Paykeは10月29日、訪日外国人の「日本式カレー」に対する認知や関心についての調査結果を発表した。調査は2025年9月、同社運営のアプリを利用する訪日外国人900名を対象にインターネットで行われた。
日本式カレーが国境を越え定着
日本式カレーは、海外の旅行者にとっても"独自のジャンル"として知られている。インドなど本場のスパイスカレーがスパイシーで刺激的な味わいを特徴とする一方で、日本のカレーはまろやかで甘みがあり、どこか家庭的な安心感を持つ料理として受け入れられている。その食べやすさや多様なアレンジ性から、今や「日本のカレー」は世界各地で親しまれる存在となっている。実際に今回の調査では、全体の77.1%が「日本国外でも日本式カレーを食べる」と回答しており、日本のカレー文化が国境を越えて定着していることがわかった。つまり、日本式カレーは"日本国内で食べる特別な料理"ではなく、"海外でも親しまれる日本文化の一部"として、多くの旅行者の日常の中にも自然に根付いているとも言える。
日本滞在中のカレー体験
実際に日本を訪れた際にも、多くの旅行者が「本場の日本式カレー」を楽しんでいる。調査結果では、「滞在中に1回程度」(32.9%)が最も多く、「2~3回」(15.6%)と合わせると、約半数が旅行中に少なくとも一度はカレーショップを訪れていることがわかった。一方で、「ほとんど行かない」(29.4%)や「全く行かない」(6.7%)という回答も一定数あり、日本式カレーは"誰もが必ず食べる定番料理"とまではいかないものの、幅広い旅行者の食体験の中に確実に根付いている様子が見られる。
国籍別に見ると、台湾・香港の旅行者は「滞在中に1回程度」が3割超と高く、手軽に楽しむスタイルが主流。一方、アメリカの旅行者は「2〜3回」(41.4%)と比較的頻度が高く、日本滞在中に日本式カレーを"身近で手軽に楽しめる食事の1つ"として選ぶ傾向が見られる。
さらに訪日回数別では、6回以上の経験者の47.2%が「滞在中に1回以上」カレー店を訪問しており、訪日経験が増えるほどカレーを食べる機会も増加する傾向が見られた。
専門カレーチェーンとその他の店舗における認知状況
調査では、日本式カレー専門チェーンの多くが、訪日外国人の間でまだ広く知られていないことが明らかになった。その中で「ココ壱番屋」は来店経験率47.8%と突出して高く、外国人旅行者にとって"日本式カレー"を象徴するブランドとなっている様子が見てとれる。
その他では、「チャンピオンカレー」の来店経験率は6.0%、「日乃屋カレー」は5.8%、「C&C」は認知のみ28.9%だった。牛丼チェーンのようにカレー専門店ではないブランドも、"手軽にカレーが楽しめる日本の外食文化"として受け入れられている様子がうかがえる。
自由回答では、地域密着型の人気店も多く挙がった。代表的なものとして、北海道発のスープカレー系では「SOUP CURRY GARAKU」「Suage」「マジックスパイス」。関西ローカルでは「欧風ライスカレーケンズ」「得正カレー」が挙げられた。また、全国チェーンでは「カレーショップC&C」「サンマルコ」「上等カレー」「マイカリー食堂」。家庭用ルウブランドでは「House Foods」「S&B」「Golden Curry」が挙がった。
多くの旅行者が「日本ではどこでも美味しいカレーが食べられる」と感じており、専門店に限らず定食屋や喫茶店でも提供されるなど、カレーが日本の外食文化に深く根付いていることが分かる。日本式カレーは"特別な料理"ではなく、日常に溶け込んだ「日本文化の一部」として国内外で親しまれている。
ココ壱番屋から見える外国人の食体験
日本式カレーは、海外でも"親しみのある日本食"として広く浸透しているが、実際に旅行中どのようなきっかけで食べる行動につながるのかは、これまで明確ではなかった。今回の調査では、最も知名度が高いカレーチェーン「ココ壱番屋」に注目し、訪問経験や動機、来店タイミングなどから、外国人旅行者が日本でカレーを選ぶまでのプロセスを分析した。
その結果、"ブランド認知をきっかけに訪れる層"と"現地で偶然見かけて入店する層"の2つが存在し、日本式カレーが旅行者にとってどのように「身近な食体験」となっているかが明らかになった。調査では、訪日外国人の約半数近くが「ココ壱番屋に行ったことがある」と回答し、国籍による大きな差は見られなかった。訪日回数別では、「6回以上」のリピーター層の56.4%が来店経験ありと答えている。
来店動機では、「以前から知っていて、日本で本場の味を試したかった」が最も多く30%、次いで「カレーを食べたくなったから」(23%)、「街を歩いていて、偶然見かけて美味しそうだった」(19%)続いた。この結果は、"ブランドを知っていること"が信頼感につながり、来店行動を後押ししている可能性を示している。
また、ココ壱番屋は海外にも多くの店舗を展開しており、旅行前からすでに味や商品に馴染みのある層が多い点も、訪日中の来店を促す要因となっていると推測される。来店を決めたタイミングについては、「お店を見て、その場で決めた(衝動的)」が71%で最多となり、計画的というよりも"街歩きの中で見かけて入る"という行動が一般的であることがわかる。

