1965年11月27日に公開された大映映画『大怪獣ガメラ』の生誕60周年を祝い、昭和・平成・令和と3つの時代をまたいで数多くのファンを獲得した「ガメラシリーズ」の歴史をたどる展示会「ガメラ生誕60周年記念大回顧展 ガメラEXPO」が、2025年11月22日より東京・有楽町マルイ8Fイベントスペースにて開催されている。
開催前日の21日に行われた関係者内覧会には、平成『ガメラ』シリーズ三部作で特技監督を務めた樋口真嗣や怪獣造型を手がけた原口智生、特撮美術の三池敏夫をはじめ多くのスタッフが会場を訪れ、90年代にそれぞれが情熱を燃やして作り上げた平成『ガメラ』シリーズを懐かしくふりかえった。
『ガメラ』の歴史
「ガメラEXPO」は、日本独自の「特撮」文化に着目し、その技術と継承者たちに光を当てることを目的とした展覧会として2016年にスタートした「特撮のDNA」製作委員会の協力のもと、日本特撮映画界のスーパースターとして東宝の『ゴジラ』に匹敵する人気を備えた大映~KADOKAWAの大怪獣『ガメラ』シリーズの軌跡と魅力に迫る展示イベントである。
記念すべき「ガメラ」シリーズの第1作『大怪獣ガメラ』は今から60年前、1965年に公開された大映製作の特撮怪獣映画である。
北極の氷の中から出現した伝説の怪獣ガメラが人類の防衛対策を次々と打ち破り、東京に上陸して大暴れするというストーリー。あらゆるエネルギーを食料とし、口から火炎を吐くほか、両手両足をひっこめて中からジェット噴射を行い、回転しながらマッハ3のスピードで空を飛ぶガメラはたちまち大評判となり、1966年に『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』、1967年に『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』と、年に1本のペースで続編が製作されることとなった。
『大怪獣ガメラ』では東京の街を壊しまわっていたガメラだが、同時に「子どもの危機を救う」という意外な習性をのぞかせた。これを受けて『ガメラ対ギャオス』以降のガメラは、人間(主に子どもたち)を守って悪い怪獣を相手に戦う「ヒーロー」として人気を博していく。
宇宙怪獣バイラス(1968年)、大悪獣ギロン(1969年)、大魔獣ジャイガー(1970年)、深海怪獣ジグラ(1971年)といった強敵と激闘を繰り広げた後、しばしの休眠状態に入ったガメラだが、1980年に『バルゴン』から『ジグラ』までの6作品から特撮カットを流用・再編集し、新規ドラマ部分を加えた『宇宙怪獣ガメラ』が製作されている。
ガメラに重大な転機が訪れたのは1995年、それまでのガメラ像から脱却し、まったく新しいスタッフ(監督:金子修介、脚本:伊藤和典、特技監督:樋口真嗣)によって本格的怪獣映画『ガメラ 大怪獣空中決戦』が作られた。文芸と映像、両面からリアリズムを追求した本作は「もしも現実世界に巨大な生物が出現したとき、人々はどのような反応を示し、いかなる対策をするのか」といったシミュレーションが徹底され、世の怪獣ファンから「こんな怪獣映画が観たかった」という絶賛をもって迎え入れられた。新生「ガメラ」はシリーズ化され、ほぼ同じ製作陣で『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999年)が作られ、高いクオリティを保ち、国産特撮映画のレベルアップに貢献した。この3作は「平成ガメラ」三部作と呼ばれ、同時期の特撮を売りにした映画、テレビ作品に多大なる影響を与えている。
やがて、平成三部作とは別な方向性を探り、少年とガメラ(劇中ではトトと呼ばれる)との心の交流を軸にしてファミリー層へのアピールを目指した『小さき勇者たち GAMERA』(監督:田﨑竜太)が2006年に公開。また、2023年には「ガメラ」シリーズ初のアニメ作品『GAMERA -Rebirth-(ガメラ リバース)』全6話が製作・ネット配信されている。昭和、平成、令和と時代を越えて人々から愛され続けている怪獣界のヒーロー・ガメラはこれからも形を変えながら、活躍を続けていくことだろう。
「ガメラEXPO」展示の紹介
アニメシリーズ『GAMERA -Rebirth-』のベースとなった、2015年製作の「ガメラ生誕50周年記念映像『GAMERA』」のために、怪獣デザイナー・髙濱幹が作った「ガメラ2015」のひな型が、本展で初お目見えとなった。新たなコンセプトで大胆かつ緻密に造りこまれた、ボリューム感に満ちたガメラの姿を目撃してもらいたい。
