ふるさと納税が始まって以来、「2,000円の自己負担で、肉や魚介類などさまざまな返礼品をもらえてお得」と言われてきた。しかし制度が改正され、今年10月以降、ポータルサイトで寄付に伴うポイント付与が禁止されることになった。その背景にはどのような課題があるのか、また、制度改正によってどのようなことが起こるのか。「マイナビふるさと納税」責任者の西島圭亮氏に聞いた。
ふるさと納税を取り巻く課題
ふるさと納税制度は年々利用が拡大し、総務省の調査では、2024年度の寄付総額は過去最大の約1兆2,728億円に達するなど、国主導の制度として重要な役割を果たしている。一方で、ふるさと納税はさまざまな課題に直面している。
西島氏は1つ目の課題として、制度市場が拡大する中、寄付を行うきっかけが金銭的メリットに傾倒しており、制度の本質から大きく乖離していることを挙げる。ご存じのように、ふるさと納税を購入できるポータルサイトがいくつも立ち上がっており、購入金額によってポイントを付与することで競争が繰り広げられてきた。利用者も自治体を応援するというよりは、返礼品やポイントありきで、寄付をしてきた。
2つ目の課題として、地方自治体によりポータルサイトに支払われる手数料が、自治体の財政的負担になっていることがある。総務省の調査によると、物価高等で返礼品の寄付額が上がる中で、手数料が寄付額の13%を占めることがわかっている。
寄付獲得に必要な経費ではあるものの、サイト手数料の負担が大きく、寄付受付費用(意思のない経費)としての意味合いが強いという。また、寄付額が高いと、寄付先の選択肢が減るため、寄付額を抑えたいという自治体の声もあるそうだ。
3つ目の課題としては、返礼品の提供事業者において経費負担が増えており、制度を介して受け取ることが可能な本来の費用を受け取り切れていないことが挙げられる。
加えて、5割ルールのひっ迫が引き金となり、返礼品の寄付額が上がることで寄付件数が減少。その結果、返礼品事業者は制度経由の収益が減っているとのことだ。
さらに、地域・事業者・返礼品を知ってもらうための活動が制限され、PR・集客を図る活動が不足する状況が生じている。
地方自治体の掲載手数料を10%から2.5%へ引き下げ
こうした中、ポータルサイトの運営者は方針転換を迫られているが、「マイナビふるさと納税」では、前述した制度上の課題に対し、地域経済の好循環を生み出す掲載手数料の引下げや地域の魅力を伝える取り組みを進めている。
まず、2026年4月より、自治体がポータルサイトに情報を掲載するための手数料を10%から一律2.5%とすることを決定した。その理由について、西島氏は次のように説明する。
「2025年9月をもって寄付によるポイント付与等が廃止となった現在も、大手各社含め手数料を下げないという方針のポータルサイトも存在します。しかしマイナビは、ユーザーメリットと自治体の課題解決を実現するために、業界の手数料を大幅に下回る手数料2.5%への引き下げ適用を決定しました」
掲載手数料が改定されることで自治体の財政的負担が軽減し、結果として、返礼品ごとの寄付金額の適正化、広告費としての経費活用による新たなPR手段の確保、返礼品提供事業者への還元といった選択肢が可能になるという。
全国の自治体から応援・歓迎の声
こうした「マイナビふるさと納税」の取り組みに対し、全国の自治体から賛同や応援の声をもらっているという。
山梨県甲府市 甲府市役所 産業部ふるさと納税課 主事 大野甲斐氏は、「今回の取り組みは、マイナビふるさと納税での手数料負担が減ることで、その分の費用を広告費や返礼品開発などに充てることが可能となるものです。これは、自治体にとっても寄附者にとってもメリットのある仕組みであり、手数料の引き下げによって、自治体・地域経済・寄附者の間で好循環が生まれることを期待しています」とコメントを寄せている。
また、北海道白糠町 白糠町役場 ふるさと納税推進係からは、「今回のマイナビの新しい取り組みは制度全体の課題である「経費の増大・節減」に直接的に良い影響を与えるため、中長期的に見て、生産者や寄付者にとってもプラスになる取り組みだと感じています。手数料が大幅に下がることで、ご寄付をいただいてからの取り組みをより強化できるようになる点も大変ありがたく思います」といった声が届いている。
西島氏は、「今後も『マイナビふるさと納税』は、自治体のプロモーション支援、返礼品事業者への貢献、寄付者にはより多くの自治体、返礼品を選べる寄付窓口となることで、地域の発展に貢献していきたい」と語っていた。
