「僕も絵を描くのですが、クリムトの作品に触れて、愛と性の壮大なテーマを感じました」

そう語る声には、アイドルとしての華やかさと、表現者としての静かな覚悟がにじむ。Kis-My-Ft2・千賀健永の活動は、アイドルや俳優だけにとどまらない。自らの筆で描き、アートで世界と向き合う“現代アーティスト”としての顔を持つ彼が、また一つ、新たな舞台に立った。

  • Kis-My-Ft2・千賀健永

千賀健永にとって「“金色”のような存在」とは

18日、東京・日本橋三井ホールで幕を開けた没入型展覧会「クリムト・アライブ」。19世紀末ウィーンの画家グスタフ・クリムトが遺した“黄金”の世界を体感するこの展覧会で、千賀は公式アンバサダーに任命された。

「クリムトの作品に合う衣装を選ばせていただきました。とても素敵で、本当に雰囲気にぴったりだと思います」

展覧会開始の前日となる17日、その言葉通り、千賀は“金”をキーワードにしたドレスアップで会場に登場。華やかな黄金の装いが、空間と呼応するかのようにきらめく。

この日は「クリムト・アライブ」の開幕イベント。会場では、海外からのゲストであり企画会社グランデ・エクスペリエンセズのロブ・カーク氏が歓迎の言葉を贈り、千賀にアンバサダー任命証を手渡すセレモニーも行われた。

「嬉しいです! 一生懸命サポートさせていただきます!」

そう笑顔で答えた千賀は、ロブ氏と英語でサインを交わし、正式に“展覧会の顔”として任命された。だが、この日に彼が見せた表情は、ただの“アイドルの顔”ではない。トークセッションで語られたのは、彼の“創作家としての視点”だった。

「僕も絵を描くのですが、クリムトの作品に触れて、愛と性の壮大なテーマを感じました。時代を超えて誰もが楽しめるアートで、世界観に吸い込まれるような空間になっていると思います」

中でも最も惹かれた作品として挙げたのが、クリムトの代表作『接吻』だ。

「愛や性はアートと非常に親和性の高いテーマですが、そこに込められた深い思いやメッセージが、見れば見るほどじわじわと伝わってきて、一番好きな作品です」

また、クリムトの“黄金の世界”にちなみ、「あなたにとって“金色”のような存在は?」と問われた千賀は、即座にこう答えた。

「決まり文句ではなく、ファンの皆様です!」

ライブで浴びる歓声、ステージに立つたび感じる支えへの感謝。「僕らがファンの皆様に支えられているだけじゃなくて、僕らが支えられる立場になれるように日々精進していかなくちゃなと思います」と、彼はまっすぐに言葉を続けた。

さらに今後のアート活動についても言及。25日からは韓国での個展「Essence of Love」が、そして10月にはロンドンの現代アート美術館・サーチギャラリーでの個展が控えている。

「アートとしてしっかり海外で認知してもらって、現代アーティストとしても戦っていけるようなアーティストになりたいということで、海外で勝負させていただいております。僕のアートをたくさん人に知ってもらえるよう頑張りたいと思います!」

“現代アーティスト”として本気で世界を狙う――それは並大抵の覚悟ではできない挑戦だ。

最後に、千賀は展覧会への来場をこう呼びかけた。

「アートを知らない人でも、そこにいるだけで高揚感があるような、すごく素敵な空間になっていると思いますので、是非皆様会場に足を運んでください!」

そこにいたのは、Kis-My-Ft2のメンバーでありながら、確かに一人の表現者として立つ男の姿だった。「クリムト・アライブ」のように、千賀はこれからも“金色の存在”を胸に表現の世界に没入していく。