

・投打:右投右打

・年齢:26歳

・経歴:広陵高

・ドラフト:2017年ドラフト1位(広島)

・2025年一軍成績:104試合出場、打率.282、9本塁打、33打点、2盗塁

 

 プロ8年目にして、広島東洋カープのレギュラーをつかんだ中村奨成。今季は真価が問われるシーズンとなりそうだ。

 

 思い切りのよいバッティングで何度も印象に残る活躍を見せた昨季だったが、一昨年までは39試合の一軍出場が最高だった。

 

 本塁打もプロ4年目に2本塁打を打ったものの、3年間は本塁打0。

 

 

 

 ところが、昨季は104試合に出場し、打率.282、9本塁打、33打点と飛躍した。

 

 昨季の中村奨は、対DeNAでの打率こそ.211だったものの、ヤクルト戦は.348、中日戦は.340、阪神戦は.300と好調。巨人戦での打率は.274だったが、6本塁打、10打点と巨人キラーぶりを発揮している。

 

 今季の中村奨の好調は、偶然ではないだろう。

 

 打席でオープンスタンス気味に構えを変えたことで、ボールが見えやすくなり、内角の球をうまく裁けているように見える。

 

 コース別に見てみると、内角の打率は.353、内角低めは.316の数字。ど真ん中の打率は、.523と驚異的な成績をマークしている。

 

 その反面、真ん中低めの打率は.162で9三振、外角低めの打率は.200で21三振を喫した。

 

 プロ9年目の今季は、この外角低めの見極めが鍵になるだろう。

 

 自身初の全試合出場、3割達成となるか。今季の中村奨の打撃に注目したい。

 3月27日に開幕予定の2026年プロ野球。昨季にブレイクした選手は少なくないが、これは偶然か、それとも必然か。真価が問われるのは今季の成績次第だろう。昨季に頭角を表した日本ハムの“次世代のエース候補”からも、目が離せない。(文・シモ)[2/6ページ]

 

8勝&3完投の衝撃

達孝太

[caption id="attachment_220784" align="alignnone" width="530"] 北海道日本ハムファイターズの達孝太(写真:産経新聞社)[/caption]

 

 

 

・投打:右投右打

・年齢:21歳

・経歴:天理高

・ドラフト:2021年ドラフト1位(日本ハム)

・2025年一軍成績:16試合登板、8勝2敗、防御率2.09

 

 今季でプロ5年目の達孝太。昨季、北海道日本ハムファイターズの先発投手陣の中で輝いた1人だった。

 

 プロ入り後の登板は2試合のみだった達だが、昨季は、16試合に登板。8勝2敗、防御率2.09の成績を残し、完投数も3(内、完封1)を記録した。

 

 昨季は5月4日の西武戦で初先発すると、6回を投げて4安打1失点でシーズン初勝利。

 

 

 

 6月29日の西武戦では、9回115球を投げて4安打8奪三振1失点の完投勝利を挙げ、先発登板で5連勝をマークした。

 

 7月14日の西武戦では9回122球を投げて、2安打6奪三振1失点で2度目の完投勝利。前半戦だけで6勝0敗、防御率1.12を記録して、チームを勢いづけた。

 

 しかし、後半戦に調子を落とすと、7勝目は9月4日のロッテ戦まで約2カ月を要することとなった。

 

 そんな中、シーズン最終登板となった同27日のロッテ戦では、9回125球完封で8勝目。今季への希望を抱かせる勝利であった。

 

 飛躍の要因は、左右の打者に対する低めへの制球力が向上したのが挙げられる。ちなみに、対右打者への内角低めの被打率は.100、対左の内角低めは.150である。

 

 達が今季も活躍するには、さらなる制球力の向上と夏場の体力を維持することだろうか。

 

 その課題を克服すれば、今季の2桁勝利も夢ではない。

 3月27日に開幕予定の2026年プロ野球。昨季にブレイクした選手は少なくないが、これは偶然か、それとも必然か。真価が問われるのは今季の成績次第だろう。巨人の遊撃レギュラーを掴んだプロ3年目内野手にとっても、今季の成績が重要になりそうだ。(文・シモ)[3/6ページ]

 

