映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』(上映中)でチャポンの声を演じた蒼井優にインタビューし、親子で大好きだという『アンパンマン』の声優を務めた感想や子育てについて話を聞いた。
映画シリーズ36作目となる本作は、空から落ちてきた不思議な男の子・チャポンとアンパンマンの絆を描く物語。チャポンは、アンパンマンを兄のように慕い、「ヒーローになりたい!」と願うも、ばいきんまんから自身の出生について衝撃の真実を知らされる。「なんのために生まれて なにをして生きるのか」。原作者のやなせたかしさんが作詞した「アンパンマンのマーチ」のメッセージと重なる物語となっている。
――本作のオファーを受けたときの心境をお聞かせください。
「こんなにうれしいオファーがあるんだ」という気持ちでした。『アンパンマン』の声優は毎年貴重な枠で、みんながやりたい中でたまたま私にお話をいただけて、すごくうれしかったです。
――生きていく上で大切なメッセージが詰まっている作品ですが、ご自身は生きていく上でどんなことを大切にしていますか?
自己肯定感と他者に対する敬意のバランスが崩れたらいけないと思っています。自分も大事だけど人も大事。誰かに敬意を持つことも大事だけど、自分も大事。どちらかが上にならないようにしたいと考えています。
――自分と他者を同等に大事にするというのはいつ頃から意識するようになったのでしょうか。
子供が生まれてから、子供にどういうことを伝えていきたいか、どういう自分を見せていきたいか考えた時に、夫と話して、自己肯定感はもちろん大事だけど、それと同じくらい他者への敬意が大事だというところに行き着きました。
――お二人でよく子育てについて話し合いをされるんですか?
考え方が基本的に似ているので、その考えを言語化すると、というような会話をよくしています。気づいたら子供の話をしていて、2人で子供の推しかぶりをしているような感じです(笑)
――お子さんは、お二人の愛をたっぷり受け取って優しい人間になりそうですね。
自分たちは一生懸命楽しく過ごしているだけなので、優しさを教えているなとはなかなか思いませんが、愛情ってこれぐらい熱量がすごいんだよということは伝えています(笑)
――本作は「なんのために生まれて なにをして生きるのか」「生まれた意味は自分で決める」ということがテーマになっていますが、作品に関わったことで“自分が生まれてきた意味”について考えることはありましたか?
「幸せになるために生まれてきた」という、玉置浩二さんの「しあわせのランプ」の歌詞のままですが、その曲を聴いて本当にそうだなと思いましたし、子供を幸せにする義務があるなと思っています。子供に対して「幸せになりなさい」とか私が感じている生まれてきた意味は言わないです。自分で見つけていくと思うので。
――全人類が“幸せになるために生まれてきた”であってほしいですよね。
本当にそうであってほしいと思います。この作品は、他人事とは思えないようなニュースを目にして胸を痛めている人たちに向けても、感じ取ってもらえるメッセージが詰まっています。やなせたかし先生が「どんなに難しい言葉でも正しく伝えることが子供の成長につながる」とおっしゃっていたように、大人にも届く言葉に仕上がっていると思います。
――蒼井さんにとってのヒーローはどんな存在ですか?
夫もそうですが、今は子供の命を守ってくれている人たちがヒーローです。産婦人科の先生、助産師さん、小児科の先生、すごく親切にしてくださったお店の方、習い事の先生も。そういう子供の命を守ってくださった方々が、今の私にとってのヒーローです。
――旦那さんをヒーローとおっしゃるのが素敵だなと。どんなところがヒーローだなと感じていますか?
誰よりも体力を使って家庭のことをやってくれていて、本当に家族を守るという確信があるんだなという気がしています。「ここまでできるんだ!」って。私が夫のスケジュールだったら、ここまではできないかもしれないと思いますが、仕事も家庭もどちらも全力でやってくれるので、家族としてはとても助かっています。