「これまで誰も作ってこなかった“一覧”」を見ながら出演者たちがトークを繰り広げていくフジテレビのバラエティ特番『櫻井翔の一覧ファクトリー ~“アレ”全部並べてみた!~』(30日12:50~)。企画・演出を務めるのは、情報番組『サン!シャイン』を担当する、フジテレビ入社3年目の浅野崇太郎ディレクターだ。

世の中にあふれる「一覧」というキーワードから、どのように番組が生まれたのか。MCの櫻井翔にオファーした理由や魅力、制作の舞台裏、情報番組のスタッフがバラエティを作る理由などを含め、頭の中が「一覧」に“占拠”されつつある浅野Dに話を聞いた――。

  • 『櫻井翔の一覧ファクトリー』MCの櫻井翔 (C)フジテレビ

    『櫻井翔の一覧ファクトリー』MCの櫻井翔 (C)フジテレビ

“一覧そのものが主役”を意識

今年夏、フジテレビ社内で「将来的にGP(ゴールデン・プライム)帯で戦える企画」というテーマの企画募集が行われ、そこで浅野Dが出した7本のうちの1本が『一覧ファクトリー』だった。

「(放送)作家さんと企画会議をする中で、“一覧って面白いよね”という話になったんです。飲み屋でも日常会話でも、一覧を見ながら話すと盛り上がるし、発見もあるし、情報も詰まっているから、トーク番組になるんじゃないか、という気付きが出発点でした」(浅野D、以下同)

自身が担当する情報番組『サン!シャイン』でも、大谷翔平選手の活躍や、何かの賞の歴代受賞者など様々なテーマを一覧にして紹介することが多いというが、なぜ「一覧」は面白いのか。浅野Dは「図鑑のように、並んだものを“まず見る”こと自体のビジュアル的な楽しさだと思います」と言語化する。

だからこそ、「テレビでよく見るランキング形式にはせず、多少のクイズ要素は入れますが、一覧が出た時に一部を隠して問題にすることもあまりしていません」とルールを設定。「今まで見たことがない“一覧そのものが主役の番組”を意識しました。“一覧”を作品として作り、その面白さをみんなで“愛でる”というのを番組の軸にしています」と、この番組の特色を解説する。

このため、番組全体を通してVTRは必要最低限の尺にとどめ、スタジオトークで“愛でる”時間をメインとする構成にした。ネタ案の会議は「つい盛り上がって脱線することがよくありました」というが、それは本番のスタジオトークもハネる要素がある証左と言える。

老舗専門誌やデータベースも作っていなかった一覧

ネタ選びについては、「若手の独りよがりで尖りすぎないように、ADさんからCP(チーフプロデューサー)まで、立場関係なく案を募ってみんなで話しながら決めました」といい、ここで大事にしたのは“縦=歴代”と“横=現在”のバランス。「歴代の一覧は、懐かしさで世代間トークが盛り上がりますが、『THE世代感』(テレビ朝日)のような番組がある中で、そればかりにはしたくない」と意識した。

今回登場する“縦”の一つは、「歴代No.1ヒットおもちゃ一覧」。創刊120年以上の歴史を誇るおもちゃ専門誌『トイジャーナル』の協力を得て、単価に左右される売上でなく“実感として本当に流行ったもの”を1970年から2025年まで選出して一覧化した。

「年末に家族がそろって見てもらえる番組の入口として選びました。櫻井さんを含め、スタジオの皆さんが実際におもちゃで遊んでいるので、この番組でしか見られない表情が出ると思います。櫻井さんも子どものころハマっていた“あるおもちゃ”が登場して夢中で遊んでいます」と予告する。

一覧化して気づいたのは、おもちゃが世相を映す鏡であるということ。「2011年は『人生ゲーム』なのですが、それは東日本大震災の影響で電源を使わないボードゲームがヒットしたんです。ほかにも、2006年前後でバンダイとナムコ、タカラとトミーなど少子化による影響で大手おもちゃメーカーの合併が相次ぎ、それから数年間は大人向け玩具が売れたり、コロナで親のリモートワークを見て『パソコントイ』が流行ったりしていました」

“横”の一つは、「日本のイチゴ一覧」。農林水産省の委託先のデータベースで調べられると思いきや網羅できず、「全国に約50ある中央卸売市場に1軒ずつ電話して、“流通している品種を全部教えてください”とリサーチしました」と時間をかけて地道に作った一覧だ。

「赤いものがズラッと並ぶビジュアルの壮観さで、面白さが出ると思います」という自信作だが、形状や色が似ている品種もあるため、「絶対に写真を取り違えないように気をつけました」と、細心の注意を払って一覧化した。

このように、どの一覧も既存のものを流用するのではなく、手間ひまかけて“見たことのない”ものを作成していることが、番組タイトルの「ファクトリー(=工場)」の理由となっている。