私には「ああ、この方は仕事ができなくて困っているだろうな……」と思う瞬間があります。
「仕事ができないビジネスパーソン」には特徴的な話し方がある
これまで1万人以上のビジネスパーソンと話してきましたが、仕事ができない人に共通する話し方があります。今から挙げるような話し方をしている人は、ぜひ気を付けてほしいと思います。逆に、こうした話し方をしていた人はひとつずつ改善するだけで、対人コミュニケーションの改善はもちろんのこと、仕事ができる人になるチャンスが広がるのです。自分を見直すきっかけにしていただければ幸いです。
その1: ディスカッション中に否定語から入る
否定から入る人は、どんなに良いアイデアや意見を持っていたとしても、話していていい気分がしないものです。よって、相手にディスカッションする気を失わせてしまうおそれがあります。人は正論だけでは動きません。最後は感情で意思決定する生き物なのです。
そんな方には、「Yes,and~話法(イエス・アンド話法)」をおすすめします。相手の意見やアイデアを聴いたときに、間違っていると思っても否定せずに、このように続けます。
「なるほど、ユニークな意見だね(YES)、そのアイデアにこうした観点を加えるのはどうだろう(and)~」
このように、いきなり否定はせず、いったん受け止めて、その上でこれはどう? と提案していく話法になります。
その2: すぐに人のせいにする
自分に責任がなくとも、例えばチームメンバーのミスを自分のこととしてとらえることができる方は、成長が早いと感じます。また、チームメンバーのミスを謝罪できる懐の深さや、潔さを感じたとき、相手はその誠実な人柄に敬意を持つものです。
自分が担当していなくても自分の責任と考えることができる観点を持つ方は、視座が高く視野を広く見ることができます。そういう方は、大きな仕事を任されたり、責任あるポジションを任されたりします。結果的に、大きな利を得ることになるのです。逆に責任転嫁ばかりしていると結局、損をしてしまうのは自分なのです。
その3: 質問に推量で答える
お客様が得たい情報について、明確な返答がない場合、お客様は不安になるものです。自信のなさを感じさせてしまい、信用しづらいだけでなく、お客さまは判断基準が無くなってしまいどう判断していいか分からなくなるからです。
自分で分からない場合には、推量で答えるのではなく「申し訳ございません。分かりかねますので、お調べして回答いたします」と正直に答えましょう。
お客様の質問は、「宝の山」です。お客様の質問で分からなかったことを調べて自分の知見にするうちに「何を聞かれても大丈夫」という自信がついていきます。
その4: 話が長い(前置きが長い、話が逸れる)
話が長い人は相手からすると「自分の意見が大事な人で、私のことは大事では無いんだな」と思われていることが多いです。つまり相手の承認欲求を満たしていないため、満足してもらうこともできません。話の長い人には、話しかけるのも億劫になり面倒くさくなるものです。人はこうしたストレスを避けます。よって、相談ごとなどをされづらくなりがちです。
話が長い、と言われたことのある方は、自分の言いたいことを一言でまとめる言い方を身につけましょう。これを「一言集約(ひとことしゅうやく)」と呼んでいます。
たとえば、「厳しく管理して相手をコントールしてやろうとしても相手は言うことをきかないですよね。逆に、相手が自分からそうしたいと思うようなアプローチで~」などと長々と説明するより、「童話『北風と太陽』にある太陽のようなアプローチをしませんか?」と言えば、相手は一瞬でイメージが付きやすくなります。
その5: 何かをやる前からできない理由を考える
不思議なもので、私たちはできない理由を挙げたらいくらでも思いつくものです。
もっともらしく聞こえる理由もできる人からすれば「言い訳」です。
誰だって、最初からうまくいく人なんていませんし、時間も経験もないのです。仕事ができる人は、できないことにチャレンジし、失敗して、工夫して、乗り越えて、結果的に知見になることを知っています。
その一方で、せっかく上司からチャンスを与えられているのに言い訳をしてやらない方は、そのチャンスを無駄にしています。上司からすれば、チャンスを与えるのはもうやめようかなと思ってしまっても仕方ありません。できる人は、「できるか・できないか」を迷う世界ではなく、「やるしかない世界」で生きています。
そして、仕事に対する姿勢が、自分の可能性を拡げ、人生を切り拓くことを知っているのです。
対策: 自分の話す様子を撮影してみる
「仕事ができない」と即バレする人にならないために、おすすめしたいことがあります。それは、自分の商談やプレゼンを撮影することです。スマホで簡単に撮影できますので、ぜひやってみてはいかがでしょうか。
自分が話している姿を見るのは、恥ずかしく嫌なものです。しかし、動画で客観的に自分を見ることで、変な言い回しや重複、分かりにくい表現、「あの、えー」といった間を埋める言葉を把握して改善することで必ず話し方は上達します。できる人とは、こうした地道な取り組みを「そうなんだ」で終わらせずに実践する人です。一方で、話し方で損する人は、ずっと矯正せずに放置します。「仕事ができる人」に近づくためにぜひ、取り組んでみてください。