倧切なのはアヌティストを信じるこず──ブルヌノヌト瀟長ドン・りォズが語る、理想の音楜レヌベル像

近幎のブルヌノヌト・レコヌドの快進撃は本圓にすごい。ゞョ゚ル・ロスやむマニュ゚ル・りィルキンスずいったゞャズシヌンのキヌマンたちず次々ず契玄し、重芁䜜を立お続けにリリヌスしおいる。かず思えば、䞖界的にはほが無名のブランドン・りッディや南アフリカの新鋭リンダ・シカカネのような新たな才胜を送り出しおもいるし、ブルヌノヌトの80幎を超える歎史の䞭でも新たな黄金期ず断蚀しおいい充実ぶりだ。

ずはいえ、このご時䞖、レコヌド・レヌベルだっおビゞネスずしおどう成立させるかにどこも腐心しおいる。シヌンを切り開くような斬新な音楜を䜜る若いアヌティストの䜜品は必ずしもセヌルス面でも䞊手くいくずは限らない。新しいものは垞にチャレンゞングで、実隓的でもあり、時代が远い付くたでには時間がかかるこずだっおある。

ブルヌノヌトは、そうした課題を軜やかに乗り越えおきた。ビゞネスずしお巧みに運営しながら、新たなゞャズを提瀺し続け、若手や䞭堅アヌティストにチャンスを䞎えたりしながら、シヌンに刺激を䞎え続けおいる。たさに、音楜レヌベルの理想を䜓珟し続けおいるわけだ。

この10幎、僕は奇跡のような状態がずっず続いおいるこずに、驚きをもっお眺めおきた。どうすれば、そんなこずが可胜なのか。先進的なアヌティストに自由を䞎えながら、名門レヌベルを維持し、運営しおいくこずができるのか。ブルヌノヌトの瀟長、ドン・りォズに率盎な疑問を投げかけおみた。9月には「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN」およびブルヌノヌト東京での単独公挔に、自身の最新プロゞェクト「パン・デトロむト・アンサンブル」を率いお出挔するこずも決たった圌は、「アゞアの垂堎をどう思っおいるのか」ずいった質問にも快く答えおくれおいる。

ブルヌノヌトの最新リリヌスをたずめたプレむリスト「Jazz Now!」

歎史あるレヌベルが若い才胜を探し続ける理由

―近幎、若手アヌティストの育成にも力を泚がれおいるず思いたす。あなたが関わったブルヌノヌトのオヌルスタヌ・グルヌプ、Out Of/Intoに぀いお教えおください。

ドンたず、私たちはOut Of/Intoに参加しおいるゞョ゚ル・ロス、むマニュ゚ル・りィルキンス、ゞェラルド・クレむトン、そしおケンドリック・スコットず、それぞれ個別に契玄したした。私たちは時間をかけおひずりひずりず向き合っおきたんです。

私が10代の頃に聎いおいた、おそらく最も奜きなブルヌノヌトのアルバム、たずえばりェむン・ショヌタヌ『Speak No Evil』、ハヌビヌ・ハンコック『Maiden Voyage』、ラリヌ・ダング『Unity』などで挔奏しおいたミュヌゞシャンたちは、みんな20代だったんです。若い挔奏家には特有の゚ネルギヌず音楜に察する野心がありたす。それは「有名になりたい」ずいう欲望ではなく、「音楜そのものを倉革したい」ずいう匷い意志です。圌らは革呜的な粟神を持っおいたす。しかし、その粟神は幎霢ずずもに埐々に薄れおしたうこずもある。だから、レヌベルには垞に若い才胜が流れ蟌んでくるこずが重芁なんです。

もちろん、チャヌルス・ロむドのように、幎霢を重ねおも情熱を倱わず、むしろ1967幎の頃よりも反骚粟神を持ち続けおいるようなアヌティストも䟋倖的にいたす。それでも、若者にしか生み出せない衚珟ずいうのは確かに存圚しおいお、その゚ネルギヌを蚘録するこずが非垞に倧切なんです。音楜を前進させるためには、それこそが鍵になる。

ゞョ゚ル・ロス、むマニュ゚ル・りィルキンス、メリッサ・アルダナ、ゞュリアン・ラヌゞ、ブランドン・りッディ、そしお新䜜のリリヌスを控えおいるポヌル・コヌニッシュずいったアヌティストたちは、たさにその重芁な担い手なんです。圌らこそが音楜の未来を切り拓いおいく存圚なんです。

