NHK連続テレビ小説『虎に翼』が、第51回放送文化基金賞でドラマ部門・最優秀賞を受賞。9日、都内ホテルで行われた贈呈式に、出演した伊藤沙莉、森田望智、土居志央梨が登壇し、喜びを語った。

  • 涙でスピーチする伊藤沙莉

    涙でスピーチする伊藤沙莉

大好きな花江ちゃんのセリフ

森田は「自分の存在意義が問われる場面もすごくあった役なんですけど、最後に“明日の朝、目が覚めなくても、天国で(夫の)直道さんとお母さんとお父さんと思い出話ができるのがすごく楽しみ”という大好きな花江ちゃんのセリフがあって、そのセリフを言う時に岡部たかしさん、石田ゆり子さん、上川周作さんの顔が沙莉ちゃんと一緒に浮かんで、本当に花江ちゃんの人生を私は愛していて、みんなが自分の人生を肯定できる脚本だったこともあって、それが見る人たちにすごく伝わったからこそ、こんな素敵な賞を頂けたのかなと思っています。言い出したらキリがないんですけど、すべてのキャストの皆さん、スタッフの皆さん、そして何より寅子としてずっと大きな背中を見せてくれた伊藤沙莉ちゃんに心から感謝していますし、見てくださった皆さんにも心から感謝しています」と挨拶。

土居は「沙莉ちゃんは本当に太陽そのもの。みんなを毎日毎日照らしてくれて、私たちを引っ張ってくれました。撮影終わってもう10カ月くらい経つのに、ますます“沙莉って本当にすごいんだな”と思う毎日で、ますます感謝と尊敬が増しています。本当にありがとう」と言葉を贈った。

「取り乱してしまってすいません」

ここで演技賞も受賞した伊藤が、2人のスピーチを聞いて泣きながら「どうしよう…」と登壇。「自分が一番びっくりしてるんです」と自身の涙に驚きながら、「『虎に翼』はお芝居の仕事をしてきた中で、本当に生涯の財産だと思っています。それは、朝ドラヒロインみたいな経験ということもあるんですけど、それ以上にこの作品に関わる方々の出会いだったり、みんなと過ごした時間、すべてひっくるめての財産だと思っています。やっぱり一緒に戦ってきた2人がこういうふうに作品への気持ちや、こちらに対してもメッセージを頂いてびっくりしまして、取り乱してしまってすいません」と、感情が高まった理由を明かした。

土居がティッシュを差し出そうとするも「今収まってきたから大丈夫」と制止しながら、「一日一日、毎時間毎秒、本当にかけがいのない時間だったと思います。終わって1年弱経ちますが、いまだに終わってんだか終わってないんだかみたいな気持ちのままずっと過ごしています。スタッフさんが打ち上げ用に作ってくださった思い出集のムービーがあるんですけど、自分自身がちょっと落ち込んだり、自信がなくなったりとかした時に、そのムービーを見て、あの温かい時間を思い出して“よし、また頑張るか”という日々を過ごしています」といい、今も生活の中に欠かせない作品になっているようだ。

感激の涙を見た司会者が「(森田と土居とは)久々の再会ですか?」と聞くと、伊藤は「先週バーベキューしました。結構な頻度で会ってます(笑)」とあっけらかんと回答。最後に、「寅ちゃんとして生きたあの時間は、ご自身の中でどんな時間でしたか?」と問われると、「最高でした。終わりっ(笑)」と締めくくった。

放送文化基金賞は、「視聴者に感銘を与え、放送文化の発展と向上に寄与した優れた放送番組・配信コンテンツ」「放送文化、放送技術の分野での顕著な業績をあげた個人・グループ」を対象に表彰するもの。

ドラマ部門は、最優秀賞に『連続テレビ小説 虎に翼』(NHK) 、優秀賞に『ホットスポット』(日本テレビ)、奨励賞に『ドラマ10 燕は戻ってこない』(NHK)と『Netflixシリーズ 極悪女王』(Netflix)が選ばれた。