大分県が主催する県内移住希望者向けのイベント「大分ライフでウェルビーイングがアガル!」が9月6日、大阪駅からほど近い「梅田スカイビル」にて開催された。
同イベントは、今年7月に東京でも開催されており、大分県移住推進イベントとしては2025年最大規模を誇る。その模様をレポートしよう。
大分の8市町が自慢の「いいところ」をPR
「ウェルビーイング」とは、「よい(well)」と「状態(being)」を組み合わせた言葉。身体的、精神的、社会的にすべてが良好で満たされた状態を指す概念のことで、向上するかどうかは、住む場所の環境や働き方、人との関係性などが鍵を握る。
イベントの冒頭、進行を務めたフリーアナウンサーの成尾佳代さんは「大分県には、ウェルビーイングを引き寄せる力がある。今日はその可能性に出会ってほしい」と呼びかけた。
「大分県・市町村PRタイム」では、まず県担当者が大分全体の魅力を紹介。「温泉の数・湧出量ともに日本一で、日常の中に温泉があるのは大分ならでは」と力を込めた。加えて、関アジや関サバといった海の幸だけでなく、山の幸にも恵まれる自然豊かな環境であるため、アウトドアも気軽に楽しめるという。
また、物価水準は全国平均と比較してかなり低く、1km四方の人口密度が大阪の約25分の1と、データを交えながら大分の暮らしやすさを伝えていた。
続いて大分市や中津市、佐伯市、竹田市、杵築市、由布市、国東市、九重町の8市町が、順番に登壇。まちの特色や休日の過ごし方、移住に関わる各種支援策など、自慢の「いいところ」をそれぞれ5分間でPRした。
その後、6つの団体(東部振興局、北部振興局、就職・転職、農業全般、外国人向け移住相談、DiveOita)が挨拶に立ち、大分の移住支援の手厚さが感じられた。
大分にゆかりあるゲストが子育て、仕事、毎日の食事を赤裸々に語る
そして、大分での暮らしや働き方、ウェルビーイングな生き方について語り合うトークセッションが行われた。
ゲストとして迎え入れられたのは、オンラインコミュニティ「ママ集まれ!」を九州6県で展開するなど母親・女性支援に力を注ぐ合同会社co-e connect代表・もとむろあさみさん、「日本の魅力を世界の成長産業にする。」をビジョンに掲げて貿易事業や海外マーケティング事業を手がけるMediaBrain CEO・西谷袈音さん、大好きな牡蠣に魅せられて佐伯市の地域おこし協力隊の一員として活動するようになった丸山千潤さん。
大分市出身・在住で自身も子育て中のもとむろさんは、家族でのキャンプ写真を紹介しながら「子どもにとって、自然と触れ合えるのは貴重な体験。リフレッシュの時間を取りやすい環境だから仕事もがんばれる」と温泉以外の大分の魅力について語った。
また、子育て世代の交流事業に携わる中で、大分では誰もが暮らしやすいまちを作ろうと世代を超えて協力し合っているのを強く感じると指摘。「移住後は他の世代とのつながりを持つのが難しい側面があるが、大分なら安心して子育てできると思う」と評した。実際、県外から移住した女性のためのサークルに参加する人たちからは「大分は人が温かい」といった声が多数寄せられているそうだ。
2024年に大分市にUターンした西谷さんも休日には夫婦で海や山でのアクティビティを満喫しているそうで、「アメリカや東京で暮らしていたときより自然に触れる頻度が増え、精神衛生上、良くなったと感じる。仕事への集中力も高まっているのは間違いない」と断言。
「今の時代、デジタルを活用すればどこにいてもスムーズに業務を行えるので、これから大分で起業する人はどんどん増えてくるはず。海外に進出する企業も目立つ。大分市には『若手起業家育成施設Mirattend(ミラテンド)』があり、大都市に比べて行政との連携もしやすいのではないか」と分析した。
一方、県外から移住してきた丸山さんは、毎日の食卓を大分県産の食材で安くまかなえることに驚いたのだとか。野菜や肉など新鮮な素材を味わえる地産地消のおかげで幸福感が上がったとの実感を述べた。
丸山さんは地域おこし協力隊で空き家バンク事業の推進に取り組む傍ら、副業として牡蠣の養殖ビジネスに参入。「全国10カ所ほど漁場を回ったが、水が綺麗でプランクトンが豊富な佐伯市の牡蠣が最高においしく、スマートで合理的な養殖システムを採用している点に惹かれた」と振り返る。「養殖だけだとお金を稼ぐのが大変なので、市場が大きい海外に輸出したり、冷凍加工品を作ったりして、大分の水産業を盛り上げていきたい」と意欲的に語った。
大分移住を考えている人へのメッセージ
トークセッションの最後には、ゲストから参加者にメッセージが送られた。
「私が運営する女性のコミュニティでは、サイズアウトした子ども服や子ども用品の無料の譲渡会を開催していますが、有志の皆さまのご好意により成り立っています。大分には支え合う文化が根づいていますので、一人で悩みを抱え込むことなく、心のゆとりを持って子育てができるのでないでしょうか」(もとむろさん)
「Uターンしてきたばかりの頃は、これまでと変わらず仕事ができるかどうか少し不安でしたが、その心配は杞憂に終わりました。大分は、自然の中で過ごす時間を取り入れながら仕事ができる『ハイブリッドな生活』をしやすい環境なのではないかと思います」(西谷さん)
「今年1月に佐伯市に移住してきたばかりですが、来て良かったと思っています。正直『ちょっと違うな……』とギャップを感じたり、地元が恋しくなったりしたこともありますが、そんなときは『牡蠣が好き』『海外の仕事がしたい』という自分なりの軸を持っていたことに支えられました。移住に何を望むのか、それを明確にしたうえで希望の生活を実現されることを願っています」(丸山さん)
フリー交流タイムも盛況で大分への「移住熱」が高まるきっかけに
トークセッション終了後は、1時間にわたるフリー交流タイムが設けられた。参加者らは気になる市町や団体のブースに足を運んだり、ゲストに直接質問を投げかけたりして、移住に関する相談をしていた。
ブースはいずれも盛況で、今回の「大分ライフでウェルビーイングがアガル!」は、参加者にとって大分への「移住熱」が高まるきっかけになったのではないだろうか。












