新車購入時の補助金には何がある?メリットと注意点を解説

新車を購入する際、環境性能の高い車を選ぶことで、国や地方自治体から補助金を支給できる場合があります。これらの補助金は、メーカーや車種によって補助金額が異なりますが、数十万円の補助を受けられれば購入時の負担を軽減できるでしょう。
ただし、受け取るタイミングなどには注意が必要なので、活用する際には制度の仕組みを把握しておきたいところです。

この記事では、新車購入時に使える補助金の概要と受給するメリットのほか、補助金を使う際の注意点について解説します。

新車購入時に使える補助金

新車購入の際に使える補助金は、主に国の補助金である「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」と、地方自治体の補助金があります。まずは、新車購入時に使える補助金について解説します。

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(通称:CEV補助金)は、経済産業省が交付する環境性能の高い新車の購入費用の一部を補助する制度です。この補助金は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のほか、燃料電池自動車(FCV)といった次世代自動車の普及促進が目的です。
補助金の申請受付や問い合わせ対応などの業務は、経済産業省の委託を受けた一般社団法人次世代自動車振興センターが行っています。

CEV補助金の支給額は、自動車メーカーや車種によって異なります。2025年度の支給上限額は、FCVを除いて加算措置が設けられており、下記のようになりました。

2025年度・CEV補助金の支給上限額と加算措置金額
車種 基本の補助金支給上限額 2025年度の加算措置の金額
EV 85万円 5万円
軽EV 55万円 3万円
PHEV 55万円 5万円
FCV 255万円 0円

参照:経済産業省「令和7年度におけるクリーンエネルギー⾃動⾞導⼊促進補助⾦(CEV補助⾦)の取扱い」
※メーカー希望小売価格(税抜)が840万円以上の車(軽EV以外)に関しては、算定された金額に価格係数0.8を乗じる。

ただし、2025年度の加算措置を受けられるのは、「環境負荷の低減及びGX推進に向けた鋼材の導入」を満たす車種に限られる点に注意が必要です。加算額は、下記の追加評価項目に対するメーカーの取り組みを総合的に評価し、決定されました。

<2025年度・CEV補助金の追加評価項目>

重要鉱物の安定確保に関わるリスク低減のための取り組み

調達先に対する費用の支払期間

車両や蓄電池の火災発生状況

CEV補助金を受けるための条件としては、新車を購入することと、次世代自動車振興センターがまとめた「銘柄ごとの補助金交付額」の掲載車種であることのほか、一定期間の所有義務があることなどが挙げられます。

地方自治体の補助金

地方自治体の補助金制度は、国のCEV補助金とは別に、各都道府県や市区町村が独自に設けている新車購入の際の支援策です。これらの補助金をCEV補助金と併用することで、ユーザーの負担をさらに軽減できるでしょう。

地方自治体の補助金は、対象車種や補助金額のほか、申請条件などが自治体ごとに異なります。また、地方自治体の補助金の特徴として、地域経済活性化のために自治体内に店舗を有するカーディーラーなどで契約した場合に限られることがあります。

例えば、東京都ではEVやPHEVなどのゼロエミッションビークル(ZEV)を対象とした補助金を実施中です。補助額はメーカーによって異なり、再生可能エネルギーや充放電設備などを導入した場合には、金額が上乗せされます。

2025年度・ZEVの車両購入補助金のメーカー別支給上限額と設備導入に関する上乗せ金額
車種 メーカー別支給上限額 設備導入に関する上乗せ金額
EV 60万円 40万円
PHEV 60万円 25万円
FCV 190万円 35万円

参照:東京都「令和7年度 ZEVの車両購入補助金のお知らせ」

なお、次世代自動車振興センターの「全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置」には、各地方自治体の補助制度が紹介されていますので、新車購入時の参考にしてください。

補助金を使って新車を購入するメリット

補助金を使って新車を購入した場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、補助金を使って新車を購入する際の主なメリットについて解説します。

環境性能が高い車を安く購入できる

新車購入時に使える補助金制度のメリットとして、環境性能の高い車を安く購入できる点が挙げられます。一般的に、EVやPHEVなどの次世代自動車は、従来のガソリン車と比較すると車両本体価格が高くなる傾向があります。これは、高価なリチウムイオンバッテリーなどの部品が使用されているためです。

国のCEV補助金を使えば、例えばEVの場合で数十万円の補助を受けられる可能性があります。地方自治体の補助金を併用すれば、さらに購入費用を安くできるでしょう。

環境性能が高い車で地球環境保護に貢献できる

補助金を活用して環境性能の高い新車を購入することは、地球環境保護に貢献できるメリットがあります。従来のガソリン車やディーゼル車と比較して、EVやPHEVなどの次世代自動車は走行中のCO₂排出量が少ないのが特徴です。また、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)など、大気汚染物質の排出も抑えられています。