攻守で掴んだ“遊撃レギュラー”

泉口友汰

[caption id="attachment_201396" align="alignnone" width="530"] 読売ジャイアンツの泉口友汰(写真:産経新聞社)[/caption]

 

 

 

・投打:右投左打

・年齢:26歳

・経歴:大阪桐蔭高 - 青山学院大 - NTT西日本

・ドラフト:2023年ドラフト4位

・2025年一軍成績:133試合出場、打率.301、6本塁打、39打点、4盗塁

 

 昨季はチーム最多となる133試合に出場し、打率.301、6本塁打、39打点の成績をマークした泉口友汰。今季は遊撃手のレギュラーを確固たるものにしたい。

 

 昨季の首位打者・小園海斗の打率.309には、わずか8厘及ばなかった。それでも、プロ2年目までに打率2位以内に入ったのは、球団としては2011年の長野久義以来14年ぶりとなった。

 

 また、守備では遊撃でゴールデングラブ賞を受賞。攻守共に、充実した1年であった。

 

 

 

 ルーキーイヤーは、66試合の出場で打率.201、1本塁打、9打点だった泉口が、打率を1割も上げたのは決して偶然ではない。

 

 広角に打ち分ける打撃技術、選球眼が向上したのが要因だろう。出塁率は.280から.362に。得点圏打率は.267から.304に上昇している。

 

 セ・リーグの対戦チーム別に見ると、中日戦が.329、ヤクルト戦が.326、DeNA戦が.319、阪神戦が.306と3割を超えている。2割台は、広島戦の.258だけである。

 

 苦しい夏場以降も体力を維持して、7月は.260、8月は.327、9月は.322と打率を落としていないのも要因だろう。

 

 対左右別の打率も右投手に.307、左投手に.291と、バランスの良い数字を残している。

 

 今季は開幕一軍入りを目指し、けがなく1年を通じた活躍に期待したい。

 3月27日に開幕予定の2026年プロ野球。昨季にブレイクした選手は少なくないが、これは偶然か、それとも必然か。真価が問われるのは今季の成績次第だろう。ソフトバンクの走攻守三拍子そろった内野手も、そのうちの一人だ。(文・シモ)[4/6ページ]

 

“急浮上”は持続するのか

野村勇

[caption id="attachment_238096" align="alignnone" width="530"] 福岡ソフトバンクホークスの野村勇(写真:産経新聞社)[/caption]

 

 

 

・投打:右投右打

・年齢:29歳

・経歴:藤井学園寒川高 - 拓殖大 - NTT西日本

・ドラフト:2021年ドラフト4位(ソフトバンク)

・2025年一軍成績:126試合出場、打率.271、12本塁打、40打点、18盗塁

 

 野村勇は昨季、本来の力を発揮して飛躍したシーズンだった。

 

 ルーキーイヤーの2022年には、97試合に出場して打率.239ながら10本塁打、25打点、10盗塁の成績をマーク。パ・リーグ史上21人目となる新人での2桁本塁打を達成した。

 

 その後は出場試合数と共に成績も下降していたが、昨季は違った。

 

 

 

 昨季4月は主に代走での途中出場が多かったものの、5月からは1番打者としてスタメン出場。

 

 6月以降は下位打線も担うようになり、126試合に出場して打率.271、12本塁打、40打点、18盗塁とキャリアハイの数字を残した。

 

 また、同年の阪神タイガースとの日本シリーズ第5戦では、延長11回に値千金の勝ち越し本塁打をマーク。チームを日本一に導いた。

 

 野村がルーキーイヤーぶりの2桁本塁打を記録した要因は、思い切りフルスイングできるフィジカルの復活にあるだろうか。

 

 昨季の打球方向を見てみると、左翼方向への安打が56%、中堅方向は37%、右翼は8%で、引っ張った打球が約60%を占めている。

 

 三振の数はルーキーイヤーの64から122に倍増したものの、相手投手からしたら「一歩間違えば手痛い一発を食らう」との警戒心が強くなっていたはずである。

 