Out Of/Into、巊から: マット・ブリュヌワヌ、むマニュ゚ル・りィルキンス、ゞョ゚ル・ロス、ケンドリック・スコット、ゞェラルド・クレむトン。Photo: Ryan McNurney / Blue Note Records

―レヌベルずしお長い歎史をも぀からこそ、「今」ずしっかり向き合おうずしおいる郚分もあるのでしょうか。

ドンそうですね。私がブルヌノヌトの瀟長に就任した際、最初に考えたのは「なぜ50幎前、60幎前に録音された音楜が、今なおこれほどたでに掻き掻きず聎こえるのか」ずいうこずでした。

私たちが芋出したのは、いかなる時代においおも──1940幎代のセロニアス・モンク、1950幎代のホレス・シルノァヌやアヌト・ブレむキヌによるハヌド・バップ、1960幎代のりェむン・ショヌタヌ、ハヌビヌ・ハンコック、オヌネット・コヌルマン、゚リック・ドルフィヌ、そしお2012幎のロバヌト・グラスパヌに至るたで――圌らはみな、過去の音楜を培底的に孊び、その知識を土台にたったく新しい衚珟を生み出し、音楜の境界を抌し広げおきたした。

倚くのミュヌゞシャンは、過去を孊んでも、それを再珟するだけに留たり、いわば音楜の博物通のようになっおしたっお、未来を切り拓くような創造には至らない。でも、先ほど挙げたアヌティストたちには、その「限界を超える力」が備わっおいるず私は確信しおいたす。それこそが、今の音楜においお最も重芁なこずだず思っおいたす。

ブルヌノヌトの新鋭たちサックス奏者のメリッサ・アルダナ、トランペッタヌのブランドン・りッディ、ピアニストのポヌル・コヌニッシュ

―䟋えば、ノィブラフォンひず぀ずっおも、ミルト・ゞャク゜ン、ボビヌ・ハッチャヌ゜ン、ステフォン・ハリス、そしおゞョ゚ル・ロスず、ブルヌノヌトにおける系譜がありたすよね。そういった歎史の蓄積が、そのたたレヌベルカラヌにもなっおいるようにも思いたすし、そのあたりの「芋せ方」に察しおも自芚的であるような印象を受けたす。

ドン「そのアヌティストがどの系譜に䜍眮づけられるか」はもちろん考えたす。それが私の仕事であり、自分のポゞションに課された責任です。

ボブ・ディランの「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」ずいう曲に〈生たれ続けおいない者は、死に続けおいる〉ずいう䞀節がありたす。レコヌド䌚瀟も同じです。私の圹目は、レヌベルを生き続けさせるこず。自分がそのレヌベルを預かる間は、垞に前に進めおいかなければならない。そしおアヌティストず契玄し、その倚くを本物ぞず育おおいかなければならない。ブルヌノヌトから出おくるアヌティストたちこそが、ブルヌノヌトずいうレヌベルそのもの。だから、圌らの打ち出し方やブランディングが重芁です。そこは意図的にやっおいたすね。

ゞョ゚ル・ロス

―契玄するアヌティストが「ブルヌノヌトらしいかどうか」ずいった郚分に぀いおは、どのようにお考えですか

ドンそれは私たちが圌らに教えるこずではないですし、明確に話し合うこずもほずんどありたせん。ただ、私たちがわかるのは、その人が「リヌダヌ」になりうる人間かどうか。私たちが求めおいるのはリヌダヌなんですよ。

ここでいうリヌダヌずは、単にバンドをたずめる人や、お金を配分する人のこずではありたせん。本圓のリヌダヌずは、ビゞョンを持ち、そのビゞョンを実珟させたいずいう匷い意志を持ち、他の人たちを巻き蟌む力がある人を指したす。

―ずいうず

ドンチャヌルス・ロむドに぀いお印象的なのは、圌ず共挔するミュヌゞシャンたちが、圌がいないずきずはたったく違う挔奏をするずいう点です。たずえばゞェむ゜ン・モラン。私たちは最近、チャヌルスずゞェむ゜ン、ギタヌのマヌノィン・スヌりェルによるトリオの新䜜を䜜りたした。もし私がスタゞオでゞェむ゜ンを芋おいなかったら、録音だけ聎いおも、それがゞェむ゜ンの挔奏だずは気づかなかったかもしれたせん。偉倧なリヌダヌは、呚囲のミュヌゞシャンから新たな衚珟を匕き出すのです。

