秋の味覚の王様、栗。その魅力を最大限に引き出すスイーツとして、ホテルニューオータニの「パティスリーSATSUKI」が毎年期間限定で販売するのが「スーパーモンブラン」だ。価格は1個3,780円(テイクアウト料金)。厳選された素材とこだわりが詰まった究極のモンブランを、実際に食べてみた。
誕生から四半世紀 - 今年の「スーパーモンブラン」は和栗×抹茶がテーマ
誕生から四半世紀を迎え、毎年多くのスイーツファンを魅了し続けるスーパーモンブラン。総料理長・中島眞介氏の「和栗本来の味わいを愉しんでいただきたい」という強い想いから生まれた。
2025年版を手掛けるのは、第7代シェフパティシエに就任した森山雄大氏だ。今年の新作は、世界的に注目を集める「抹茶」を和栗に融合させ、洋と和の絶妙な調和を愉しめる逸品に仕上げている。
主役の栗は、"栗の王様"とも称される熊本県産の「利平栗」など、その時期に最もおいしいものを厳選している。取材時の9月22日は、兵庫県三田産の丹沢栗を使用していた。
ケーキの断面は、まさに和素材の宝石箱のよう。土台はイタリア産マロングラッセを練り込んだアーモンドタルト。その上に、香り豊かな抹茶カスタードクリーム、上品な甘さの黒蜜あんこ、濃厚な太陽卵カスタードクリーム、軽やかな抹茶メレンゲが層をなす。中心には熊本県産和栗の甘露煮が丸ごと一粒隠れており、九州大牟田産の生クリームが優しく包み込む。
仕上げに、シェフが丁寧に絞ったマロンペーストを重ね、上部にチョコレート細工をトッピング。隠し味として青ヶ島産の「ひんぎゃの塩」を加えることで、全体の味が引き締まり、まろやかで濃厚な味わいが完成するという。
「栗のリアルなおいしさを追求した」とシェフが言う通り、口に含むと上質な栗本来の味わいが力強く広がる。そして抹茶の華やかな味わい、黒蜜あんこの控えめな甘さが重なっていく。生クリームの使用量を最小に抑えたそうで油分の重たさがなく、洋菓子というより和菓子の趣が強い。厳選された栗のおいしさを引き出すために、余分なものをそぎ落とし、極上の素材だけでシンプルに作り上げた、完成度の高いまさに“スーパー”なモンブランだ。
スーパーシリーズはモンブランだけじゃない!「新エクストラスーパーメロンショートケーキ」も必食
「スーパーシリーズ」といえば、2004年に誕生した「スーパーショートケーキ」も見逃せない。その最上級ラインが"エクストラスーパーシリーズ"だ。1日限定20個の「新エクストラスーパーメロンショートケーキ」(テイクアウト価格4,320円)は、1本の木から1つしか収穫されない静岡県産のマスクメロンの中から、糖度14度以上のものを厳選し、1ピースに3分の1個分も贅沢に使用している。
口に含むと、みずみずしい果汁を湛えた極上のマスクメロンの香しい味わいが広がり、体中が多幸感に包まれる。メロンのおいしさを最大限引き出すよう、脇を固めるスポンジ生地とクリームも素晴らしい。玄米を食べて育った鶏の「玄米卵」を使ったスポンジ生地、そして和三盆を加えた九州大牟田産の生クリームがすっきりとした味わいで、隠し味のライチが後味に清涼感をもたらす。
2日熟成の半透明うどんや、炭火×薪火のグリル料理まで新作続々
「ホテルニューオータニ(東京)」ではこのほか、秋冬の新作メニューが続々登場する。いくつか注目メニューをピックアップして紹介したい。
まずは日本料理の安西雄太料理長が、福岡県北九州発祥のうどん流派「豊前裏打会」で修業し研究を重ねた「極みうどん」(年内提供予定)。生地を1日寝かせ、麺に切り出してからさらに1日熟成する中華麺の製法を取り入れた麺は、透明感があり、強いコシと喉ごしの良さが特徴だ。枕崎産本枯節の冷たい出汁ジュレとキャビアが添えられ、優美な「能作」の器で提供予定となっている。
西洋料理「ベッラ・ヴィスタ」の齋藤慎太郎料理長が手掛けるのは、「佐賀県産黒毛和牛サーロインと骨付き仔羊 炭火×薪火」。土佐備長炭の力強い炭火で肉の旨みを閉じ込め、薪であぶることで薫香をまとわせている。
ホテルの歴史を感じさせる名店の味や、時代に合わせた新しい提案も光る。お米不足を背景に"新しい主食"としてオールデイダイニング「SATSUKI」にて今秋販売予定なのが、煮干しと昆布の旨みが凝縮された「UMAMI SOBA」だ。フードロスにも配慮し、煮干しを丸ごと使うことで旨みをたっぷりと引き出しており、バターのコクが深みを加えている。
「パティスリー SATSUKI」からは、お土産にぴったりの新作クッキー「八穀バタークッキー」(4,968円)が登場。あわ、ひえ、緑米など8種類の雑穀をブレンドし、雑穀の香ばしさとバターの芳醇な風味が見事に調和している。
究極のモンブランから、未来を見据えた新しい食の提案まで、ホテルニューオータニの食へのあくなき探求心を感じるラインナップ。食欲の秋、東京の老舗ホテルで少し贅沢な食体験をしてみてはいかがだろうか。







