コロナ禍を経て、自宅で豆からコーヒーを淹れる人が増えているという。一方で、初心者にはミルの選び方から挽き方、淹れ方、保存法まで分からないことが多い。そこでコーヒーのプロ、UCC上島珈琲で基本から教えてもらった。
豆から淹れるコーヒーが再注目! その魅力とは?
スーパーには、炒り豆製品・粉製品・ワンドリップコーヒー製品などの「レギュラーコーヒー」や、抽出したコーヒー液を粉状にした「インスタントコーヒー」、さらにミルクパウダーやシュガーなどを加えた「プレミックスコーヒー」、缶コーヒーなどの「リキッドコーヒー」など、さまざまな種類の商品が並んでいる。
今回はこの中でも「レギュラーコーヒー」の炒り豆製品に焦点を当てて解説してもらった。
UCC上島珈琲 マーケティング本部 嗜好品マーケティング部 嗜好品プランニングチームの小柴篤志氏によると、コロナ禍で自宅でコーヒーを楽しむニーズが増えたこと、若い世代の間で「かっこいい」などの感情的価値からライフスタイルとしてコーヒーをこだわって豆から淹れる傾向が広がっているのだという。
コーヒーを豆から淹れるメリットは大きく3つある。
1つ目は、コーヒー豆を挽いたときの香り「フレグランス」、抽出後の液体の香り「アロマ」、抽出したコーヒーを口に含んだときの香り「フレーバー」の3つのタイミングで"香り"を楽しめる点。2つ目は、挽き目の粗さ、お湯や粉の量の調整、使用する道具などの工夫で自分好みの味に"カスタマイズ"できる点。3つ目は、粉に比べて豆のほうが空気に触れる表面積が少ないため、"保存性"が高い点。
UCCコーヒーアカデミー東京校専任講師の村田果穂氏に、そんなコーヒー豆の魅力を最大限活かすための、コーヒー豆の扱い方を聞いた。
ここでもう決まる! コーヒー豆の「挽き方」
まずは、スーパーで購入したコーヒー豆を挽くところから始める。
ミルの選び方
コーヒー豆を挽くためにはミルが必要になる。手挽きのもの、電動のもの、全自動のものなど種類は多く、生活スタイルに合わせて選ぶとよい。
ミルを選ぶ際のポイントは大きく2つ。1つは「価格帯」で、製品によってかなり幅があるため予算に合うものを選ぶこと。もう1つは「歯の素材」で、セラミックと金属の2種類がある。粉の粗さが均一になりやすいという点では金属がおすすめだが、水に触れると腐食しやすいため、キャンプなどアウトドアや水回りでの使用には向かないという。
電動ミルを使って実際に豆を挽いてみた。
挽き方は非常に簡単で、コーヒー豆を入れてセッティングし、スイッチを入れるだけである。最後に全体に歯が当たるよう少し左右に動かすと、あっという間に粉状に。
挽きたてが最も香りが強いため、できる限り抽出する直前に挽くことが重要だそう。1週間前に挽いた粉とイベント中に挽いた粉を比べると、鼻に近づけた瞬間の香りの強さがまったく違っていた。
挽き目(粗さ)による味の違い
ミルの挽き目を調整することで、粉の粗さを自分好みに変えることができる。「細挽き」にするほど濃厚で苦みが出やすく、「粗挽き」にするほどすっきりとして酸味が強い味わいになる。
ミルクと合わせてカフェオレにする場合や、濃厚なケーキやチョコレートと一緒に飲む場合は「細挽き」がおすすめとのこと。フルーティーな味わいや酸味の強いコーヒーが好みの場合は「粗挽き」が合うという。
自分の好みが分からない場合は、まずグラニュー糖程度の大きさである「中細挽き」を基準に試すのがおすすめ。
おいしいコーヒーの「淹れ方」
ポイントは「測ること」と「お湯を載せるように注ぐこと」
おいしいコーヒーを淹れるためのポイントは2つ。1つは、お湯の量とコーヒー粉の量を正しく測ること。もう1つは、粉になるべく近い位置から、ゆっくり小さな円を描くようにお湯を載せていくイメージで注ぐこと。
お湯を注ぐケトルは、粉に近づけやすく丁寧に注げるため、口が細長くS字型のもののほうがおすすめだそう。
おいしいコーヒー抽出の手順
まずドリッパーを準備する。形状は円錐型と台形型の2種類があるが、円錐型はお湯の抜けが早く、注ぐ人のコントロールで味が変わりやすいため、初心者には台形型が扱いやすいとのこと。
ドリッパーを用意したらお湯をかけ、落とし切ってから適したフィルターをセット。この際、落ちたお湯を捨てるのを忘れずに。
ここで1つ目のポイント、お湯と粉の量を測って注ぐ。量の基準は「コーヒー粉1:お湯16」。1杯分なら10~12gの粉に対し、140~160mlのお湯が目安である。まずはこの基準から試し、そこから自分好みに調整していくのがおすすめ。なお、コーヒーをすくうためのメジャースプーン1杯=1杯分のコーヒーと思われがちだが、これは間違いなのだとか!
また、お湯の温度は92~96℃がおすすめとのこと。お湯が沸いてから少しおいての使用が目安となる。
次に、フィルターに粉を入れて平らにならし、お湯を注ぐ。ここで2つ目のポイント、上から勢いよくかけるのではなく、丁寧にゆっくり円を描きながら注ぐことが大切。最初は粉全体にお湯をかけるイメージで注ぎ、落ちるまで約20秒待つ。粉のふくらみが落ち着いたら、同じ工程を3回ほど繰り返す。最後にお湯が落ち切ったら完成。
淹れたてのコーヒーを試飲したが、ポイントを踏まえずに淹れていた自宅のコーヒーとは香りも味の深さもまったく違っていた。
香りを守る、コーヒー豆の「保存法」
最後は、コーヒー豆の正しい保存方法。ガラスやプラスチックの容器にそのまま豆を入れて保管する人も多いが、これらは紫外線が当たりやすいため適切ではないという。
村田氏によると、「そもそも各メーカーのコーヒー豆のパッケージは紫外線に強く優秀な仕様であるため、パックのまま密閉容器に入れるのが正解」とのこと。
また、温度が低いほど劣化スピードが遅くなるため、冷凍保存がおすすめ。一方で、冷凍庫から出し入れする際に結露した水分が豆についてしまい、湿気により劣化してしまうこともあるため、小分けにして冷凍庫に入れるのが理想なのだとか。
ただ、かなり手間なので、他の食品の香りが移らないよう密閉容器にパッケージごと入れたうえで、冷蔵庫で保管をするのが最適だそう。ちなみに、開封後の保存期間は、コーヒー豆で1か月程度、コーヒー粉で10~14日程度とのこと。
新たな趣味として、奥深いコーヒーの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。