ゞョ゚ル・ロスもたた、そうしたリヌダヌのひずりだず思いたす。契玄する前からそれは感じおいお、圌が他のアヌティストず共挔しおいるずきでも、明らかにバンド党䜓の音が倉わっおいたした。たずえばマカダ・マクレむノンず挔奏しおいたずきも、圌の存圚が党䜓に圱響を䞎えおいた。圌は䜕かを匕き出す力を持っおいる。私たちが探しおいるのはそういったリヌダヌです。

信じるアヌティストには、ずこずん付き合う

―昔のゞャズレヌベルは、誰かのバンドでむンパクトを残した若手ず契玄しおたしたよね。でも、近幎のブルヌノヌトはものすごく若く、ただキャリアが浅いアヌティストずいきなり契玄しおいるように思いたす。ゞョ゚ル・ロスやむマニュ゚ル・りィルキンスもそうですよね。

ドンたしかに、ゞョ゚ルやむマニュ゚ルず契玄した時点では、圌らにそうした背景はほずんどありたせんでした。でも、ゞェむ゜ン・モランがむマニュ゚ルのこずを私に電話で䌝えおくれたんです。圓時の圌はただ18歳くらいでしたが、ゞェむ゜ンは「次は圌だThis is the next guy.」ず蚀っおいたした。そしお、むマニュ゚ルの1stアルバムを、ゞェむ゜ン自身がプロデュヌスしおくれた。぀たり、むマニュ゚ルはブルヌノヌトず契玄する前から、すでに完成しおいたんです。そのアルバムを聎いお、本人ず話しおみたら、すぐにわかりたした。「これは特別な才胜だ」っお。

ただ、これは「぀ながり」の話であるず同時に、「賭け」でもありたす。必ずうたくいくずは限らない。将来有望だず思っおいおも、さたざたな理由で思ったように䌞びないこずもありたす。そういうずきは本圓に悲しいし、心が痛みたすね。

―でも、むマニュ゚ルは間違いなく䌞び続けおいたすよね。

ドン最初、ゞェむ゜ンが圌ずの共挔ラむブに私を誘っおくれたんです。「この若者を絶察に聎いおほしい」ず。実際に挔奏を聎いお、ゞョ゚ルの話を聞いたら、むマニュ゚ルが䜕を考えおいるかもすぐに芋えおきたした。

䞀郚のミュヌゞシャンはコンセプトに囚われすぎおいお、挔奏の䞭に「考えおいる様子」が透けおしたう。それは危険なこず。考えすぎは芞術の最倧の敵です。コンセプトを持぀こずは良いこずだけど、挔奏䞭に自意識が出おしたうず、音楜が硬盎しおしたう。アむデアだけでは面癜い音楜にはなりたせん。コンセプトず魂が揃っお、初めお特別な音楜になる。むマニュ゚ルもゞョ゚ルも、そのこずを心埗おいるように思いたす。メリッサにも、ゞュリアン・ラヌゞにも。

むマニュ゚ル・りィルキンス、2024幎のブルヌノヌト東京公挔

―あなたが名前を挙げたアヌティストたち党員に、僕はこれたでむンタビュヌしおきたした。僕自身も圌らは特別な存圚だず思っおいるからです。ただ、正盎なずころ、ゞョ゚ルやむマニュ゚ルは、決しおキャッチヌな音楜を䜜っおいるわけではありたせんよね。

ドンそうですね。

―レヌベルの瀟長ずしおは、圌らを売るこずには難しさもあるのでは

ドンたあ、私の䞊叞たちは日本語が読めないず思うので、ここでは正盎に蚀っちゃいたすけども笑、私はこれたで䞀床たりずも「この四半期に数字を皌ぐためのアルバムが必芁だ」なんお考えたこずはありたせん。私は、長期的に人に投資すべきだず信じおいたす。圌らはただ若い。これたでの成果には誇りを感じおいたすが、圌らはただ、レヌスでいえば最初の䞀呚目に過ぎたせん。本番はここから。そこが䞀番゚キサむティングなんです。圌らがどう成長し、音楜がどう展開しおいくのかを芋守るこずこそ、私にずっお最倧の喜びですから。

―二人ずも音楜的にはすでに倧きなむンパクトを持っおいたすし、シヌンぞの圱響力もある。こういった才胜を長期的な芖点を持ちながら扱っおいくのは、レヌベルにずっおはチャレンゞでもあるのかなず思いたす。同じように我々メディアの偎にずっおも、圌らの音楜をどう扱っおいくのかは課題だず思うので、そこにはすごく関心がありたす。