 将来のクリーンナップも十分に狙える野村。今季は、遊撃の今宮健太との争いに勝ち抜いて、レギュラーを確実なものにしたい。

 3月27日に開幕予定の2026年プロ野球。昨季にブレイクした選手は少なくないが、これは偶然か、それとも必然か。真価が問われるのは今季の成績次第だろう。昨季に阪神でブレイクした左腕は、今季も磐石の成績を残せるだろうか。(文・シモ)[5/6ページ]

 

鉄壁左腕の最大の敵は“疲労”

及川雅貴

[caption id="attachment_214483" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの及川雅貴(写真:産経新聞社)[/caption]

 

 

 

・投打:左投左打

・年齢:24歳

・経歴:横浜高

・ドラフト:2019年ドラフト3位(阪神)

・2025年一軍成績:66試合登板、6勝3敗1セーブ46ホールド、防御率0.87

 

 阪神タイガースの強力リリーフ陣の一角を担い、抜群の安定感を見せた及川雅貴。今季もリリーフ陣を支える活躍ができるだろうか。

 

 昨季は66試合の登板で、52ホールドポイント(6勝3敗1セーブ46ホールド)、防御率0.87の驚異的な数字を残した。

 

 また、18試合連続ホールドのNPB新記録も達成し、押しも押されもせぬ阪神リリーフ陣の中心投手となった。

 

 

 

 昨季の及川のセ・リーグ対戦成績別防御率を見てみると、10試合ほどの登板で広島戦とヤクルト戦が0.00、DeNA戦が0.87、中日戦が1.74、巨人戦が1.50と2点も取られていない計算だ。

 

 ランナーをためてからの被打率は、一、二塁で.167、一、三塁で.000、二、三塁で.143、満塁では6打数0安打の防御率.0.00。得点圏での四球は、4つしか与えていない。

 

 ピンチの場面で、いかに無駄な四球を与えていないかが分かる数字である。

 

 昨季のコース別の被打率は、対右打者への内角低めが.120、真ん中低めが.222、外角低めが.091。

 

 対左打者の被打率は、内角低めが.000、真ん中低めが.067、外角低めが.125と、低めに制球できればほぼ完璧に抑えられている。

 

 今季最大の敵は、昨季66試合に登板した蓄積疲労だろう。首脳陣は、及川のコンディションをうまく調整しながら投げさせる必要がある。

 3月27日に開幕予定の2026年プロ野球。昨季にブレイクした選手は少なくないが、これは偶然か、それとも必然か。真価が問われるのは今季の成績次第だろう。昨季にブレイクした西武のリードオフマンも、今季の成績が注目される。[6/6ページ]

 

1番に定着した“万能リードオフ”

西川愛也

[caption id="attachment_224455" align="alignnone" width="530"] 埼玉西武ライオンズの西川愛也(写真:産経新聞社)[/caption]

 

 

 

・投打:右投左打

・年齢:26歳

・経歴:花咲徳栄高

・ドラフト:2017年ドラフト2位(西武)

・2025年一軍成績:124試合出場、打率.264、10本塁打、38打点、25盗塁

 

 今季でプロ9年目の西川愛也。昨季は自己最多の124試合に出場し、打率.264、10本塁打、38打点とキャリアハイの数字を残した。

 

 安打数はリーグ4位の134安打、盗塁は25をマーク。守備では初のゴールデングラブ賞を獲得し、攻守で躍動した。

 

 昨季に開幕一軍入りを勝ち取った西川は、はじめは2番での起用だったが、4月13日の日本ハム戦から1番に座ると、けがの時期を除き、シーズン終了まで1番で起用され続けた。

 

 

 

 8月2日のロッテ戦では、本塁打1本を含む6安打2打点の固め打ち。右へ左へ真ん中へと、広角に打ち分けた。

 

 1試合6安打は、1955年の西鉄ライオンズ(現:埼玉西武)の仰木彬以来、70年ぶりの球団タイ記録である。

 

 2020年〜23年の3シーズンにわたり、62打席無安打の不名誉な記録を残したこともある西川。

 

 大きく変わったのは、広角に打ち分けられるようになったのに加え、力強く振り抜けるようになったからだろうか。

 

 今季は、FAで加入した桑原将志とも1番を争うことになるかもしれない。さらなる成長で、レギュラーおよびリードオフマンとしての地位を確実なものにしたい。

 

 

【了】