2024年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』で主人公の紫式部/まひろ役を好演した女優の吉高由里子が、自身の誕生日である7月22日に書籍『しらふ』(ワニブックス)を発売。「喰」「演」「夢」「恋」など、漢字1文字から繰り広げられる“ひとりごと”計54篇から成り、吉高の頭の中を覗ける一冊となっている。吉高にインタビューし、同書で自分自身と向き合って感じたことや、年齢や経験を重ねてきた中での変化、そして、大河ドラマ主演を経た今の女優業に対する思いを聞いた。
ありのままの素顔をさらけ出した同書の制作を通して、自分について気づいたことを尋ねると、「もともと私は本を読むことが少なくて、人生で自分で買った本は10冊もないぐらい読書が苦手なんです。でも、本を作る過程で何回も原稿をチェックしないといけなくて、もうやめようかなと思うぐらいつらかったです(笑)」と、読書が苦手な自分を再確認したという。
また、原稿を何度も読み直す中で、自身の変化も感じたと語る。
「こんなにも変わっていくものなのかというぐらい、1年前の自分と今の自分で、思考回路というか、(漢字1文字のお題を与えられて)一番最初に飛び出てくるイメージが変わっていたり。でも、変わらないものは変わらないし。他人を見ているような、この感覚で一緒に歩いていたはずなのに通り過ぎたら他人になってしまうような感覚があって不思議だなと思いました」
同書に記されているのは2024年の思いで、その1年間でも自身の変化を感じたという吉高。2004年に芸能活動を始めてから21年での変化を尋ねると、「どんどん穏やかになってきていると思います」と語る。
「若い頃は自分を大きく見せようとしてわざと尖ってみたりして、言わなくていいことまで言ったりしていた気がしますが、大きく見せようという気持ちもなくなりましたし、知っているものが増えたことによって共感できるものが増えて、人に寄り添うことができるようになったと思います」
ありのままの自分でいられるようになってから「すごく楽に」
以前は、他人が抱く吉高のイメージと本来の自分とのギャップに葛藤することもあったそうだが、「けっこう前に諦めました」と明かす。
「どう見られたいという気持ちがなくなりました。(それぞれの人が抱くイメージと)同じ数だけ用意するのは絶対に無理なので。その人の理想になりたいわけでもないし、好かれたいと思って生きているわけでもないし、オンオフの切り替えができない人でもあるので。知らない人に応援されることもあれば、知らない人から嫌われることもあるだろうなと。そういう仕事なんだろうなという感じで、そこに対して苦しんだり悲しんだりしないようにしています」
そういう風に割り切れるようになったのは22~23歳頃だという。
「その頃は、自分はこんな風ではないのにと思ったり、週刊誌に書かれたことに対して一個一個反応したいと思ったりしましたが、それはそれで諦めて、自分はこんなもんだよと。それ以上でもそれ以下でもない。着飾れない自分を知っていてくれる人には知っていてもらえたらいいなぐらいで、こんなもんですという感じで生きさせていただいています」
そして、年齢や経験を重ねて、さらにありのままの自分でいられるようになっているそうで、「よく見せようと思わないし、そのままの自分でいられるようになってから、すごく楽になってきました」と晴れやかな表情で語る。
そう思えるようになったきっかけを尋ねると、「具体的なものはないんですけど、以前は悔しさの質が違ったというか、自分のことを過信していたから余計に悔しくなったり、挫折したりしていて。自分ってこんなもんだろうなというのがわかってきてから、自分自身とも付き合いやすくなり、ありのままの自分を受け入れられるようになったのだと思います」と答えた。