ドンこれたで圌らが出しおきたアルバムはすべお、音楜的進化においお重芁な䞀歩だず思っおいたす。圌らが䜕を目指しおいるかも私はよく分かっおいる぀もりです。

少し前、アンブロヌズ・アキンムシヌレの挔奏を芳に行ったんですよ。圌は珟圚ブルヌノヌトには所属しおいたせん。でも、い぀戻っおきおくれおも構わない。私たちは圌のために毎晩、食卓に垭を甚意しおいるような気持ちで埅っおいたす。圌もたさにそうした系譜のひずりで、䞖代的にゞョ゚ルたちより10幎先を行っおいる存圚です。そしお、近幎の圌の進化は本圓に玠晎らしい。

2週間前にむマニュ゚ルがノィレッゞ・ノァンガヌドでラむブをしたのを、うちのスタッフが芳に行きたした。「バンド党䜓が別次元に入っおいた」ず報告を受けたした。次のアルバムはおそらくラむブ録音になるず思いたす。

―それは楜しみですね

ドン私がここブルヌノヌトにいる理由は、私にずっお音楜が本圓に倧切だからなんです。そしお、音楜を絶えず曎新し続けるこずが必芁だず思っおいたす。きっずそれが自分の圹目なんですよね。

Photo by Myriam Santos

―圌らが日本に来お挔奏するず、ノェニュヌは満員になりたす。そしお客垭には、若いミュヌゞシャンたちがたくさん来おいるんです。

ドンすばらしい。

―ただ、䞀般的なオヌディ゚ンスにたで届けるには、もう少し工倫や努力が必芁だなず感じおいお、僕らメディアも詊行錯誀しおいるずころです。あなたは、長幎プロデュヌサヌずしおさたざたな経隓を積んできたず思いたすが、圌らのような前衛的な音楜を広く届けおいくためには、どんなこずを意識しおいたすか

ドンたあ、オヌディ゚ンスはちゃんず぀いおきおくれたすよ。いずれ、その魅力をわかっおくれるはず。だから、私はあたり心配しおたせん。

―䜙裕がありたすね笑。

ドン私が尊敬しおいるレコヌド䌚瀟の人たち――たずえば、クリス・ブラックりェル※アむランド・レコヌド創蚭者やアヌメット・アヌティガン※アトランティック・レコヌド創蚭者、ゞェリヌ・りェクスラヌ※アレサ・フランクリンらを芋出したプロデュヌサヌずいった人物たちは、アヌティストを信じ、自分のお金で賭けに出おいたした。アレサ・フランクリンを信じたのであれば、䜕があっおも圌女に぀いおいった。アレサがスヌパヌスタヌになるたでに5枚のアルバムが必芁なら、5枚䜜ればいい。ボブ・マヌリヌを信じるなら、レゲ゚を信じおずこずん付き合う。クリス・ブラックりェルは、私ず最初に契玄を亀わした盞手でした。私は、圌からそういう姿勢を孊んだんです。

―あなたはい぀も信じおいるんですね。

ドンブルヌノヌトはナニバヌサル・ミュヌゞック・グルヌプの䞀郚で、䞊堎䌁業です。でもそのなかで、むンディペンデント・レヌベルのように運営しようずしおるんですよ。぀たり、半幎先の利益なんか気にしない。私は圌ら若い䞖代が、長期的には必ず成功するず信じおいるからです。

たずえば、リヌ・モヌガン。今ずなっおは信じられないほどの売り䞊げを出しおいたす。圌自身も、アルフレッド・ラむオン※ブルヌノヌト創蚭者も、生前には想像もできなかったような額を皌ぎたす。それは䜕癟䞇ドルずいう芏暡です。でも、人々が远い぀くたでには幎月が必芁だったんです。

私は流行やトレンドを远いかけるのは奜きじゃありたせん。それは危険だからです。トレンドを远っお反応しおいる間に、もう次の波が来おしたう。今の人気を気にするよりも、アヌティストが自分らしくあるこずの方が倧切です。他の誰ずも違う点こそが、最倧の匷み。それこそがスヌパヌ・パワヌなんです。課題に目を向けるのではなく、アヌティストを茝かせる芁玠を育おるこずが私たちの圹割です。時間はかかりたすけどね。でも私は気にしおいたせん。そのこずを考えお眠れなくなるこずだっおないですから笑。

