当作は北川景子、川口春奈、芳根京子、門脇麦と、今をときめく主演女優たちが共演した作品としても価値が高い。
しかも北川と川口はバディ、北川と芳根は姉妹、川口と芳根は……、北川と門脇は……(※ネタバレを回避)と、いずれも濃い関係性の役柄であり、劇中にDVシェルターが登場することも含めて女性メインの物語と言い切っていいだろう。そんなハードボイルドかつ壮絶な作品を女性メインで作り上げたことも希少性の高さを物語っている。
一方、男性俳優に目を向けると、目を引くのがブレイク前のディーン・フジオカ。日本の連続ドラマ初出演作であり、同作終了後に入れ替わる形でスタートした朝ドラ『あさが来た』(NHK総合)でのブレイクにつながった。
ディーンが演じたのは同じスマ・リサーチ社の調査員・桐嶋颯太。「探偵業における非合法行為は必要悪」と考える現実主義者の一方、自分の人生を投げ打って戦い続ける玲奈をサポートするなど、やはりカッコイイ役柄だった。
その他では、井浦新、三浦貴大、ユースケ・サンタマリアに主要キャストとしての見せ場が多かったほか、見逃せないのが“他社の探偵”を演じた俳優たち。岩松了、石井正則、宅間孝行、山中聡、松尾諭、三浦誠己、池田鉄洋、梶原善、葛山信吾、袴田吉彦らが演じたクセ者探偵たちが怪しげな世界観を作っていた。
北川のターニングポイントとなった上に、彼女を取り巻くキャスティングにも一見の価値がある。さらに、最終回の迫力も十分なだけに、未視聴の人には勧めておきたい。
日本では地上波だけで季節ごとに約40作、衛星波や配信を含めると年間200作前後のドラマが制作されている。それだけに「あまり見られていないけど面白い」という作品は多い。また、動画配信サービスの発達で増え続けるアーカイブを見るハードルは下がっている。「令和の今ならこんな見方ができる」「現在の季節や世相にフィットする」というおすすめの過去作をドラマ解説者・木村隆志が随時紹介していく。