誰しも健康で若々しくいたいもの。しかし、何も気にしない生活では維持するのが難しいのが現実です。そこで意識したいのが栄養素。この記事では腸内環境の面から考えます。
■若々しさのヒントは腸にあり!?
マイナビニュース編集部では、「若さ・健康と食事」についてのアンケートを実施(対象:全国の男女マイナビニュース会員512人、期間:2025年6月6日~6月9日)。
年齢を感じる瞬間を聞くと、
・なんとなく顔全体がくすんだ印象を受けるようになった(静岡県/女性)
・肌がカサつく(神奈川県/男性)
・肌がきたないと感じたとき(兵庫県/男性)
・鏡を見て、たるんだ頬を見ると母にそっくりだと思う(大阪府/女性)
など、肌に関する回答が多く寄せられました。
また、何かを目的に特定の食べ物を食べている人は過半数の52.2%。中でも多かったのが「便秘・便通」「腸内環境」を意識した工夫です。
腸内環境と肌の代謝は密接な関係があるとされていますが、今回はマイナビニュース会員が実際にやっている「腸活対策の食事」について、医師の中路幸之助先生にジャッジしてもらいました。
■納豆で腸活はOK? NG?
・便通に良いと聞き、夕飯時に納豆を摂るようにしている。まだまだだが、改善はされていると思う(大阪府/女性)
朝食の定番である納豆。栄養豊富なイメージですが、腸活にも効果アリ?
中路幸之助先生のジャッジ
「納豆は腸活にOKな食品です。納豆1パック(約50g)には3g前後の食物繊維が含まれており、ごぼうや海藻など食物繊維が多いとされる食材と比べても遜色ありません。しかも、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれているため、腸内環境の改善や便通促進に役立ちます。納豆に含まれる納豆菌は、腸内で善玉菌の増殖をサポートし、悪玉菌の増加を抑制します。そのため、腸内フローラのバランスを整え、腸内環境の改善が期待できるのです。また、発酵食品である納豆は、腸内の有用菌を増やす効果があり、便通の改善や全身の健康維持にも役立ちます。」
<納豆で腸活、ここに注意!>
「納豆は調理不要でそのまま食べられるため、毎日の食事に取り入れやすい点も大きな魅力ですが、食べ過ぎは塩分やカロリーの過剰摂取につながることがあります。1日1パック程度を目安にするといいでしょう。」
<さらに効果up!>
「朝食だけでなく夕食に食べても問題ありませんが、継続的に摂取することが大切です。野菜や、キムチなど他の発酵食品と組み合わせることで、腸活効果がさらに高まります。」
■ヨーグルトで腸活はOK? NG?
・腸内環境を整えるためにヨーグルトを食べる(男性/鳥取県)
便秘対策といえばヨーグルトのイメージがありますが、いかがでしょうか?
中路幸之助先生のジャッジ
「ヨーグルトは腸活にOKな食品です。ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が腸内環境を整え、悪玉菌の増殖を抑えてくれます。乳酸菌は腸内で乳酸を作り出し、腸のpHを下げて有害菌の繁殖を防ぎ、腸の蠕動運動を活発にして便秘や下痢の改善にも寄与します。また、腸内細菌のバランスが整うことで、免疫力の向上やアレルギー症状の緩和、メンタル面や睡眠の質の向上など、全身の健康にも良い影響が期待できます。」
<ヨーグルトで腸活、ここに注意!>
「ヨーグルトは毎日続けやすく、フルーツやきな粉などをトッピングすることで飽きずに楽しめるのもいいですよね。ただし、加糖タイプは糖質やカロリーが高くなりやすいため、無糖・プレーンタイプを選ぶのがおすすめです。なお、乳糖不耐症の人は、ヨーグルトでお腹がゆるくなることがあるため、症状が出た場合は無理せず控えましょう。」
<さらに効果up!>
「ヨーグルトの乳酸菌は腸に一時的にしかとどまらないため、効果を得るには毎日継続して摂取することが大切です。」
■キムチで腸活はOK? NG?
