教育・育児のために、我が子に対して「つい口から出てしまった一言」が、子どもの自己肯定感を大きく揺るがしてしまう可能性があるのをご存じでしょうか。
本記事では、子どもに言ってはいけないNGワードと、よりよい声かけに変えるためのヒントをわかりやすく解説します。
子どもに言ってはいけない一言の特徴
強い否定や周りとの比較・評価は、子どもに「自分は愛されていないのでは」と感じさせてしまうきっかけに。悪気なく口にしてしまいがちなので、まずは知ることから始めましょう。
きょうだいやほかの子どもと比較する
「弟はできるのに」「お友達のほうが、覚えるスピードが早いね」と比べると、自分を認めてもらえない気持ちになります。周りと比べるよりもその子自身の成長に目を向け、「あなたらしく頑張っているね」と伝えたほうが、子どもの心に響いてプラスの影響を与えます。
命令・強制する
「さっさと宿題を終わらせなさい!」「よそ見してないで集中しなさい!」と強く言って動かそうとすると、子どもはやる気より反発心を感じやすくなります。「このページは終わったね」と部分的にでもできたことを言語化したほうがやる気が損なわれず、次の行動が出やすくなります。
能力を否定する
「あなたにこれはできない」「わかっていない」と否定されると、挑戦する前にあきらめるようになってしまいます。子どもの小さな努力や工夫を見つけて「ここは頑張ったね」と伝えることが、次の一歩につながります。
人間性を否定する
「そんなことしてはダメ」という言葉は、子どもにとっては存在そのものを否定されたように響きます。注意するときは「今は〇〇する時間じゃないよ」のように目の前の行動に焦点を当てることが大切です。
子どもを叱るときに言ってはいけない一言
叱ること自体は悪いことではありません。大切なのは「どう伝えるか」。子どもの存在や人柄を否定する言葉は避け、行動に焦点を当てることが基本です。
あなたがいなければ●●できたのに
親に存在を否定されたら、子どもは当然「自分はいないほうがいいんだ」と感じてしまいます。代わりに「このままだと間に合わないから、ちょっと手伝ってくれると助かるな」と協力をお願いする形に変えましょう。
ほかの子はできるのになんでできないの
子どもは比較されると「自分は劣っている」と感じ、自信を失います。できないときこそ親の伴走が必要です。「自分が受け入れられている」とわかると前に進みやすくなります。
いいかげんにしなさい
大人には使い勝手のよい言葉ですが、具体性がないため、何に対して注意されているのか子どもは理解できません。親子間で共有しているルールを再確認し、「今日のゲームはあと1回」「スマホで遊ぶのは9時まで」など明確な線を示していきましょう。
こんなことしないで
理由を聞かずに子どもを一方的に問い詰めると、責められている気持ちになり、素直に話せなくなります。「何があったか教えて」と、相手の気持ちを聞き出す形に切り替えると、安心して答えやすくなります。
お姉ちゃん(お兄ちゃん)なんだから我慢しなさい
年齢だけを理由に我慢を強いると「自分ばかり損をしている」と感じ、きょうだい関係に溝をつくることもあります。上の子の気持ちも理解し、「大変だったね」と共感を示すことが大切です。
本当にいじわるな子ね
人柄を否定するのではなく「その言い方だとお友達が悲しむよ」と伝えると、行動改善につながります。
何をやってもダメなんだから
挑戦する気持ちを根こそぎ奪う言葉です。「やっても無駄」と思い込むようになり、努力する力が弱まります。「今回はうまくいかなかったけど、ここはよかったよ」と部分的に評価して次へつなげましょう。
勝手にしなさい
突き放す言葉は「もう助けてもらえない」と感じさせます。子どもは不安や孤独を抱きやすくなり、反抗や無気力につながります。「ちょっと落ち着いたらまた話そうね」と時間を区切る表現に置き換えると安心します。
子どもをほめるときに気をつけたい一言
基本的にほめることは育児にプラスの影響を与えますが、言葉の選び方を誤ると逆効果になることがあります。その子によって響き方が異なる言葉もあるので、具体的に見ていきましょう。
才能があるね
才能を強調されると、子どもは「才能がなければダメ」と感じてしまう可能性があります。努力や工夫をほめることで「頑張れば成長できる」という子どもの前向きな気持ちを育めます。
あなたは本当にいい子だね
なかには「いい子でなければ親は受け入れてくれない」と「いい子」であることを演じようとして、本当の気持ちを抑えてしまうことがあります。「片づけてくれて助かったよ」など、行動に対して感謝をする言葉が効果的です。
完璧! 最高!
結果への最高の賛辞を嬉しいと感じる子が多いなか、自信がない子には「次も成功しなきゃいけない」というプレッシャーを生むことがあるので、我が子のタイプや反応で見極めていきましょう。「一生懸命努力していたね」と過程に注目するほめ方は、どんな子も喜ぶのでおすすめです。
さすがお兄ちゃん(お姉ちゃん)だね
これも響き方はその子によりけりで、いい方向に伸びる子もいれば、無理に頑張りすぎたり我慢したりしてしまう子もいます。後者であれば、その子自身の行動を評価する言葉を選んでいきましょう。
子どもに気持ちを上手に伝える方法
気持ちを上手に伝えることは、親子の信頼関係を深める大切なステップ。ここではすぐに実践できる方法を紹介します。
肯定の言葉に言い換える
禁止表現は「逆にその行動をイメージさせてしまう」ことがあるといわれています。「走らないで」と“子どもが走ること”を否定すると、逆にやめにくくなることもあるといわれています。「歩こうね」と肯定の言葉で伝えることで、やるべき行動がはっきりイメージできるようになります。
具体的な代替案を提示する
「それはダメ」「やめなさい」と行動を制限する言葉だけでは、子どもはどうしたらいいのか戸惑ってしまう原因に。「ここで遊ぶんじゃなくて、あっちなら遊んでいいよ」など、代替案を示すと、安心して次にどうしたらいいのかを選べるので、自分で決める感覚も育ちます。
注意する理由を伝える
子どもは注意する際に理由を添えると、「大人の気まぐれ」ではなく「ちゃんとした意味があるんだ」と理解しやすい傾向があります。たとえば「車が危ないから、手をつなごうね」と伝えると、言われたことを自分ごととして受け止めやすくなります。
感情的にならない
感情的になって怒鳴ってしまうと、子どもはなぜ注意されたかのかが理解できず、「怖い」という感情ばかり焼きついてしまいます。冷静になって落ち着いた声で話すだけで「聞こう」という気持ちを引き出すことができ、理解や学びにつながりやすくなります。
「私」を主語にしてみる
子どもを主語にするのではなく、注意する側の目線で気持ちを伝えてみましょう。「あなたが悪い」ではなく「私は困っている」と伝えるだけで、子どもは責められていると感じにくくなり、親の気持ちを理解してもらえる効果があります。
小さな言葉の工夫が、子どもの大きな自信に
子どもは親の言葉から「自分は大切にされている」と感じ取ります。だからこそ、否定や比較ではなく、行動や気持ちに寄り添った言葉を届けることが大切です。少し言い回しを変えるだけで、子どもの笑顔が増え、やる気が生まれることも。
今日からできる小さな工夫で、子どもの心に「自信」と「安心」を育んでいきましょう。