このような車を選択することで、個人レベルでカーボンフットプリント(製品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で出る温室効果ガスの排出量を、CO2排出量に換算した数値)を削減させられるのはメリットといえるでしょう。

税金や燃料代などの維持費節約につながる

補助金を使って環境性能の高い新車を購入すれば、初期コストの軽減だけでなく、長期的な維持費削減にも期待できます。これは、次世代自動車には税金の優遇措置が設けられていたり、燃費性能に優れているため燃料代が安く済んだりといったメリットがあるからです。

税金面でのメリットとしては、具体的には自動車重量税における「エコカー減税」や自動車税種別割の税率が軽減される「グリーン化特例」があります。これらは環境性能に応じて適用され、EVやFCVなどの場合は免税(税率0%)や大幅な軽減となる場合もあるのです。

燃料代の削減効果は、さらに顕著です。EVの場合、燃料となる電気代は、ガソリン車のガソリン代と比較して大幅に安くなります。
仮に年間で1万km走行する場合、排気量1.8Lで車重1.5tのガソリンエンジンの普通車(ミニバンタイプ)では、年間約11万円の燃料代がかかります。それに対し、EVは年間約5万円程度の電気代で済む可能性があります。今後、ガソリン価格の高騰が進んだ場合、この差はさらに大きくなるでしょう。

また、メンテナンスにかかる費用においても、環境性能の高い車は有利です。例えば、エンジンがないEVは、オイル交換などのメンテナンス項目が不要になります。ブレーキパッドの摩耗も少ないのも特徴です。
さらに、自動車保険においても、環境性能の高い車はエコカー割引が適用され、保険料が安くなるケースがあります。

新車購入時に使える補助金の注意点

新車購入時に使える補助金については、いくつか気をつけたいことがあります。ここでは、新車購入時の補助金に関する、主な注意点を解説します。

CEV補助金を受け取れるのは車両代金支払い後

新車購入時のCEV補助金の支給は、車両代金の支払い完了後になります。現金での購入時には、車両代金をいったん全額支払う必要があるので注意してください。なお、マイカーローンで新車を購入した場合、ローンの契約が締結されれば補助金を受給可能です。
CEV補助金の受け取りまでの流れとしては、下記のとおりです。

<CEV補助金支給の流れ>

補助対象車車両代金の全額支払い完了またはローン手続き完了

補助金交付申請書類の提出

補助金交付申請書類の審査

補助金交付決定

補助金交付

CEV補助金交付申請には提出期限が設けられており、新車新規登録をした日から1ヵ月以内です。
審査期間は概ね2ヵ月程度ですが、補助金受付開始当初は申請が集中するため、さらにかかる場合もあります。この審査状況は、次世代自動車振興センターのウェブサイトで確認可能です。審査に通過し、交付金額が決定したら、「補助金交付決定通知書兼補助金の額の確定通知書」が送られます。その後、1週間程度で、指定口座に補助金が振り込まれる仕組みです。

なお、ローンの申込書では、補助金の申請ができない点に注意してください。

予算消化状況によっては早めに打ち切られる

補助金制度の多くは、国や地方自治体の限られた予算内で運営されています。そのため、予算枠に達した時点で、年度途中であっても申請受付が終了してしまう場合があるため、注意が必要です。

なお、CEV補助金に関しては、予算不足の可能性がある場合、次世代自動車振興センターのウェブサイトで予算消化状況を告知することになっています。
ちなみに、2024年度のCEV補助金の申請受付は、2025年2月13日到着分をもって終了しました。

補助金を受けて購入した車には、売却・譲渡の制限がある

補助金の交付を受けて購入した車には、簡単に売却や譲渡などの処分ができない「処分制限期間」が設けられています。処分制限期間は自家用自動車の場合、4年です。

処分制限期間内に車を処分する際には、事前に次世代自動車振興センターの承認を受ける必要があります。この承認を得ずに車を売却したり譲渡したりすると、補助金の全額または一部金額について、年10.95%の加算金を加えて返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。
また、次世代自動車振興センターは、必要に応じて車の管理状況についての調査を行います。

なお、天災や過失のない事故などで走行不能になり、廃車(抹消登録)にした場合には、補助金の返還対象とはなりません。

新車購入時には補助金を活用して、購入費と維持費を抑えよう

EVやPHEVなどを新車で購入する際、補助金を活用すると購入費を抑えることができます。これらの次世代自動車は燃料代が安く、自動車保険のエコカー割引も適用されるなど、維持費の面でもメリットが期待できるでしょう。

なお、自動車保険の保険料やエコカー割引の内容は、保険会社によって異なります。自身に合った自動車保険を探すには、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかること。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼するのがおすすめです。

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