大阪・関西万博向けに合わせ、大阪府内全域でライドシェアが解禁されました。このライドシェアを利用するには配車アプリが必要です。代表的な配車アプリの特徴を調べてみましたので、本稿で紹介していきましょう。
いまや欠かせない配車アプリ
マップ上から現在地と目的地を指定し、電話いらずでどこでもタクシーやハイヤーなどを呼べる配車アプリは、ビジネスパーソンはもちろんのこと、毎日の生活や旅行のなかでも手放せなくなっています。
その元祖と言えるのは「Uber (ウーバー)」でしょう。Uberはもともと“ライドシェア”サービスとして2009年にアメリカで創業されました。ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車を使って乗客を運ぶサービスのこと。しかし日本では法令の規制もあり、これまでタクシーやハイヤーの配車サービスとして運用されてきました。大阪・関西万博を機としたライドシェア解禁は、Uberが本領を発揮する機会になるかもしれません。
スマートフォンの普及や「Uber」の躍進を背景に、日本ではタクシー会社やテック企業が相次いでタクシー配車アプリをリリースしています。日本交通とDeNA(ディー・エヌ・エー)が共同運営する「GO (ゴー)」や、ソニーグループの「S.RIDE (エスライド)」などが代表的なアプリでしょう。
また、中国からは滴滴出行 (DiDi Chuxing/ディディチュウシン)がソフトバンクと手を組んで「DiDi (ディディ)」をリリースし、こちらもエリアを拡大しています。これらのアプリも、大阪のライドシェアで利用可能です。
この他にも各地域のタクシー会社が個々にアプリをリリースしていますが、広域で使えるサービス、大阪のライドシェアに対応という点に絞ると、ここまでに挙げた4つが代表的なサービスと言えそうです。
いずれのサービスも、アプリのみで配車から行き先を指定し、キャッシュレス決済を利用した支払いまで行うことが可能。またマップから現在走っているタクシーの位置を確認できたり、クーポンやポイントプログラムを活用してお得に利用できたりする点も共通です。
では、それぞれの違いはどのような点にあるのでしょうか。「Uber」「GO」「S.RIDE」「DiDi」の特徴を調べてみましょう。
世界中同じアプリで使える「Uber (ウーバー)」
「Uber」は2020年7月2日から日本でタクシー配車アプリを展開しています。2025年6月現在、17都道府県の主要都市で利用可能です。ライドシェアの代名詞であり、利用の際には第一候補として挙げられるサービスでしょう。
テクノロジーからスタートした企業だけあり、自動決済機能は非常に便利です。クレジットカードやデビットカード、楽天ペイ、PayPay、Uberギフトカードなど多彩な支払い方法に対応。支払い方法を事前に登録しておけば、目的地到着後はそのまま降車するだけでOKという手軽さです。
「Uber」の魅力は、世界70カ国以上の国々で同じアプリを使って配車を依頼できること、そしてアプリ内のチャット機能でドライバーとメッセージがやり取りできることでしょう。約50言語に対応し、利用客の立場であれドライバーの立場であれ、円滑なコミュニケーションが期待できます。
なお、UberのアカウントはUber Eatsでも利用でき、同じアプリ上で料理などの注文も可能です。またティーン(13歳~17歳)の家族にアカウントを作ってあげることで、乗車や注文を見守れるサービスも提供されているのは、お子さんのいる家庭にはうれしいポイントですね。
ライドシェアを利用する場合、乗車場所と目的地を入力し、車種としてライドシェア車両を選択して配車をリクエストすればOKです。
国内対応エリアが広い「GO (ゴー)」
「GO」は、2011年に配信された日本初のタクシー配車アプリ「JapanTaxi」と、DeNAの「MOV」が統合する形で2020年9月1日にリリースされました。国内のユーザーにとってはもっとも馴染みのある配車アプリかもしれません。
2025年6月現在、46都道府県の主要都市で利用できるという対応エリアの広さがなによりの魅力です。旅行はもちろんのこと、とくに地方出張に行く機会が多いビジネスパーソンは助かるでしょう。
自動決済には「GO Pay」という仕組みを採用しています。クレジットカード、d払い、PayPayの3つから支払い方法を選択し、降車時に後部座席に設置されたタブレット端末で操作すれば支払い完了です。
2024年12月にはタクシーの約半額で利用できる相乗りサービス「GO SHUTTLE (ゴーシャトル)」もスタートしており、こちらもアプリから予約が可能。タクシーより時間はかかるものの、対象エリアかつ運行時間内であればお得に利用できます。
乗車場所と目的地を入力し「Go Pay」を支払い方法に設定して配車をリクエストすれば、ライドシェア車両が選択肢に追加されます。
優れたUIで使いやすい「S.RIDE (エスライド)」
「S.RIDE」は、タクシー会社6社とソニー2社が設立した会社、みんなのタクシー(現在はS.RIDE)により2019年4月16日にリリースされました。2025年6月現在、10都府県の主要都市で利用可能です。
自動決済として対応しているのは、クレジットカードとCAB CARD モバイル決済です。CAB CARDモバイル決済は法人向けのサービスとなります。また、手を上げて止めたタクシー(流しのタクシー)でQRコード決済ができる「S.RIDE WALLET」も用意されています。
「S.RIDE」で目を引くのはその特徴的なUIでしょう。アプリ画面の中央にあるスライダーを右に引くだけで、近くにいるタクシーを呼ぶことができます。操作が簡単ながらも誤操作を防ぐこともできるアイデアですね。
流しのタクシーを捕まえやすい場所を地図上で表示する「バーチャルタクシースポット」をはじめ、使い勝手を向上させる取り組みが多いサービスと言えます。
ライドシェアを利用する場合は、車種の選択を「タクシー・RS」にします。これによってライドシェア車両が表示・リクエストできるようになります。
アプリ利用料のかからない「DiDi (ディディ)」
「DiDi」は、中国の大手ハイヤー企業である滴滴出行とソフトバンクの合弁会社であるDiDiモビリティジャパンによって2018年9月27日にリリースされました。2025年6月現在、18都道府県の主要都市で利用できます。
「中国版」と「グローバル版」の2種類がリリースされており、日本では「グローバル版」を利用します。中国で利用したい場合は別途「中国版」のインストールが必要です。自動決済として利用できるのは、クレジットカード、PayPay、Alipay。ただしAlipayは中国本土のIDカードが必要です。
「DiDi」の魅力は、他のアプリでかかるアプリ利用料がかからないことにあります。メーター料金や迎車料金などとの兼ね合いもありますので、必ず他のサービスより安くなるわけではありませんが、覚えておけば賢くタクシーを利用できそうです。
ライドシェアの利用の仕方はUberとほぼ同じで、乗車場所と目的地を入力し、車種からライドシェアを選択すればOKです。
大阪・関西万博で活躍!?
2025年4月13日から10月13日まで開催されている「EXPO 2025 大阪・関西万博」では、大阪府域全域・24時間ライドシェアの運行が開始されました。今回紹介した配車アプリ「Uber」「GO」「S.RIDE」「DiDi」の他、「newmo (ニューモ)」「Vehicle (ビークル)」が対応しています。
配車アプリはこれからさらに利便性が向上していくことでしょう。この機会に、それぞれ特徴を持ったアプリを使い分け、自分に合った配車アプリをぜひ探してみてください。