サーモスはこのほど、夏場の高温下での作業で役立つ「正しい水分補給のポイント」について発表した。自宅で作る熱中症対策ドリンクについても紹介している。

  • 2024年工事現場内に貼られた サーモスの熱中症対策啓発ポスター

暑くても、作業後に水分を一気飲みすることはNG

近年の気候変動により、熱中症のリスクが深刻化している。熱中症による死亡率は、他の災害に比べて約5~6倍高いとされており、死亡者のおよそ7割は屋外での作業中に発生していると言われている。こうした状況を受け、2025年6月1日より厚生労働省による労働安全衛生規則の改正が施行され、建設現場や農作業の熱中症対策が義務付けられる。

同社では、高温下での水分補給の温度は5℃~15℃を推奨する「サーモス5-15℃ PROJECT」を立ち上げている。2024年には、建設現場で働く技能者に水筒と熱中症対策を啓発するポスターを寄贈するなど、現場で役立つ取り組みも行った。

今年は5月に、早くも東京都心で初の真夏日(気温30℃以上)を記録。熱中症のリスクが高まっている現在、秋津医院 院長で内科医の秋津壽男先生に、夏場の高温下での作業時に役立つ正しい水分補給の方法について聞いた。

秋津先生によると、水分補給はこまめに行うことが重要で、具体的には1回あたりコップ1杯(200~250ml)を、1時間半~2時間おきに飲むと良いという。

避けたいのは、作業後や食事の前後に水分を一気飲みすること。汗をかく作業後や運動後は、水分とともにナトリウムやカリウムなどの電解質が失われてしまう。その状態で一気に水分を摂取すると、低ナトリウム血症(水中毒)の症状が出ることがあるほか、冷たい飲料水を一度に飲むと胃腸に負担がかかり、腹痛や下痢の原因になることがある。

「食事の前後に大量の飲み物を摂取することも、胃液が薄まり消化に影響を与える可能性があるため、控えることをおすすめします」(秋津先生)

厚生労働省の「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、水分のみ補給すると体内の塩分割合が低下し、熱中症を発症しやすくなるため、水分と一緒に塩分を摂取することを推奨している。

材料3つ! 自宅で作れる熱中症対策ドリンクのレシピも公開

同社では、自宅で作れる熱中症対策ドリンクのレシピも公開した。スポーツドリンクは、「水分」「塩分」「糖分」の3つがあれば、誰でも簡単に作ることができる。

  • スポーツドリンクは自宅で手軽に作れる

材料(500ml)は、冷水500ml(氷と使用する場合は水とあわせて500mlになるように調整する)、天然塩1g、砂糖20g(三温糖や上白糖、きび砂糖でも可)。

作り方は、水筒に水、天然塩、三温糖を入れ、フタを閉めて上下によく振ってとかすだけ。使用する「塩分」は精製塩ではなく、天然塩を選ぶのがポイント。天然塩は塩化マグネシウムや塩化カリウムなどのミネラル分が含まれているため、汗で失われた体内のミネラル分を効率よく補うことができる。