福士蒼汰が主演するフジテレビ系ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』(毎週火曜21:00~ ※全話放送終了後、FODでseason2独占配信)が、きょう13日にスタートする。

今作はこれまで数多く制作されてきた“警察ドラマ”の中でも、知られざる“警視庁広報課”を舞台にした完全オリジナル作品。事件解決や犯人逮捕だけではない、その裏側で起こる広報課や刑事たちの抗争と葛藤をスリリングに描いたエンターテインメントであり、同時に骨太な社会派ドラマにも仕上がっている。

  • (左から)緒形直人、福士蒼汰 (C)フジテレビ

    (左から)緒形直人、福士蒼汰 (C)フジテレビ

新たな警察ドラマにチャレンジしてきた火9枠

テレビドラマは永遠に語り継がれる“作品”という側面よりも、むしろ“刹那的な娯楽”だ。今この時、私たちが生きている社会の風俗はもとより、その時代の熱量や歪みを鮮度が高いうちにパッケージングして届けられる。その時流に寄り添う軽やかさこそがテレビドラマの真骨頂であり、だからこそ常に“新しさ”が求められるのだ。

しかしその一方で、警察ドラマというジャンルにおいては、もはや様式美ともいえる“型”が確立されており、視聴者は過度な新しさを期待してはいない。むしろ、いつもの安心感を求めている傾向にあるだろう。

そんな中、今作が放送されるフジテレビの「火曜9時枠」は、前クールの『新東京水上警察』や、25年7月期の『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』、同年1月期の『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』など、架空の部署や特殊能力、あるいは新設署の設定を駆使して、警察ドラマという“型”の中で常に新しいチャレンジを続けてきた。

その枠が今回、満を持して選んだ舞台が「警視庁広報課」である。実在する部署でありながら、これまでの警察ドラマでは決してスポットライトの当たることのなかった、いわば警察の裏方ともいえる場所だ。

刑事モノファンも満足させる展開に

物語の導入は、捜査一課を目指すやる気に満ちあふれた刑事の主人公(福士)が、思いがけない広報課への配属に戸惑う姿や、そこで目の当たりにする刑事とは無縁の業務、個性豊かなメンバーたち、そして意味深な過去など、連続ドラマ初回らしい“お決まり”の展開を見せる。

しかし、物語がドライブし始めるのはここからだ。形容しづらい“警察広報”という職務、特にマスコミ対応を担う“広報2係”の特殊性を鮮やかに描き出し、知られざる舞台を垣間見ることができる“お仕事ドラマ”としての好奇心を刺激していくのだ。

だが、どれほど舞台や設定に“新しさ”があったとしても、視聴者が求めているのはあくまで“警察ドラマ”としての醍醐味だろう。単なる広報課の紹介に終始しては、刑事モノのファンを満足させることはできない。その点、今作は実に抜け目がない。主人公が対峙(たいじ)する“ある事件”が、次々と想像を覆していく深い展開へと進展していくのだ。

一見、事件の導入はありふれたものに見えるかもしれない。しかし、そこから二転三転し、最後の最後まで真相が霧に包まれるストーリーテリングは、刑事ドラマファンもきっと満足できるクオリティが担保されている。

底知れない恐怖をはらんだ社会派サスペンス

白眉なのは、その事件の捜査と、広報課という職務が見事にリンクしている点だ。事件の真相が二転三転するたびに、広報としての情報発信、あるいは情報がどう発信“されるか”を巡って思惑や軋轢、葛藤が生じ、組織の論理と個人の正義が激しくぶつかり合っていく。単なる犯人逮捕の物語だけではない、その裏側で翻弄される者たちの闘いこそが、今作を唯一無二の警察ドラマへと昇華させているのだ。

そして物語は、単なるエンターテインメントの枠を超え、現代社会における“情報のあり方”について警鐘を鳴らし始める。広報課を通して描かれるのは、決して他人事ではない。嘘か本当か見分けがつかない情報に踊らされ、真実を見失っていく我々自身の姿、すなわち現代社会そのものだ。

私たちは、未知なる広報課の奔走にリアリティを感じ、そこで映し出される光景に息をのむ。それは決して心地よいものではない。むしろ「何を誰を信じればいいのか?」という、足元が崩れるような恐怖がつきまとう。第1話を観終えた後、心に残るのは爽快感ではないだろう。しかし、その晴れない霧の正体を確かめたくて、最後までこのドラマを見届けずにはいられなくなるはずだ。

今作ほど“今”をむき出しにしたドラマはない。フィクションという枠組みを借りて、現代社会の歪みをそのまま突きつけてくるような、底知れない恐怖をはらんだ社会派サスペンス。今しか作れない、そして今こそ見るべき一作が誕生した。

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