『小さき勇者たち GAMERA』で活躍したトトの展示用スーツ。髙濱幹のデザインによる新生ガメラはかつてない愛らしさに満ち、丸みを帯びた造型が施された。このトトが、いかにも凶暴・凶悪そうな敵怪獣ジーダスに、けなげにも立ち向かっていく姿が観る者に感動をもたらした。
会場には歴代『ガメラ』作品のために作られた怪獣のひな型模型や、実際の撮影で使用されたモンスタースーツの実物、メカが内蔵された頭部、撮影で使用されたミニチュアなどが展示されている
『ガメラ 大怪獣空中決戦』ではその題名のとおり、ガメラとギャオスの空中戦が特撮シーンの大きな見どころとなった。本展では両怪獣のミニチュアが吊られ、劇中の名場面が再現された。
樋口真嗣特技監督のスケッチや、前田真宏によるデザインをもとに、原口智生が造型を行ったガメラのひな型模型。
ガメラのライバル怪獣の中でもひときわ人気の高いギャオスも平成に大復活。オリジナルギャオスの特徴的な頭部の形状を活かしつつ、より生物的なアレンジが施された。
『ガメラ2』でガメラが挑む敵は、宇宙大群獣レギオンとなった。ソルジャーレギオンはこの大きさの個体が無数に存在し、ガメラの全身にとりついて攻撃したほか、人間ひとりひとりにも鋭いツメをふるい、底知れぬ恐怖を感じさせている。
『ガメラ3』ではギャオスの変異体=イリスがガメラと戦った。クライマックス、JR京都駅の構内での2大怪獣の死闘は特撮ファンの間で語り草となっている。イリス造型はレギオンに続き、品田冬樹、山部拓也をはじめとする「Vi-Shop」チームが手がけた。
ここが本展の目玉。平成「ガメラ」三部作で活躍したガメラスーツを原口智生が復元するためのクラウドファンディング「ガメラ永久保存化プロジェクト」が目標を達成したことにより、3体のガメラが「永久保存版」立像として初めて勢ぞろいした。


『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』のガメラ 前作のガメラからさらなるボリュームアップを果たし、とてつもない重量を感じさせる。尖った部分が多いこともあり、立像の輸送・設置は数人がかりで慎重に行われたという。
本展の記念サインパネルにも書かれている、原口によるガメラ造型の最大ポイントは「ガメラは甲羅が命!」。3体それぞれに個性が見られるガメラの甲羅をご覧いただこう。
2006年に発売された「ガメラ生誕40周年記念Z計画DVD-BOX」特典フィギュアのため、怪獣造形のレジェンド・村瀬敬蔵が作った「初代ガメラ」立像。村瀬は『大怪獣ガメラ』でもガメラスーツの製作に携わっている。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』で真鍋尚晃と共にガメラスーツアクションを務めた鈴木潤と、宿敵ギャオスを演じた亀山ゆうみが、思い出のガメラと再会を果たした。撮影では主にアップ用スーツが真鍋、アクション用スーツが鈴木という分担だったそうだが、コンビナートの決戦シーンなどで鈴木もアップ用スーツに入っている。亀山は当時珍しかった「女性の怪獣役者」ということで、テレビや雑誌での取材を多く受けていた。
鋭角的で、いかにも危険そうなソルジャーレギオンの造型を手がけたのは、「モンスターズ」代表の若狭新一。四半世紀の時を経ても著しい損傷が見られないソルジャーレギオンの、驚異的な耐久性を間近で見て確かめてほしい。
『ガメラ2 レギオン襲来』ガメラ立像を囲み、特技監督・樋口真嗣と怪獣デザイン・前田真宏(右)がニッコリ笑顔で写真撮影。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』のガメラにアームロックを仕掛ける樋口監督、ガメラの左手に頭をつかまれようとしている前田、にこやかな表情で写真撮影に応じる原口。会場では3体のガメラ立像を背景に、再会を果たした関係者諸氏による記念撮影が何度も行われた。
昭和ガメラシリーズ、平成ガメラシリーズ関連グッズの販売コーナー。「ガメラEXPO」会場限定商品もあるという。
物販スタッフ一押しのガメラ60th記念スカジャン。表にも裏にも、ガメラのカッコいい姿が描かれている。
「ガメラEXPO」は11月22日から12月7日まで、有楽町マルイ(東京都千代田区有楽町2-7-1)8Fイベントスペースにて開催。なお本展の入場は全日程「日時指定制」となっている。詳細は公式サイトを参照していただきたい。
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