現在放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)は、5月4日放送の第17回「乱れ咲き往来の桜」より、主人公・蔦屋重三郎が板元として本格的に始動する新章がスタートする。このたび主演の横浜流星のコメントが到着。また、今後の見どころについてチーフ演出の大原拓氏に話を聞いた。

大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』蔦屋重三郎役の横浜流星

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。脚本は、『おんな城主 直虎』(17)以来、8年ぶり2度目の大河ドラマとなる森下佳子氏が手掛ける。

横浜は、演じている蔦重について「たまに自分自身とリンクするときはあります。蔦重も力をつけてきて、叶えられる望みと叶えられない望みがあるという壁にぶつかっています。自分もたくさんの方々に知ってもらえるようになって、でもできることとできないことがあるし、そういうときに蔦重だったらどうするんだろうとか、自分だったらこうするけどとか、お互い背中を押し合っているという気持ちでもいます」と語る。

横浜はNHKドラマ初出演にして大河初主演。「ふだん大河ドラマを見ていない方から『見てるよ』と連絡が来るのが一番うれしいです。NHKの作品に初めて出させていただいた自分の使命が一つ叶えられたのではないかと思います。今も収録はハードですが、楽しんでくださる方々がいるから、そのみなさんにしっかりこの作品を届けたいという、その一心でいます」と周囲の反響を喜んでいる。

第17回からの蔦重については「彼の明るさや、人を楽しませようと思う根本の部分は変わっていないです。ただ、蔦重は人と関わって、たくさんの失敗を重ねる中で様々なものを全て吸収して、駆け引きや会話が上手くなっています。演じる上でも、重心を下げて声も低くするということなどは意識しています。これから彼の夢や目標は大きくなっていきますが、少年期と同じように失敗して、それでもへこたれずに前に進んでいくのが蔦重らしさだと思うので、そこは変わらないと思います」と予告。

「商いの話がより本格的になって、会話劇が中心になります。会話劇には技術がいるのでしっかりと高めて、そこを皆さんに楽しんでいただけるように今から心がけています。また、この時代は景気がよくなかったので、今の時代と重なる部分もあるんです。蔦重はそれでも明るく、世を元気にしようとしているので、見てくださる方々に寄り添いつつ、蔦重を見ていると明日が来るのが楽しみだなと思ってもらえるように、いまも蔦重を生きています」と見どころをアピールした。

チーフ演出の大原氏は、今後の蔦重について「書を広めていかなければいけないという思いが強くなっていき、吉原だけでなく、それがもう少し広がる。日本橋に出る理由は、多くの人がそこに集まるからなんです。だからこそ、日本橋で本屋をやって、そこで広めていく。それが最終的には地方のいろんな人々の心の娯楽になっていく」と紹介。

「本はある種の娯楽であり、その娯楽が何なのか考えていく時代になっていくのかなと。その娯楽が突然、取り上げられたりもするので、そこで彼がどういう風に変化していくのか、変化していかないのか、そういった部分も一つの見どころになっていくと思います」と語っていた。

第17回「乱れ咲き往来の桜」では、蔦重(横浜流星)は青本など10冊もの新作を一挙に刊行し、耕書堂の認知度は急上昇する。そんな中、うつせみ(小野花梨)と足抜けした新之助(井之脇海)と再会し、話の中で、子供が読み書きを覚えるための往来物と呼ばれる手習い本に目を付ける。 一方、意次(渡辺謙)は、相良城が落成し、視察のため三浦(原田泰造)と共にお国入りし、繁栄する城下町を見て、ある考えを思いつく。

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