DeNA、反転攻勢のきっかけとなった「1番・蝦名達夫」 相川新体制で描く202…

 2025年の横浜DeNAベイスターズは、71勝66敗6分、勝率.518でリーグ2位となった。とりわけ9月以降は17勝6敗1分と高勝率でシーズンを終えた。その要因の一つとして、「1番・右翼」で蝦名達夫が定着したことを挙げ、今季の展望も含めて分析・考察していきたい。

 

模索が続いた2025年のベイ打線

 

 2025年のDeNAの野手陣は、主軸を務める打者に故障者が続出した。8月に主砲の牧秀悟、9月にはベテランの宮﨑敏郎が故障で戦線離脱。タイラー・オースティンもコンディションがなかなか万全とならず、チームは打線の構築に苦しんだ。

 

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 自慢の強力打線を構成する主軸のなかで、年間を通して出場し続けられたのは佐野恵太のみ。打線のつながりの安定感を維持することが難しく、特に交流戦期間の6月は大きく黒星が先行した。

 

 中心打者の故障以外にも、誤算があった。「1番・中堅手」のリードオフマンとして期待された梶原昂希は開幕スタメンを飾ったが徐々に調子を落とし、今季は61試合の出場で打率.245、6盗塁と、飛躍を果たせなかった。

 

 機動力野球の旗振り役として期待された森敬斗も、シーズン序盤はスタメンに名を連ねたものの、調子を掴むことができない。28試合の出場で打率.153、0盗塁と、期待を大きく裏切ってしまうシーズンとなった。

 

反転攻勢のきっかけとなった「1番・蝦名」の定着

 

 7月以降は借金生活が続き、上位進出に向けてなんとか解決策を模索していたDeNAだったが、8月後半から一気に反転攻勢に入る。何と9月以降の成績は、17勝6敗1分の快進撃である。そのきっかけとなったのが、蝦名達夫の「1番」定着だ。

 

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 8月13日の東京ヤクルトスワローズ戦で、今季初めて「1番・右翼」としてスタメン出場を飾った蝦名。それまでは下位打線や2番を打つことが多かったが、5月~7月の月間打率はいずれも2割5分に届かず、持ち味をフルに出せていない状況だった。

 

 しかし、1番に定着した蝦名は圧倒的な存在感を発揮するようになる。8月は25試合に出場して月間打率.344、4本塁打、13打点。9月も23試合出場で打率.330、3本塁打、15打点と一気に大爆発した。

 

 蝦名のリードオフマン定着は、打線を形として生み出していく礎となった。シーズン序盤に不調に悩んでいた筒香嘉智が3番に定着し、8月・9月で計13本塁打、31打点とポイントゲッターとして定着。蝦名が勢いをつけ、筒香が還すというパターンが形成された。

 

蝦名から分析する”1番打者としての役割”

 

 蝦名は走力も持ち合わせているが、年間30~40盗塁を稼ぎ出す俊足好打のタイプではない。蝦名の持ち味は、強いスイングに秘めるパンチ力と、打席での高い適応能力だろう。そして、チームを勢いづける存在感だと分析する。

 

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 蝦名は今季、115試合に出場して打率.284、8本塁打、41打点を記録した。盗塁こそ5だが、8本塁打、21二塁打を稼ぎ出す長打力と走力があり、出塁率も.355と高い数字を残した。これだけでも1番打者に相応しい数字だが、特筆したい数字がある。

 

 それは、リーグ最多の7本の犠飛を放っていることだ。蝦名は得点圏打率も.279と優れているが、それに加えて犠飛というかたちで得点に貢献しているのだ。これはつまり、下位打線で作ったチャンスを、蝦名がそつなく得点に繋げていることを意味する。

 

 蝦名が調子を上げてきた8月中盤以降、下位打線に定着していたのが、売り出し中の石上泰輝と林琢真だ。彼らは盗塁できる脚力を持ち、喰らいついて出塁する嫌らしさも徐々に身につけ、下位打線からチャンスを作る一役を担った。

 

 特に石上は7月以降に打撃の調子を上げ、いずれの月も出塁率が3割5分を超えている。石上が演出した好機を、蝦名がきっちりモノにしていることが、得点力の増加と打線の勢いにつながっていることが言えると思う。

 

 犠飛を増やしている要因と考えられるのが、蝦名のパンチ力だ。とりわけ中堅から右方向へ飛んだ打球が、大きく伸びていく。俊足好打タイプの1番打者よりも、蝦名を迎えた投手は犠飛を含めた長打力を警戒しなければならない。

 

 それはすなわち、相手投手にとっては下位打線の出塁を許すことができないという心理に繋がるのではないか。1番打者に長打力があることで、DeNAは打線の新たな形を見出し、8月終盤以降の躍進につながったのではないだろうか。

 

 牧やオースティンが離脱しても、DeNAには前述の筒香や佐野をはじめ、ダヤン・ビシエド、山本祐大など手強い打者が揃う。1番が俊足好打タイプでなくても、中軸でのチャンスメイクも可能な打線となっている。

 

 DeNAにとってのベストなリードオフマン像が、蝦名という選手に集約されていたのではないか。

 

2026年型の新打線はいかに

 

 今季新たに就任した相川亮二監督は、打線を作るにおいて1番打者の重要性について言及している。最も打席数が多いため、チームの最強打者である牧を据える案も口にし、昨季からの改革を講じる気配がある。

 

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 ただ、昨季後半に完成された1番・蝦名からの打線の流れは忘れがたいものがある。そこで、2026年の新打線を独自に考察していきたい。

 

 1番は蝦名で固定し、2番には昨季悔しい思いをした梶原を抜擢したい。蝦名が出塁した場合は、梶原にチャンス拡大の任を思い切って与えられ、仮に出塁できなかった場合は梶原がリードオフマンとなる。

 

 中軸は、「3番・三塁」筒香、「4番・二塁」牧、「5番・左翼 or 一塁」佐野、「6番・捕手」山本で、ある程度の固定を図りたい。山本も蝦名と並ぶ7犠飛を放つ勝負強さがあり、小技もできるので繋ぎ役にもなれる。

 

 7番には一発のある外国人選手を入れられたら理想的。8番は石上を抜擢し、チャンスメイクに期待したい。多士済済の下位打線で塁を埋め、蝦名を得点圏で打席に立たせたい。

 

 チームは2024年に日本一を達成したが、念願のリーグ優勝は1998年以来遠ざかったままだ。相川新監督率いる新星ベイスターズに対する期待度は非常に高いものがある。

 

 その牽引役として、蝦名が更なる成長をグラウンドで見せられるかが、非常に大きなキーとなるような気がしている。今から早くも、3月の開幕が待ちきれない日々だ。 

 

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【了】