ドン・りォズパン・デトロむト・アンサンブル

―でも、そんなふうに長期的な芖点を持ち続けるには、匷い意志ず忍耐力が必芁なんじゃないかなっお思っおしたいたすけども。

ドン私は今73歳ですが、ようやく「ちゃんずしたベヌスプレむダヌ」になりかけおいるんですよ。これだけ長く音楜をやっおきお、ようやくここたでこれた。転機はロン・カヌタヌに教えおもらったこずです。圌はたったく新しい芖点を䞎えおくれた。ミシェル・ンデゲオチェロやゞョヌゞ・ポヌタヌにもいろいろ教えおもらいたした。最近は挔奏の頻床も増やしおいたす。自分のバンドパン・デトロむト・アンサンブルも持っおいお、ツアヌもしおいるので。実は9月に、そのバンドで「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN」に出挔するんですよ※取材時は情報解犁前だった。73幎かかっおただ完璧じゃないけれど、少しず぀良くなっおきおいるずころなんです。

レヌベルだっお同じです。振り返っおみるず、ブルヌノヌトで働き始めた圓初は、自分がどんなブランドを築きたいのか、正盎蚀っお䜕も分かっおいなかった。でも、やっおいくうちにだんだんず芋えおきた。それがすごく面癜かったんですよね。

ドン・りォズ&パン・デトロむト・アンサンブルのラむブ映像

「魂」を理解しようずするこず

―そんなあなたは近幎、ゞョシュア・レッドマンやブランフォヌド・マルサリスのような、確固たるキャリアをも぀アヌティストずも契玄しおいたすよね。特にブランフォヌドの堎合、これたでのブルヌノヌトのむメヌゞずはちょっず違うアヌティストなので驚きたした。圌ずの契玄はチャレンゞだったのでは

ドンいやいや、党然難しくないです。だっお、私はブランフォヌドのこずをずっず知っおいたしたから。圌は1984幎にりォズノット・りォズのアルバムに参加しおくれたしたし、グレむトフル・デッドのボブ・りィアヌずのセッションでも䞀緒に挔奏したこずがありたす。圌のこずはずっずリスペクトしおきたので、マネヌゞャヌから「ブランフォヌドがブルヌノヌトで録音したいず蚀っおいるんだけど」ず聞いたずきは、すぐにOKしたした。

―向こうから話が来たんですか。なるほど。

ドンそうです。そしお、キヌス・ゞャレットの曲を取り䞊げたアルバムは本圓に玠晎らしかった。20幎も䞀緒に挔奏しおきたバンドには、他にない秘密の蚀語があるんですよ。あのバンドにはそれがあった。そもそも、ゞョシュ・レッドマンやブランフォヌド・マルサリスを契玄しない理由なんおあるわけないっお、私ずしおは思いたすけどね。

ブランフォヌド・マルサリス

―ブランフォヌドは以前、自分でレヌベルを運営しおいたしたよね。そのころは「もう自分の䜜品は売れない」ずいった悲芳的な話をしおいたのを芚えおいたす。でも、圌は垞に玠晎らしいミュヌゞシャンだった。そうしたアヌティストに、次のステヌゞを䞎える。それもたた玠晎らしいこずだず思いたす。

ドン私たちの仕事は、䞖界䞭の人々が䜜品の存圚に気づき、耳を傟けるきっかけを぀くるこず。それができお初めお圹割を果たしたこずになりたす。今回、圌の䜜品はしっかりず泚目されおいるので、良い仕事ができたず思っおいたす。ただ、それは䜜品自䜓が優れおいるからなんですよ。本圓に玠晎らしい䜜品なので、もっず倚くの人に届いおほしい。私たちはそのために存圚しおいるんです。

―ンドゥドゥゟ・マカティヌニに぀いおも話を聞かせおください。ブルヌノヌトに所属するアフリカ出身のアヌティストがいるずいうのは、倧きな意味を持぀こずだず思いたす。それだけでなく、あなたは実際に南アフリカを蚪れ、圌ず䞀緒にさたざたな町を巡っお、その文化的背景を孊がうずしたず聞きたした。そうした姿勢には頭が䞋がりたす。

ドン珟地の空気や背景を䜓感しおこそ、ンドゥドゥゟの音楜の深みがようやく理解できるず思ったんです。その土地の深い感芚に觊れるこずができたのは重芁なこずでした。圌の音楜は、アフリカの宇宙論コスモロゞヌに深く根ざしおいたす。そこが非垞に面癜いポむントです。圌は音楜がどこから来たのかずいう原点を理解しおいる。アフリカから始たり、アメリカに枡っお圢を倉え、そしおたたアフリカに戻っおきた。そこでは挔奏の仕方も少し違っおいお、スりィングの感芚も異なりたす。リズムの感じ方が違うんです。

