全国内航タンカー海運組合は、6月4日、佐賀県唐津市にて国立唐津海上技術短期大学校(JMETS唐津短大)の学校訪問と、タンカ-見学会を開催した。

  • 全国内航タンカー海運組合は、国立唐津海上技術短期大学校にて学校訪問、タンカ-説明会を開催した

全国内航タンカー海運組合は国内で就航するタンカ-を所有・運航する船社、456社が加入する全国組織の団体で、内航タンカ-業界、船員職業のPR、組合員船社の新卒採用のバックアップを図るため、全国の船員養成学校等(JMETS、水産高校、商船高専ほか)を対象に、毎年、全国30校以上の学校訪問を実施している。

  • 越智船員対策委員長より趣旨説明が行われた

今回実施されたJMETS唐津短大の訪問もその一環だ。同校の1年生を対象に、全国内航タンカー海運組合の新作動画の上映や参加船社の紹介をしたのち二班に分かれて質疑応答を実施。内航タンカ-の役割や石油・ガス・ケミカル船等の種別、船員の仕事内容や船内での生活、乗船・休暇サイクルなど、今後内航タンカー業界で働くうえで知っておきたい見識を深めた。

  • 学生、船社メンバ-が二班に分かれ質疑応答。学生は1年生44名、船社は21社が参加した

「他船種との比較も含めてタンカーの魅力とは何か」「貨物(油種)によって苦労する点は異なるのか」「ここ10年間で直面すると思われる内航タンカー業界の課題は?」といった業界ならではの疑問から、「海技士以外に持っておいたら良い資格」「海上職から陸上職への転換を実施している会社の実情」「業務上必要な資格を取得する際、どのようなサポートをしてくれるのか」というキャリア形成の話題、そして「乗船中、親族の葬儀など個人的な理由が急に発生した場合、下船は可能なのか」「乗船中の居室は個室か」というプライベートな内容まで、質疑応答では多岐に渡る疑問が多数。また近年は女性船員の採用に力を入れていることから、「女性の場合、荷役作業は体力的に問題ないか」「女性船員ならではの強み、及び頑張って欲しいと思われる事はあるか」という質問も挙げられた。学生説明会終了後には、先生方との情報交換会を実施したという。

  • 見学会が行われた倭丸と参加学生たち

午後は第二部として、 唐津港妙見埠頭3号岸壁にてタンカ-見学会を実施した。全国内航タンカー海運組合は、昨年から内航総連合会の「船員確保チャレンジ事業」の助成金を活用して、タンカ-見学会を行っている。唐津港での開催は、昨年度9月の松山港、11月の清水港に続き第3回目の見学会となる。

  • 越智船員対策委員長から挨拶と、見学にあたっての注意点説明が行われた

タンカ-見学会には同校1年生44名に加え、2年生28名も参加。芝海運が所有し、旭タンカ-が運航を行う「倭丸(やまとまる)」が仮バースを取り、1・2年生72名は3班に分かれて乗船見学を行った。

  • ブリッジで説明を受ける学生

  • エンジンル-ムで説明を受ける学生

倭丸は、白油と呼ばれるガソリン、灯油、軽油、ジェット燃料油などを運ぶ白油タンカーだ。学生たちは船上で、荷役手順やタンク内の説明、バルブ操作などリアルな働く現場を見学していく。

  • デッキ上で荷役手順の説明を受ける学生(右カメラマンはマスコミ取材)

  • 写真左・デッキ上のマンホ-ルからタンク内の説明を受ける学生、写真右・バルブ操作を体験する学生

  • 船内での見学を終えた学生(最後の班)と、船主、乗組員一同で総括質疑

説明会で知識を得たのちタンカーに乗船して現職船員の説明を聞く一日がかりのイベントは、これから就職する学生たちにとって、船員という職業をより具体的にイメ-ジできる貴重な機会となっただろう。