・下痢気味で腸活の必要があると思われたときに、キムチや納豆などの発酵食品を食べるときがあります(東京都/男性)
先ほど納豆と組み合わせるといいとお聞きしたキムチ、やっぱり腸にいいのでしょうか?
中路幸之助先生のジャッジ
「発酵食品であるキムチは腸活にOKな食品です。製品によって発酵具合には差はありますが、植物性乳酸菌が豊富に含まれており、これが腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。特に植物性乳酸菌は胃酸に強く、生きたまま腸に届きやすいのが特徴です。また、白菜や大根などの野菜を原料としているため、食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維は便の量を増やし、腸の動きをサポートするほか、乳酸菌のエサとなって腸内の善玉菌を増やす効果も期待できます。発酵の過程でビタミンB群やビタミンCなどの栄養素も増加し、全身の健康維持や免疫力向上にも役立ちます。」
<キムチで腸活、ここに注意!>
「キムチには唐辛子やニンニクなどの香辛料が多く使われているため、下痢気味の方や胃腸が敏感な方には刺激が強すぎて逆効果になることがあります。また、塩分も高めなので、高血圧の方や塩分制限が必要な方は摂取量に注意が必要です。下痢気味のときや胃腸が弱っているときは、ヨーグルトなど刺激の少ない発酵食品を選ぶのがおすすめです。どうしてもキムチを食べたい場合は、少量から様子を見て取り入れましょう。」
<さらに効果up!>
「納豆やもち麦など他の発酵食品や食物繊維と組み合わせることで、腸活効果がより高まります。」
■バナナで腸活はOK? NG?
・腸活のため食物繊維の多いバナナを毎日食べるようにしています。不規則だった便通が改善しました(静岡県/男性)
老若男女に幅広く人気の果物・バナナ。おいしいだけでなく、腸活にも有効?
中路幸之助先生のジャッジ
「バナナは腸活におすすめできる果物です。バナナには水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。生のバナナ1本(約100g)には1.1gの食物繊維が含まれており、そのうち約1.0gが不溶性、0.1gが水溶性です。不溶性食物繊維は便のカサを増やして腸を刺激し、便通を促進します。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善に役立ちます。バナナにはオリゴ糖も含まれており、これが腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整える働きがあります。バナナは皮をむくだけで食べられ、持ち運びや保存もしやすいので、毎日の腸活に取り入れやすい果物です。ヨーグルトや納豆などの発酵食品と一緒に摂ることで、善玉菌とそのエサ(プレバイオティクス)を同時に補給でき、腸活効果がさらに高まります。」
<バナナで腸活、ここに注意!>
「摂取量の目安として、バナナは糖質も含むため、1日1~2本を目安に、他の果物や野菜とバランスよく食べることがおすすめです。」
最後に腸活について、中路幸之助先生に聞いてみました。
腸内環境を整えることは、便通の改善だけでなく、免疫力の向上、美容、メンタルの安定、質の高い睡眠など、全身の健康に大きく影響します。腸は「第二の脳」と呼ばれるほど心身の健康と密接に関わり、全身の約60%の免疫細胞が集中する「免疫の要」ともいわれています。腸活は、短期間で劇的な変化が現れるものではありませんが、毎日の食事や生活習慣を少しずつ見直し、できることから継続していくことが大切です。まずは、食物繊維やオリゴ糖、発酵食品など、腸に良い食材を一つでも食卓に取り入れてみましょう。これらの食品は善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できます。また、適度な運動や十分な睡眠、ストレスをためないことも腸内環境の改善に役立ちます。軽い運動やリラックスする時間を持つことで、自律神経のバランスが整い、腸の動きやメンタルの安定にもつながります。
毎日の「便」は、腸からの大切なメッセージです。便の状態を観察し、自分の体と向き合うことが、健康への第一歩となります。焦らず、無理せず、自分のペースで腸活を続けていきましょう。腸が元気になることで、毎日がより快適に、前向きに過ごせるようになります。
美や健康を意識した食事を心がけつつ、食事内容に不安があるときはサプリメントなどの助けを得ながら、若々しさを保ちたいですね。