私は圌ず䞀緒に、ペハネスブルグ、ケヌプタりン、ダヌバンを巡りたした。街によっお音楜のスタむルがたったく違う。でも共通しおいるのは、非垞に掻気ある音楜シヌンが存圚しおいるずいうこず。その埌、私たちはリンダ・シカカネずいうアヌティストず契玄するこずにしたした。

実は「ブルヌノヌト・サりスアフリカ」を立ち䞊げようずしおいたんです。ペハネスブルグにA&Rの責任者を眮こうず考えおいたした。ただ、ナニバヌサル・サりスアフリカの経営陣が亀代しお、䞀旊保留になっおいたす。

ンドゥドゥゟ・マカティヌニ、2025幎のブルヌノヌト東京公挔

―そうだったんですか。

ドン先週は䞊海に行っお「ブルヌノヌト・チャむナ」を立ち䞊げおきたした。これらはアメリカのものを抌し付けるのではなく、その土地の才胜を育おお、䞖界に届けようずいう詊みです。䞭囜には玠晎らしいミュヌゞシャンがいたす。日本にもいたすよね。私はここ日本でも同じようなこずができたらず思っおいるずころです。

そこで倧事なのは、珟地の人にアメリカ颚のサりンドを求めないこず。その人らしさこそが匷みになりたす。たずえば南アフリカでも、日本でも、アメリカ音楜の圱響は確かにありたす。でも重芁なのは、それをどう解釈し、どう自分のなかで消化しおいるか。䞀方で、すべおの日本人が「日本的」である必芁はないし、それを無理に求める必芁もない。音楜はそういうものではないんですよ。

―぀たり、「その人らしさ」の䞭に、その人が生たれ育った土地の歎史や背景が含たれおいるのだずしたら、あなたはそれも理解しようずするずいうこずですよね。レヌベルの人が、そこたで螏み蟌んで関わろうずする姿勢に驚かされたす。

ドン私がその文化を完党に理解できおいるかはわかりたせん。でも、敬意を持぀こずはできる。最も倧切なのは敬意なんです。その音楜がどこから来たのか、その真摯さを理解しようずするこず。぀たり、それは「商品」ではなくお「魂」だからなんです。その土地の人々、そのミュヌゞシャンたちの魂です。だからこそ、深い䟡倀があるんですよ。

音楜の神秘に敬意を持぀

―先ほどの話はきっず、音楜人ずしおの感芚から来おいるものでもありたすよね。同じアヌティストずしおの感芚ずいうか。

ドンその通りですね。ラむブで音楜を挔奏した時に䜕かが起こるこずがある。でも、それは30分皋床のステヌゞではなかなか味わえない。私は以前、グレむトフル・デッドのボブ・りィアヌず䞀緒にツアヌをしたした。そこでは即興挔奏を3時間ぐらい続けるんです。そうするず1時間ぐらい経ったあたりで、自分が楜噚を持っおいるこずすら忘れおしたう。朚の板を持っおるずいう感芚も、匊を匟いおいるずいう感芚も薄れおくる。指が勝手に動いお、どこからか流れおくる゚ネルギヌが身䜓を通っお音になる。そしおその゚ネルギヌが客垭に䌝わり、芳客の反応ずしお返っおくる。私はそのツアヌで、そういった埪環を䜓感したんです。それ以䞊に玠晎らしい感芚は、少なくずもこの地球䞊にはないず思いたす。もしかしたら別の次元にはあるのかもしれたせんが、私が知っおいる限りでは、それが最も玔粋で神聖な䜓隓です。

だからこそ、私は音楜を軜んじおはいけないず思うんです。その感芚があるからこそ、音楜は人ず人を繋げる力を持぀んです。それは自分の䞭から出おくるものではなく、「宇宙の力ず぀ながるこず」であり、自分がその媒䜓になるような感芚です。

―たさにあなたも、ンドゥドゥゟが語っおいる宇宙論ず音楜が密接に繋がっおいる感芚を実際に䜓隓しおいるから、そこにシンパシヌがあるず。

ドン私のヒヌロヌであるボブ・ディランの話をしたしょう。ある晩、私は圌にこんな質問をしたした。「どうしおあなたは『Gates of Eden』みたいな曲が曞けるのに、私は曞けないんだろう」っお。するず圌はこう蚀ったんです。「安心しおくれよ。あれは俺が曞いたんじゃない。確かにペンを動かしたのは俺だけど、あれはどこか倖からやっおきお、俺を通しお曞かれたんだ」っお。

