ラーメンチェーン「天下一品」といえば、代名詞ともいえる“こってり”スープを思い浮かべる人も多いだろう。濃厚でクセのある味わいは好みが分かれる一方で、熱狂的なファンを生み、全国に店舗を広げてきた。
その「天下一品」が、なぜ他にはない存在感を保ち続けているのか。その理由を、経営やブランドづくりの視点からひもとく書籍が刊行される。
「こってり」は、いかにして武器になったのか
著者は、本誌でも連載しているラーメンライターの井手隊長。全国のラーメンを食べ歩く一方で、『ラーメン一杯いくらが正解なのか』(ハヤカワ新書)など、価格や経済性といった切り口からラーメン業界を分析してきた人物だ。
本書では、「こってり」という一見ニッチにも思える価値を、どのようにして“唯一無二の武器”へと育ててきたのかを軸に、天下一品の歩みを整理している。流行や効率を追うのではなく、「ブレない軸」を持ち続けることの強さが浮かび上がる内容となっている。
再現性のある努力として描かれるブランドづくり
取材力に定評のある著者らしく、本書にはこれまであまり語られてこなかったエピソードも数多く盛り込まれている。一方で、成功を偶然やセンスだけで説明していない点も特徴的だ。天下一品の取り組みを「再現性のある努力」として捉え、ファンづくりやブランドの積み上げ方、現場での判断基準などを具体的に紹介している。飲食業に限らず、商品やサービスを長く愛される存在に育てたい人にとっても、示唆の多い内容といえそうだ。
章立ては、ブランド誕生の背景から、ファンとの関係性、組織や現場の考え方までを段階的に追う構成。単なる企業ストーリーにとどまらず、「なぜ支持され続けるのか」を言語化している点が、本書の読みどころとなっている。
ラーメン好きはもちろん、ビジネスやマーケティングの視点で読んでも学びのある一冊。天下一品という存在を、あらためて違う角度から見直すきっかけになりそうだ。
書籍概要
タイトル:天下一品 無限の熱狂が生まれる仕掛け
定価:1,760円(税込)
ISBN:978-4534062437
出版社 : 日本実業出版社
発売日:2026年1月23日
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