フジテレビ系ドラマ『Dr.アシュラ』(毎週水曜22:00~)の第10話(18日放送)が、FODで先行配信されている。

主人公は、命の最前線=修羅場で、どんな急患も絶対に断らない、そしてどんな手を使ってでも絶対に助けるスーパー救命医・杏野朱羅(松本若菜)。命を助けたい、その純粋な思いと卓越した技術で患者を救う姿を描く。

  • 松本若菜=『Dr.アシュラ』第10話より (C)フジテレビ

【第10話あらすじ】ホームレスを病院に連れて行こうとする朱羅

病院近くの公園のベンチで杏野朱羅(松本若菜)が軽食をとっていると、ホームレスの小西達夫(マキタスポーツ)が近づいてくる。朱羅が無言でアイスの袋を渡すと、小西は礼を言う。小西は腹をさすりながら昨日から腹痛が続いていると訴え、朱羅は脱水症状を疑い小西を病院へ連れて行くことにする。

一方、28歳の青年・佐藤健太(矢野聖人)が救急隊によって搬送されてくる。健太の婚約者である奥西千尋(日比美思)が自宅で倒れている健太を発見したのだ。健太は肝機能低下による意識障害と診断され、しばらくの間入院することになる。同じ病室に健太が運ばれてくるとその様子を心配そうに見つめる小西。そして、健太と2人きりになると話しかけ…。

シンプルながら強い気持ちが周囲を動かす

このドラマの魅力の一つと言えば、やはり朱羅の緊張感あふれるスピーディーな手術シーンだろう。その手技はもちろん素晴らしいのだが、施術の選択は半ば強引、時にはむちゃにも思えて、救急科の面々もはじめのうちは振り回されてきた。

しかし回を追うごとに、「私は目の前の命を見捨てることなどできない」という朱羅の心の奥に根ざす精神に影響を受けたのだろう。「僕には無理です」を連呼していた薬師寺保(佐野晶哉)は、挫折を乗り越え、救命医を志すまでに成長。海外での経験が豊富で合理的、かつリスクヘッジを念頭に置く六道ナオミ(小雪)は患者に寄り添うように。自分の地位ばかりを気にしていた大黒修二(田辺誠一)は、子どもを助けてもらったことで救命医としての本来の姿を取り戻すことを決意。そして梵天太郎(荒川良々)は、取り繕ってきた「ゴッドハンド」の異名を捨て、救命医としてやり直し始めた。それぞれが成長し、自然とチームワークが出来上がってきたように思う。

朱羅は口数こそ少なく、決して自分から引っ張っていくスーパードクターではない。しかし、そのシンプルでありながら強い気持ちが、彼らを突き動かしたことは明らかだ。さらに、朱羅の壮絶な過去が明らかになり、共有したことで、より彼らの距離がグッと縮まったのだろう。

そんな彼らのチームワークの集大成とも言えたのが、前回第9話で梵天の妻と子を絶体絶命の状態から救った手術だ。そして今回も彼らの気持ちが一つになるシーンが見られる。

一方で、朱羅も彼らから影響を受けているように感じる。初めはダイナミックな手術も淡々と無表情でこなしているように見えた。しかし、次第に怒りや葛藤、そして時には微笑み、涙ぐみ…感情を表に出すようになり、人間味を見せ始めた。

「命のためだったら何だってする」朱羅と小西の約束とは

今回救急科に来たのはホームレスの小西。通常、ホームレスを受け入れるとなると、治療費の支払いなど時にはトラブルも。しかし意外にもこのホームレス、救急科の誰もが知っていて「タツさん」の愛称で呼ばれている常連患者。絶対に患者を断ったり、忖度しない朱羅の精神がここでもうかがえる。そんな小西が朱羅に託した思いとは。「命のためだったら何だってする」――2人のシーンは涙なしに見られない。

次回はいよいよ最終回。朱羅が最後に迎える“修羅場”とは。その時、どのような決断をし、どのように患者を救うのか。最後まで目が離せない。そしてやはりラストには朱羅の笑顔が見たい。

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