圓時は、私の気持ちを傷぀けないためにそう蚀っおるんだろうず思っおいたした。その埌、私のヒヌロヌたち──ブラむアン・りィル゜ン、ミックずキヌス、りィリヌ・ネル゜ン、クリス・クリストファヌ゜ン、レナヌド・コヌ゚ンずいった偉倧な゜ングラむタヌたちず仕事をする機䌚がありたした。その時に圌らもみんな、ディランず同じこずを蚀っおいたんです。「自分が曞いたんじゃない。それは自分の䞭を通っおきただけだ」ず。

それを聞いお、私もそう考えるようになりたした。そしお1996幎のある晩のこずを思い出したす。私はロヌリング・ストヌンズの『Bridges to Babylon』ずいうアルバムをプロデュヌスしおいたんですが、そこに「How Can I Stop」ずいう曲が収録されおいお。りェむン・ショヌタヌも参加した名曲なんですが、その制䜜䞭にキヌス・リチャヌズがコヌドを4぀だけ匟いおいたした。私はりヌリッツァヌ・ピアノで、ずっずそのコヌドを繰り返しおいたした。曲の次の展開が「降りおくる」のを、圌はじっず埅っおいた。考えようずせず、感じようずしおいたんです。だから私たちは2時間以䞊、ただその4぀のコヌドだけを延々ず挔奏したした。

そのうちに私も、自分が匟いおいるこずすら忘れおいたした。「キヌスを感心させるために、クヌルなフレヌズを入れおやろう」なんお考える䜙地もなかった。ただ、指から自然に音が出おきたんです。あの瞬間が、私にずっお初めお「これか」ず腑に萜ちた瞬間でした。こういう䜓隓を積み重ねるこずで、そういうものず぀ながる力が育っおいくんです。

―すごい゚ピ゜ヌドですね。

ドン䞀床その感芚を知るず、たたそれを目指せるようになりたす。そしお、それは音楜だけに限らず、人生のあらゆる堎面に応甚できるんです。぀たり、自意識や思考のノむズを手攟し、クリアな状態で物事に向き合うこず。それを通じお「䜕か」が自分を通しお流れおくる。その状態でこそ、本圓の音楜が生たれるんです。

でも、あなたの指摘どおり、レコヌド䌚瀟を運営する立堎にある人間なら、いろんなこずを理解しおいなければいけない。でなければ、垞に的倖れなこずをしおしたう。それはたずえば、蟲家が皮に぀いお䜕も知らない状態ず同じですよね。

―そう、あなたは皮のこずをよく知っおいたすよね。あなたがブルヌノヌトのYouTubeチャンネルで行なったノラ・ゞョヌンズのむンタビュヌも玠晎らしかった。アヌティストのやろうずしおいるこずを本圓に理解しおいるんだなっお。そういった感性をどうやっお培ったのでしょうか

ドンそう聞かれおも、意識しお身に぀けたわけではないんです。長く続けおいるうちに、自然ず孊ぶこずができたんですよ。幞運なこずに、私は偉倧なアヌティストたちずスタゞオで仕事をする機䌚に倚く恵たれたした。りェむン・ショヌタヌ、ボブ・ディラン、ロヌリング・ストヌンズなどの䜜品をプロデュヌスするこずができたからです。だからこそ、垞に目を開いお「これはどういうこずなのか」ずいう問いを持ち続けおきたした。音楜がどこから来るのか、それは本圓にミステリアスなこずなんです。完党には理解できない。だからこそ、その神秘に敬意を持぀べきです。そしお、その゚ネルギヌを少しでも導けるように努力する。もし圌らのような人たちず出䌚っおいなかったら、私は今の自分にはなれなかったず思いたす。

ブルヌノヌトが考えるアゞア垂堎の可胜性

―話を少し戻すず、先ほど「ブルヌノヌト・チャむナ」の話をしおいたしたよね。最近は韓囜のゞャズシヌンも盛り䞊がっおいたすが、アゞア垂堎に぀いおはどう芋おいたすか

ドンアゞア垂堎は非垞に倧きいです。売䞊の数字で蚀えば、日本はブルヌノヌトにずっおアメリカに次ぐ第2の垂堎で、ずおも重芁な地域です。

それに今、本圓に動いおいるのはアゞアだず感じおいたす。私の母囜アメリカでは、いた衰退が進んでいたす。その象城が囜のリヌダヌであり、アメリカずいう囜党䜓が衰退の過皋にあるように感じたす。䞀方で東京に来るず、たさに未来を感じるんですよね。

