通勤・通学でも、週末のロングライドでもいい。一年を通して自転車に乗るようになると、ちょっとした不便や不安が「こんなことで解決するのか!」という驚きや気づきに連続して遭遇することになる。
そこで今回は1,000円以下で手に入る、コストパフォーマンスが高くライドライフの質を向上させるアイテムをセレクトしてみた。
反射タスキ
夜のサイクリングは街のイルミネーションはキレイだし、スピード感も増す。仕事を終え、ペダルを漕ぎながらプライベートへと切り替わっていく時間が好きという人は案外多い。
「え、怖いじゃん」
そう思う人にこそ使ってもらいたいのが、反射ベストや反射タスキだ。夜、クルマから見るサイクリストのことを思い出してみると、とにかく目立つ派手な人と、夜陰に紛れてしまう人の2種類がいる。どちらがいいか、改めて言うまでもないだろう。
四輪車対自転車の死亡事故の48%は後続車に追突されて発生しており、その要因は発見の遅れがトップだという(交通事故総合分析センター調べ)。
100均の反射タスキを思いついたのは、マンハッタンを走っているときに、小さな鞄から取り出して使っているニューヨーカーを何人も見かけたから。
「いや、恥ずかしいでしょ、これ」
私も最初は、そう思った。しかし、ナイトライドを繰り返すうちに考えが変わった。小さなテールランプよりも、反射タスキをしている方が側方距離を空けてクルマが抜いてくれる。恥ずかしいどころか、後方へのアピールこそ大事だと思うようになった。
夜通し走る超長距離イベントのブルベでは、安全面から反射ベストまたは同等の反射素材の着用が義務づけられており、ナイトライドの必須アイテムとなっている。
1万円近くする本格的な製品と比べれば機能性で劣るが、コストパフォーマンスで考えれば圧倒的な性能を発揮する。なにより、ポケットにしまえるほどコンパクトで、忘れたときでも、すぐに買えるのは大きな魅力である。
スプレー式小分けボトル
パンク修理やタイヤの装着時に活躍するのが石けん水だ。微細な穴でパンクすると、穴の位置が分かりにくいが、石けん水を散布すると空気が漏れている場所がすぐに分かる。水でも代用できるが、分かりやすさでは石けん水と比べる余地もない。
また、近年増えつつあるインナーチューブが不要なタイヤ(チューブレスレディタイヤ&チューブレス)は、装着しにくい製品も多い。対策としてMTB用ではワックスを推奨するメーカーもあるが、ロードバイク用では材質によって使用できないこともある。そんなときも、石けん水ならタイヤやリムに悪影響を及ぼすことがないので安心して使用できる。
そんな石けん水を携帯するときのオススメは無印良品の「ポリエチレン小分けボトル」(スプレータイプ15ml)。ボトルがPET素材(ポリエチレンテレフタレート)もあるが、柔軟性のあるポリエチレン製のほうが割れる心配が少なく、キズも気にならない。
小分けボトルは100円ショップでも入手できる。ライド中の携帯性を考えると15mlのほうが使いやすいが、家でメンテナンスをする時用に30mlや50mlを購入するのもいいだろう。また、買うときはポンプタイプではなく、スプレータイプのほうが作業性がいい。
石けん水の濃度はボトルに対して、台所用の中性洗剤を1~2滴程度で十分だ。
ダミーローター
油圧ディスクブレーキを使っている人なら、持っておきたいアイテムのひとつがダミーローター。
油圧ブレーキの特長は制動力が高く、コントロール性に優れている。ただ、ローターがない状態でブレーキレバーを握ってしまうと、ピストンが飛び出してしまいブレーキパッドの間隔が保てなくなり、ホイールの装着が困難になったり、操作性が著しく悪くなったりする。
ダミーローターとは、その名の通り、ディスクローター(回転板)の代わりにブレーキ本体に装着し、ダミーとなる製品だ。完成車を購入すると簡易型のダミーローターが付属するが、1つしか付属しないメーカーもある。また、作業性も悪く、輪行袋から自転車を出してみると、外れていることも多い。
パッドの間隔が狂うと、性能が発揮できなくなってしまうだけでなく、ブレーキラインにエアが入り込む原因のひとつにもなる。そうならないようにブレーキ本体にダミーローターを装着し、ストラップでブレーキレバーを握った状態で固定しておけば、安心して自転車を移動させられる。
オーストリッチのダミーローターが優れているのは、ゴムをブレーキ本体にかけられるので外れる心配がないこと。単純に挟み込むだけの製品は、移動中に外れてしまうことも多いので、安心して使える。