フジテレビ系ドラマ『愛の、がっこう。』(毎週木曜22:00~ ※FODでこれまでの全話配信)の第6話が、14日に放送された。

今作は、まっすぐで不器用なあまり過去に恋愛で大きな過ちをおかしてしまった高校教師の愛実(木村文乃)と、複雑な家庭環境から義務教育すらまともに受けられなかった読み書きの苦手なホストのカヲル(ラウール)が出会い、お互いが本当の“愛”を知っていくというラブストーリー。

今回は全編約45分間中42分間が、愛実とカヲル“2人だけの時間”を描くという大胆な時間配分だったのだが、その中身と構成、全てが圧巻であった。

  • ラウール(左)と木村文乃 (C)フジテレビ

    ラウール(左)と木村文乃 (C)フジテレビ

制作陣の表明――濃密な周辺人物たちを介さずとも魅力的に

まず今作を盛り上げる要素として大部分を占めているのが、愛実とカヲルの周辺人物の濃密さだろう。

婚約者でありながら浮気相手がおり、かと思えば尾行するほど愛実へ執着し始める洋二(中島歩)を筆頭に、妻を邪険に扱う“昭和の暴君”父・ 誠治(酒向芳)、それに対し爆発寸前の母・早苗(筒井真理子)。加えて、“彼氏を寝取った”にもかかわらずいまだに深い友人関係であり続ける百々子(田中みな実)や、学習障害についてレクチャーを受けるうちに心を通わせるようになった同僚の栄太(味方良介)、また前回ラストで“2人の関係”に気付いてしまった生徒の夏希(早坂美海)など、愛実の周辺人物たちの誰もが“ドラマ”を抱えている。

翻ってカヲル周辺も、養育を放棄していたにもかかわらず、ホストになった途端金の無心へやってくる母・奈央(りょう)や、一流大学へ通いながらもナンバー1となり、カヲルに対して他のホストとは違ったライバル感情が芽生えているつばさ(荒井啓志)、ゲイであることを明かした栄太に一目ぼれされたルームメイトの竹千代(坂口涼太郎)、またそのホストの常連客である明菜(吉瀬美智子)も強烈なインパクトを残すなど、愛実とカヲル、双方の周辺人物たちの濃密過ぎる描写によって、今作は“教師とホストの恋愛劇”というセンセーショナルだけでは決して収まらない、エンターテインメント性を発揮している。

だからこそ、今回の2人だけの時間を描いた42分間がより際立ってくる。今回のその大胆な時間配分は、今作がそれらの周辺人物たちを介さずとも、愛実とカヲルだけで十分魅力的にドラマを描くことができるという、その表明、挑戦だったのだ。

ふと感じた男女の関係の違和感

実際にその42分間は、これまでの周辺人物を一切登場させることなく(※序盤に挿入された「前回の振り返り」ですら、2人だけという周到さだ)、2人の絶妙な愛の機微で、けれど一見何げない普通の男女の戯れで、そしてどうしてもあふれ出てしまう感情の発露で、その時間が濃密とも思えるほどのドラマを描けることを証明してくれた。

だが、42分間の中で違和感がなかったと言えばウソになる。ふと俯瞰(ふかん)してみると、なぜ2人はこの日をもって別れなければならないのか、なぜ誰にも咎(とが)められることのない男女の関係に緊張感が生まれてしまうのか、分からなくなってしまう瞬間があったのだ。それは、前回までの幾重にも複雑に折り重なった“禁断”が、今回は“2人だけの時間”になったことで、薄れてしまった――ふと我に返ってしまう時間が増えたからに違いない。

しかしだ。その違和感こそが、今回の42分間に仕掛けられたトリックであり、そうでなければならなかった構成の妙だった。それは紛れもなく、大ラスにおける“現実”をより鮮明に、そして衝撃的に映し出すためであり、その前振りが、今回の42分間だったのだ。

本当の“現実”とは、もっと複雑で面倒くさく、生々しい。それを今作は鮮明に描けているからこそ、教師とホストの恋という、全く“禁断”ではない恋模様でありながら、紛れもなく“禁断”にさせている。まさにすべてが圧巻の第6話であった。

  • (C)フジテレビ