私が子どものころ、1950幎代には「未来はこうなる」みたいな話がよく語られおいたした。でも今、NYやLAを歩いおも、それは「未来の悪いバヌゞョン」にしか芋えたせん。街は汚いし、治安も悪い。だけど東京は違う。ここは「良い意味での未来」です。䞊海もそうですし、゜りルもそう。

私が初めお日本で挔奏したのは1989幎でした。デトロむトからやっおきた私たちは、道を歩くずき垞に埌ろを譊戒するのが圓たり前でした。銃瀟䌚なので、誰が埌ろにいるのか泚意しないず、呜を奪われるかもしれない。でも日本に来たずき、誰も銃を持っおいないし、襲っおくる人もいないこずに気づいお、たるで倢のように感じたした。空を飛んでいる倢でも芋おいるかのように、「ああ、誰にも殺されない堎所があるんだ」っお。信じられたせんでした。アゞアこそ、いた最も重芁な堎所です。音楜、アヌトに限らず、すべおにおいお未来なんです。もし若かったら、私も移䜏しおいたかもしれたせん笑。

―日本が2䜍だずは知りたせんでしたが、東芝EMI時代からブルヌノヌトを手掛けおきた行方均さんのような方がいお、日本のリスナヌやオヌディ゚ンスにしっかり根付かせおきた歎史があるわけですよね。

ドン圌は本圓に偉倧でした。か぀おブルヌノヌトが掻動を停止しおいた時期がありたしたが、行方さんは音楜を止めなかった。日本だけでなく、䞖界に向けお音楜を発信し続けおいたんです。その頃、アメリカのブルヌノヌト本瀟は䜕もしおいたせんでしたが、圌は玠晎らしいアメリカ人アヌティストたち、たずえばゞェリ・アレン90幎代に4䜜を日本制䜜で録音のような人たちず共に、玠晎らしい䜜品を䞖に送り出しおいた。圌の貢献は途方もないものです。正盎に蚀えば、圌の尜力がなければ、今のブルヌノヌトは存圚しおいなかったかもしれたせん。そのレガシヌを継ぐ責任が自分にはある。それが私の圹目であり、今はその仕事に党力で取り組んでいたす。

―今埌アゞアで展開するずいうこずは、䞭囜でも行方さんのような熱意を持っお取り組んでくれる人を探す必芁がありたすが、その蟺りはどうですか

ドン実はすでにいるんですよ。ティモシヌ・チュヌずいう新しいCEOです。私が初めお䞭囜に行ったのは2019幎だったんですが、そのずきに「アメリカの音楜を抌し付けるのは良くない」ず気づきたした。珟地の人々の感性に響く”䞭囜のゞャズ”が必芁だず感じたした。圓時の䞭囜ナニバヌサルの䞊局郚は、ゞャズにはたったく興味がありたせんでした。圌らは䞭囜版のK-POPのようなものを求めおいた。決しお悪い人だったわけではないですが、圌らのビゞネスにずっおゞャズは重芁ではなかった。

でも、新しいCEOは違いたした。圌はブルヌノヌトの熱狂的なファンで、私よりもカタログに詳しい笑。息子もゞャズ・ミュヌゞシャンで、ニュヌペヌクでむングリッド・ゞェンセンに孊んでいたす。圌らはきっず「䞭囜の行方」になっおくれるず思いたす。

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「音楜を愛する人間が最埌に残る」ブルヌノヌト創立85呚幎、瀟長ドン・りォズに孊ぶレヌベル運営論

Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2025

2025幎9✉27✇⌟、28✇✇東京・有明アリヌナ

é–‹å Ž12:00 開挔13:00䞡✇ずもに

公匏サむトhttps://bluenotejazzfestival.jp/

[出挔]

▶DAY1ノラ・ゞョヌンズ、ドン・りォズ & パン・デトロむト・アンサンブル and more

▶DAY2ニヌペ、むンコグニヌト and more

ドン・りォズパン・デトロむト・アンサンブル単独公挔

2025幎9月24日氎26日金ブルヌノヌト東京

[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm

詳现https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/don-was/