三谷幸喜オリジナル脚本による1984年の渋谷「八分坂」という商店街を舞台にした群像劇のフジテレビ系ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(毎週水曜22:00~ ※TVer、FOD、Netflixで配信)。8日に放送された第2話では、いよいよ物語の方向性が見え始めた。
【第2話あらすじ】久部が突拍子もない宣言「ここを日本一の劇団にしたい」
ストリップ小屋「WS劇場」のダンサー・倖田リカ(二階堂ふみ)のパフォーマンスに心を撃ち抜かれ、急きょ、勝手にライティング演出を敢行した久部(菅田将暉)。その能力を買った劇場支配人の浅野大門(野添義弘)は、久部に「うちで働いてみないか」と雇う。
だが、風営法の改正でストリップショーが厳しく規制されるようになる。「WS劇場」も2年前の熱狂がウソのように寂れてしまっていた。パトラ鈴木(アンミカ)が踊るショーの客席は閑散とし、まるで盛り上がらない。
久部は、劇場スタッフの伴工作(野間口徹)に連れられ、ダンサーたちの楽屋を挨拶に訪れる。そこで久部はリカと再会する。「頑張ります!」と気を吐くが、リカは興味なさげに目をそらす。
そんなある日、正義感の強い純情警察官の大瀬六郎(戸塚純貴)により、パフォーマンス中にすべての肌をあらわにしたダンサー・毛脛モネ(秋元才加)が検挙されてしまう。
いよいよ劇場の未来が見えなくなった支配人の浅野は劇場を畳もうとする。だが関係者全員の前で久部が「この舞台装置を生かして、ここを日本一の劇団にしたい」と、突拍子もないことを申し出て──
期待値を上げる二階堂ふみのゾクゾクするような芝居
あまりに登場人物が多すぎ、その人物紹介的ニュアンスが強かった第1話。賛否両論で、30分拡大と長かったことと重なり、SNSでは「話が動かない」「人物紹介が長すぎる」との声もあった。だが第2話の放送後、そんな声たちに、「第2話面白かった! 離脱した人たち、戻っておいで」などの呼びかけが見られた。つまり、物語の方向性が見え始めたのが、この第2話だ。
ここにきていよいよ、豪華キャスト勢ぞろいの魅力が出始めた。個人的に目を引いた1人は、二階堂ふみ。彼女の強みは、画面にいるだけで視線を集めるオーラや存在感の強さ、感情が揺れる微妙な瞬間、声の揺らぎ、視線の変化、小さな表情変化などを大切にする演技にある。
第2話では出番が少なかったにもかかわらず、久部が「頑張ります!」と気を吐いた時の興味なさげな背中での演技。また、久部が「WS劇場」を劇団にすると演説するシーンで、「この人に任せてみるのもの面白いんじゃないかと思う」と語った時の、「彼女はその劇団ですごいスターになるのではないか」と匂わせる表情や芝居にはゾクっとした。一気に「面白くなりそう」との期待値が上がったのだ。
次に、江頭樹里役の浜辺美波。巫女姿の愛らしさと、久部に「女性の裸を売り物にするのはどうかと思う」「踊っているほうも踊っているほう。集まる観客も軽蔑する」などの言葉で自身の考えをぶつけるシーン。また、実は「WS劇場」に通っていた神主である父・江頭論平(坂東彌十郎)を説教する強気な一面とのギャップも魅力的であり、もはや同作品の“アイコニック的存在”となる予感がする。
そして何より我らが兄貴・市原隼人だ。「WS劇場」の用心棒を務めるこわもてのトニー安藤を演じているが、大スクリーンでも映えるだろう圧倒的すぎる存在感と、すごみ、そしてかわいらしさが、この物語にいい「異物感」を与えている。彼の頼もしさと、今後何をするか分からない“危うさ”。トニーは今後、この物語を飽きさせない新鮮さとして必要不可欠な存在になり得る。
三谷作品×西浦監督の「ノッキング」に可能性
三谷作品の会話劇の熱烈なファンであれば、「面白い」「笑える」と思うだろう。だが筆者は、いち視聴者として、第2話段階では、「まだまだ三谷脚本はこんなものではない」と感じた。演出の西浦正記氏とのカラーと、あまりに広く知られすぎる三谷カラーの「ノッキング(=意図や見せ方、タイミングの合わなさ)」もその理由に考えられる。
西浦作品の良さは、役者が言葉を発さない瞬間、視線の動き、呼吸の間合い、小物を扱う指などに注目して「演出が語るもの」を読み取る。キャストの個性が演出にどれほど反映されているか、あるいは固定された演出スタイルを無理に押し付けていないかを十分に考慮する。どこで観客の期待を揺さぶるかメリハリを効果的に入れる、などだと思う。
双方ともに面白さのカラーが強すぎるため、「ノッキング」が起こり、「テンポの悪さ」などの否定的な意見が出ていたのかもしれない。その証拠に、三谷作品常連の井上順が出たシーンの安心感たるや…。だが、「ノッキング」は時に化学反応を起こし、全く新しい作品を生み出すきっかけにもなる。これが視聴者になじんだとき、評価は変わりそうだ。
また、スマホを見ながらなど、「流し見」でドラマを観る人も多い現代において、同作品は情報過多だということもある。特に三谷脚本の持つ軽妙さの中に隠してある伏線は、集中力と観るカロリーを足さなければ、見逃される。
第2話までの「ノッキング」は、次の加速のための空ぶかしにも見えた。三谷氏の理詰めな伏線と、西浦氏の個性が同じリズムをつかんだ瞬間、群像は“笑い”と“ワクワク”で加速度的に進むと思う。
実際、SNSには「第2話で途端に面白くなった。第1話を見返す」などの声も複数あった。そして、この実力派ぞろいの座組(菅田将暉、二階堂ふみ、浜辺美波、市川隼人、菊地凛子、坂東彌十郎ほか)は、「ノッキング」の化学反応で灯った炎に色を足せる人たちだ。──楽屋口はもう開いた。火柱が上がる瞬間を、見逃す理由はない。







