普段の自分とはまったく違うという役。なぜオファーが来たのかという問いには「僕的には、昔からえなりかずきさんと顔が似ていると言われていたので、キャスティングされたのかもしれないなと思っています」と語る。

ひょうろく演じる松前廣年の兄で、松前藩当主・松前道廣を演じるのは俳優のえなりかずきだ。人を的に鉄砲を放つなど、かなりサイコパス的な描かれ方をしている。

「劇中では恐ろしい兄で、呼び出されるシーンは本当に怖かったんです。でも実際のえなりさんはとても優しい方で、大ベテランにも関わらず、先日もご飯に誘っていただき、“弟君(おとうとぎみ)”と呼んでいただいたり、すごく楽しかったです。うちの家族は、ずっとえなりさんが出演していた『渡る世間は鬼ばかり』を見ていたのですが、そのことも伝えられました(笑)」。

福原遥に手を握られドキドキ「仕草もそうですが、言葉遣いも色っぽくて」

えなり以外にも、ひょうろくにとっては憧れるような俳優たちとの共演に胸躍る気持ちだという。

「福原さんに手を握られるシーンがありましたが、役柄上もドキドキするようなシーンでしたが、僕自身本当にドキドキしてしまいました。ずっと冷や汗をかいていたんです。もしかするとあのシーンは役の廣年が消えていて、素の僕が出てしまっていたかもしれません(笑)。仕草もそうですが、言葉遣いも色っぽくて“~ありんす”なんて言葉はドキドキしちゃいました」。

えなりや福原をはじめ、そうそうたるメンバーたちが顔をそろえる大河ドラマ。「本当に勉強になることばかり。最初の撮影では、あまりに緊張しすぎて、瞬きが止まらなくて演出の方に注意されてしまったんです。でも他の俳優さんは、当然のことながら、まったく不自然な演技をしないんです」と語り、「テレビで観ているだけでは気づかないような細かいことをたくさん気づくことができました。何が分かっていないかが分かった現場でした」と振り返る。

ひょうろく自身も、近年ドラマや映画への出演が続いているが、俳優という仕事について「有名な作品に出たいという思いよりは“この作品面白いよね”と言っていただけるような作品の一部になりたい。そのなかで、自分の演技が作品にとってなにかプラスになるような役割を担えたら嬉しいですね」と控え目に野望を述べる。

バラエティ番組でも強い存在感を見せているが「お笑いと俳優業はまったく違いますね。バラエティは準備ができない怖さ、どうなるか分からないドキドキがありますが、俳優業はやるべきことが決まっていて、それをきちんとできないといけないという怖さがあります。バラエティは失敗が良さになることはありますが、俳優業では、失敗はただの失敗になってしまう。そこはしっかり準備をして期待に応えなければいけない仕事だなと感じています」と分析した。

「いただいた仕事を一生懸命頑張るだけです」と今後について語ったひょうろく。ドッキリは「できればない方が精神的には楽なのですが、気づいたときには終わっていることが多いですからね」と笑うと「演技の仕事に限らず、面白そうなお仕事があれば、どんどん挑戦していきたいです」と意欲を見せていた。

■ひょうろく
1987年7月7日生まれ、鹿児島県出身。2020年にお笑いコンビ・ジュウジマルを解散後、ピン芸人に。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)をはじめとする番組に出演し、その独特なキャラクターで注目を集める。2025年3月放送の『コンシェルジュの水戸倉さん』(BS日テレ)でドラマ初主演。『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)で大河ドラマ初出演を果たした。

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