俳優の阿部寛が型破りで破天荒なキャスターを熱演しているTBS系日曜劇場『キャスター』(毎週日曜21:00~)が、きょう15日に最終回を迎える。このたびプロデューサーの伊與田英徳氏に、テレビ局の報道番組を舞台にした本作に込めた思いや、主演の阿部とのタッグについて話を聞いた。
真実を伝えるために全身全霊を注ぐ報道マンの姿を描けたら
本作は、闇に葬られた真実を追求し悪を裁いていく完全オリジナルストーリーの社会派エンターテインメント。民放テレビ局JBNの報道番組『ニュースゲート』のキャスター・進藤壮一を阿部寛、進藤に振り回されながらも奮闘する総合演出・崎久保華を永野芽郁、進藤を尊敬するジャーナリスト志望の新米AD・本橋悠介を道枝駿佑が演じている。
伊與田氏は、本作の制作にあたって報道関係者の話を聞く中で、真実を伝えるために全身全霊で事件などと向き合っている彼らの姿勢を伝えたいという思いが芽生えたという。
「筑紫哲也さんや久米宏さんたちが出演されていた頃のニュースは何が起きるかわからない面白さもあったのだけれど、今はコンプライアンスが厳しくなって、どの局も同じように見えてしまっているのではないかという批判的な視点で描いてみようと思っていました。ですが、取材を進めると今は守らなければいけないルールの中で、真実を伝えるために精一杯向き合っていることがわかりそれが描けたらいいなと思いました」
阿部演じる主人公・進藤壮一は、モデルにした人物がいたのだろうか。
「特定の人物を投影したというモデルはなく、阿部さんがどういうキャラクターを演じたら面白いかということを想像しながら作っていきました」
阿部寛に絶大な信頼 進藤役は「阿部さんでなかったらできなかった」
阿部が日曜劇場の主演を務めるのは6回目。伊與田氏は、『下町ロケット』シリーズや『DCU~手錠を持ったダイバー~』などでも阿部とタッグを組んでおり、絶大な信頼を寄せている。
「阿部さんは、これは難しいかなと思うようなセリフも乗り越えていく。そのパワーが素晴らしいです。パワーだけでなく、柔らかく演じたり、どう切り抜けるんだろうと思うところも行間をしっかり埋めていく、その姿はさすがだなと思います」
今回の進藤役も「阿部さんでなかったらできなかった」と感じているという。
「パワハラと指摘されそうな言動をパワハラに感じさせない。もしかしたら華は『この人とはもう二度と…』と思う瞬間もあったかもしれないけれど、その裏にはちゃんと真実があって、最後はやはりこの人についていこうと思えるような人であるというのは、阿部さんでなかったら演じられなかったと思います」
いよいよ最終回。43年前、進藤の父・哲(山口馬木也)とJBNの会長・国定義雄(高橋英樹)は自衛隊輸送機墜落事故を取材していた。進藤は哲の記事が世に出なかった理由を国定に問い詰め、真実を知ろうと再び洞窟へ。そんな中、週刊誌にニュースゲートにまつわるスキャンダルが報じられる。揺らぐ報道番組への信頼。JBNは猛批判にさらされる。
“進藤”阿部寛と“国定会長”高橋英樹の戦いに注目
伊與田氏は、最終回の見どころについて「進藤と会長の最後の2人の戦いは見応えあると思います」とアピールする。
「阿部さんも百戦錬磨ですが、さらにその上の百戦錬磨である高橋さんとの戦いで、現場で見ていても2人とも迫力がありました。高橋さんの怒る演技は怖いですから。そこに食い込んでいく阿部さんのお芝居。経歴的に先輩の高橋さんにぶつかっていくチャレンジャーな阿部さんというのが新鮮で面白かったです」
さらに、「テレビ局を仕切る会長がどういう人生を歩いてきたのかわかり、それを進藤がどう感じるか」というのも見どころだと言い、「やはり命を懸けて報道するんだという人たちの話だと思います。(報道マンたちを取材して)そういう思いで皆さん向き合っている感じがしたので、今回そういう話にしました」と語っていた。
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