伊丹十三監督全10作品の4Kデジタルリマスター版を上映する「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」を開催中の東京・TOHOシネマズ日比谷で18日、『スーパーの女』上映記念イベントが行われ、のんと宮本信子が登壇した。

  • のん(左)と宮本信子

のんが演じてみたいのは『スーパーの女』の花子

伊丹映画のファンで昨年には伊丹十三賞を受賞したのん。『スーパーの女』を改めて鑑賞し、「めちゃくちゃ面白くて、興奮しました。花子(宮本)と五郎(津川雅彦)の掛け合いが本当に楽しくて!」と声が弾む。

のんにとって、伊丹映画の中で特に演じてみたいのが、この花子役だそう。それを聞いた宮本は「10作品ありますけど、のんちゃんが今の年齢でこの感じでやりたいというのが『スーパーの女』だというのは、すっごくよく分かります」と納得。

だが、その撮影は「津川さんも私も、ワンシーン・ワンカットで朝から晩まですごい緊張とストレスが30何日も続いていたんですね。だから、ワンカット終わると“良かった良かった!”と2人でハグしていました(笑)」と、苦労が耐えなかったようだ。

伊丹監督は、妻である宮本に対して厳しかったそうで、「スクリプター(記録)の方が、“また監督の女優いじめが始まった”って言うんです。監督は“もっとやったらもっと良いのが絞り出る”というのを何度も何度も指定するし、セリフは完璧に覚えておかないと矢のように注文がきますから、そのおかげで本当に鍛えられたと思います」と振り返った。

満員の客に感激「伊丹さんは赤字が嫌いでね(笑)」

のんが語る伊丹映画の魅力は、「まず、めちゃくちゃカッコいいと思います。笑えるシーンがあったり、社会的なテーマがあったりする中で、言葉の掛け合いだったり、伊丹監督が描くイラストの入れ方もしびれます。その中で主演として演じてらっしゃる宮本さんの姿は、快活で力強い粋を感じます。心にグッときますね」と表現し、宮本は思わず拍手。

そして宮本は、この「伊丹十三4K映画祭」について、「40年も昔の映画なのに、こうしてたくさんのお客様に見ていただいて、とても感謝しています。伊丹さんは赤字が嫌いでね(笑)。身を削ってお客様に見てもらうために作っていくわけですけど、こんなに年数が経っても見てもらえるのは、本当にありがたいなと思っています」と、しみじみ語った。

会場には伊丹映画に欠かせない音楽を担当した、本多俊之氏の姿も。トークショーを終えた宮本とのんは、そんな本多氏が作った『スーパーの女』のテーマ曲に合わせて、ご機嫌にステップを踏みながら降壇した。

「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」は、TOHOシネマズ 日比谷・梅田で3月から開催中で、全10作品を4K最高画質で1週間ずつ上映。また日本映画専門チャンネルでは、伊丹映画全10作品を4K最高画質で、5月17日(20:00~)に一挙放送する。

「伊丹十三4K映画祭」の今後の上映スケジュールは、以下の通り。

・『スーパーの女』4月18日~24日
・『マルタイの女』4月25日~5月1日